炭素繊維をはじめとする高付加価値素材市場 世界市場2

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■注目素材の市場動向
1)PAN系炭素繊維【繊維】世界市場
  2010年 2011年見込 2015年予測 2015年/2010年比
重量(t) 29,000 35,000 63,000 217.2%
金額(億円) 1,040 1,280 2,320 223.1%
PAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維は、高強度ながら軽量で、耐熱性に優れるなど多くの特性を持ち、幅広い分野に採用されている。2010年の世界市場は、重量ベースで29,000t、金額ベースで1,040億円となった。用途別に重量ベースで見ると、スポーツ・レジャー用具が25.9%、航空機が20.7%、自動車が3.4%を構成しており、その他にも多様な用途に採用が広がりつつあり、日系メーカーが約8割のシェアを占めている(同)。

用途別の傾向を見ると、スポーツ・レジャー用具(ゴルフクラブシャフト、釣竿、テニスラケット、自転車用フレーム、レジャーボートなど)用途は、急速な経済発展による所得向上を受けて、中国向け需要が拡大している。

航空機(主翼、尾翼、胴体など)用途で、重量の軽減が燃料効率の向上に繋がることから需要が高まっている。当該分野は、他の用途に比べ一案件当たりの使用量が多く、市場の拡大を牽引している。

自動車(ドライブシャフト、外板など)用途は、高コストがネックとなっており、一部の高級車やスポーツカー、レーシングカーといった限定された採用に留まっている。しかし、軽量化と燃費向上に繋がることから、特に次世代自動車における採用意欲が高まっており、メーカーは自動車向け低価格品を上市することで更なる拡大を目指している。

2011年の世界市場は、前年比120.7%の35,000t、同123.1%の1,280億円が見込まれる。

東日本大震災の影響は、PAN系炭素繊維の主な需要先が北米、欧州、中国であることや、各社の工場が被災を受ける事無く、計画停電への対応は自家発電で可能であったことから、最小限に留まっている。

今後、航空機や自動車に加えて、風力発電(ブレード)や燃料電池(ガス拡散層)といった次世代エネルギー分野での需要拡大も追い風に、年率15%程度の高成長を維持していく見通しである。2015年には、2010年比217.2%の63,000t、同223.1%の2,320億円が予測される。

2)ステンレス箔【フィルム】世界市場
  2010年 2011年見込 2015年予測 2015年/2010年比
重量(t) 9,500 10,500 18,500 194.7%
金額(億円) 250 270 455 182.0%
高純度なステンレス素材を圧延機によって板厚100µm以下まで薄くしたステンレス箔を対象とする。2010年の世界市場は、9,500t、250億円となった。用途別の構成比(重量ベース)は、自動二輪車用排気触媒が36.8%、携帯電話端末などのタクトスイッチやドームスイッチが13.7%、HDD(ハードディスクドライブ)のサスペンションが7.4%などとなっている。

2011年の市場は、前年比110.5%の10,500t、同108.0%の270億円が見込まれる。自動二輪車の排気触媒用途は、排気ガス規制が導入された中国や東南アジア向けが牽引しており、経済成長に伴う自動二輪車の販売台数の増加に連動して拡大している。

タクトスイッチやドームスイッチは、スマートフォンの様なタッチパネル上での操作を主体とした携帯電話端末の増加が影響し減退している。一方、サスペンションは、デジタルテレビやデジタルレコーダーなどHDDを搭載した機器の増加で拡大している。

今後、年率10%台の成長が続き、2015年の市場は、2010年比194.7%の18,500t、同182.0%の455億円が予測される。

3)極細炭素鋼線【線材】世界市場
  2010年 2011年見込 2015年予測 2015年/2010年比
重量(t) 73,000 88,000 181,500 248.6%
金額(億円) 800 960 1,930 241.3%
極細炭素鋼線は、太陽電池や半導体で使用されるシリコンウエハや、精密機器のフィルターに使用される水晶ウエハなどを製造する際に、遊離砥粒加工方式でインゴットをウエハ状にスライスするために用いる。2010年の世界市場は、73,000t、800億円となった。太陽電池用途が90%以上を占めており、同用途向けシリコンウエハの拡大に伴い高成長を遂げている。2011年の市場は、前年比120.5%の88,000t、同120.0%の960億円が見込まれる。

日系ウエハ加工メーカーを中心に、極細炭素鋼線と競合するダイヤモンドワイヤを用いた固定砥粒加工方式の採用が増えているが、ウエハを牽引している中国をはじめとした海外メーカーは、極細炭素鋼線を用いた遊離砥粒加工方式が主流となっている。このため、極細炭素鋼線は今後も順調に市場が拡大していく見通しである。

今後も年率20%前後の成長が続き、2015年の市場は、2010年比248.6%の181,500t、同241.3%の1,930億円が予測される。

■炭素系素材市場の動向(世界市場)
1)炭素素材
黒鉛(等方性/異方性、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、フラーレン、リチウムイオン電池負極活物質)、炭素繊維(PAN系、ピッチ系)、ダイヤモンドパウダー
2010年に最も市場規模が大きい品目は黒鉛(等方性/異方性)で、その最大用途は太陽電池である。単結晶・多結晶シリコンインゴット製造工程のルツボや製造装置の耐熱構造部品向けの需要が牽引している。次いで市場規模の大きなPAN系炭素繊維は、航空機や自動車の軽量化が燃費向上に繋がることで注目される。その他の素材も多くがリチウムイオン二次電池などの成長分野で利用されている。炭素素材は、優れた特性で新規用途を開拓するだけでなく、元素素材が豊富で既存素材の置換が可能なことからも、今後の成長が期待される。

2)炭化ケイ素素材 ハニカムフィルタ、シリコンカーバイド砥粒、炭化ケイ素ウエハ、炭化ケイ素繊維
2010年に最も市場規模が大きい品目はハニカムフィルタで、環境対応ディーゼル車の触媒として利用されている。電動自動車の普及はマイナス要因になるものの、ディーゼル車の販売割合が高い欧州を中心に当面は拡大が続く見通しである。次いで市場規模の大きなシリコンカーバイド砥粒は、太陽電池や半導体のシリコンウエハのスライス工程で使われており、中でも太陽電池用途が圧倒的に多い。

参考文献:「2011年版 機能性メタル/カーボン材料市場総調査」
(2011年07月29日:富士キメラ総研)


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