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パッケージングマテリアル市場は、2008年のリーマン・ショックによる景気後退の影響を受けて、翌2009年には縮小したが、2010年には需要が回復し拡大に転じた。
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2011年は東日本大震災によって、原材料の調達から生産・供給に至るまで短期的な支障が生じたが、現状では概ね回復しており、市場への影響は限定的に留まっていることから、前年比0.2パーセント増の3兆8,357億円が見込まれる。また、支援物資として保存食などの用途向けパッケージングマテリアルの需要が急増したほか、原材料調達への不安感などから一時的に需給のひっ迫も見られた。
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採用素材のおおよその内訳は、段ボールが大半の用途で、紙が60%、プラスチックが24%(2011年、数量ベース)と見込まれる(詳細は次回以降掲載予定)。さらにプラスチックは、素材樹脂別に見ると、PP、PE、PETとそれ以外(PS、ナイロンなど)が市場をおよそ4分している。
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2012年以降の市場は緩やかな成長が続く見通しで、2015年には3兆9,542億円、2011年から2015年までの平均成長率は0.8%と予測される。
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日本の総人口が減少に転じ、国内需要が頭打ちとなる中、食品や医薬品用途を中心としたパッケージングマテリアルも厳しい市場環境が予想される。
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成長維持には、市場の需要や社会環境の要望に応えた製品開発が求められなかで、今後高成長が見込まれる品目のキーワードとして、「調理の簡便化」「環境対応」「新規用途開拓」が挙げられる。
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「調理の簡便化」(主な該当品目:バリアフィルム、レトルト用パウチ)は、単身世帯の増加や高齢化の進展を背景に需要が高まっている。レトルト用パウチ(軟包装)は長期保存性が高い缶やビンに比べても軽量で取り扱いやすい、開封が容易、使用後の廃棄物量削減に繋がり廃棄処理もしやすいなどの優位性がある。
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2011年は、東日本大震災の被災地への支援物資や防災備蓄としてレトルト食品の需要が急増したことから高い伸びが見込まれる。カレー、ソース類(ミートソース、料理用調味ソースなど)、米飯関連(セット米飯、かまめしの素など)などが中心になっているが、高齢化が進展する中、今後流動食向け需要が高まると考えられる。
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近年では、湯せん調理を要するアルミパウチに対して、電子レンジ調理が可能なアルミレスパウチへの需要が増加している。アルミ箔に代わり透明バリアフィルムを用いたアルミレスパウチは、アルミパウチに比べコスト高となるが、電子レンジ調理可能という利便性でレトルト食品へのニーズに応えている。アルミレスパウチを採用したレトルト食品は、火の使用を避ける傾向が強い高齢者の需要も見込まれる。パウチ製造時に発生する二酸化炭素の排出量が削減できることから環境対応にも繋がると評価されている。
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「環境対応」(同:レトルト用パウチ、バイオプラスチック容器・包装、耐熱紙器)は、廃棄物量削減やバイオマス化の実現に効果が認められつつある。特に、バイオプラスチックは植物を原材料とすることから、枯渇の恐れがある化石燃料の使用抑制や二酸化炭素の排出量削減など、地球環境への負荷軽減に貢献度が高い。また、100%バイオマス由来ではなく部分的にバイオマスプラスチックを採用することで、高コストや低耐熱性などの欠点を補えるため用途も広がっている。
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バイオプラスチック容器・包装は、食品容器分野において2011年から2015年までの平均成長率が最も高い品目とみられる。主要用途は、サラダパック、カットフルーツパック、鶏卵パック、いちごパックなどの透明容器である。コストは上昇するものの、環境への取り組みを訴求して採用が広がっている。環境に対する意識の高まりを受け、潜在需要もあるとみられる。バイオプラスチックは発展途上にあり石化由来樹脂に比べコスト競争力は低いものの、販売量増加や技術向上によって価格差は徐々になくなってきている。
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なお、2011年にはバイオPEが上市され、PLA以外の樹脂の選択肢が増えた。バイオPEは既存のPEと同等に扱えることから多数のメーカーが参入している。今後、バイオPET(本調査対象外)も本格的に市場が立ち上がる見通しである。バイオプラスチック市場の活性化に繋がり、PLAにも相乗効果が見込まれる。
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「新規用途開拓」(同:発泡緩衝材、セロハンフィルム)は、液晶パネル用マザーガラスなど用途の広がりで市場が拡大している。
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