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前回までは食品を筆頭とした各種パッケージングマテリアルの市場全体を俯瞰した。今回からは、各分野における注目用途について解説する。 |
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(1)食品容器分野の注目市場 |
ボトル・びん・缶の注目用途(国内需要)
品目名 | 08~11年 平均成長率 | 11~15年 平均成長率 | 拡大ポイント |
チルド飲料カップ | 7.1% | 3.3% | デザート飲料市場が拡大 |
ガロンボトル | 12.4% | 3.1% | ミネラルウォーター市場が拡大 |
PETボトル | 0.5% | -0.4% | ミネラルウォーター市場の拡大、酒類向け市場の開拓 |
PETボトルの市場は2011年に震災特需があったため11~15年平均成長率はマイナスを示す |
(富士キメラ総研調べ) |
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チルドカップ飲料市場は、コーヒー系乳飲料(いわゆる「チルドカップコーヒー」)が牽引する形で、2000年代に大きく拡大してきた。2008年以降、チルドカップコーヒー市場の成長は止まっているが、代わりに紅茶系などコーヒー系以外の色物乳飲料の新規ブランド展開や、デザート飲料の市場開拓が進み、市場拡大を続けている。カップについても、今後も年率一桁ながら成長が続くとみられる。 |
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ガロンボトル市場は、特に宅配水市場の急激な需要拡大に合わせて成長していくとみられる。 |
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PETボトルについては、ミネラルウォーターや清涼飲料以外の調味料や酒類向けでは、ガラスびんからの代替がいまだに進行しており、これも市場拡大要因となっている。 |
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PETボトルについては、ミネラルウォーターや清涼飲料以外の調味料や酒類向けでは、ガラスびんからの代替がいまだに進行しており、これも市場拡大要因となっている。 |
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また、最終製品のブームによって容器市場が拡大する場合もある。直近では、前述のデザート飲料ブームによるチルドカップ飲料市場が拡大した他、飲料以外では「食べるラー油」ブームによる2010年食料用ガラスびん市場の拡大、2剤式泡状染毛剤ブームによる2010年~2011年エアゾール缶市場の拡大などがある。 |
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なお、東日本大震災後に小売用ミネラルウォーターの特需が起こったことから、2011年のPETボトルの販売量が大きく増加した。そのため上表中のPETボトル「11~15平均成長率」はマイナスとなっている。2012年は前年比で市場縮小が見込まれるが、その後は緩やかに拡大していくとみられる。 |
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食品容器の注目用途(国内需要)
品目名 | 08~11年 平均成長率 | 11~15年 平均成長率 | 拡大ポイント |
バイオプラ容器・包装 | 1.9% | 5.3% | 拡大ポイント環境・バイオ・省CO2ニーズで今後も拡大傾向 |
耐熱紙器(レンジ対応) | 11.4% | 4.3% | 軽量・エコをキーワードに紙系へ注目集まっている |
PP発泡食品容器 | 0.0% | 2.5% | 軽量・断熱性訴求で、レンジ対応で拡大 |
A-PET | 2.3% | 1.0% | コスト競争力を武器に、大手2社が販売量を拡大 |
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今後最も拡大が予測される品目はバイオプラスチック容器・包装である。これまで容器・包装分野で採用されるバイオプラスチックはPLAだけであったが(「マタービー」などは除いて)、2011年からはバイオPEが上市され、新たな用途展開が進んでいる。 |
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景気動向等に左右されるも大手スーパーなどを中心にバイオ素材への関心は高く、バイオPE容器などは想定を上回る販売量となっている。また、バイオPETも本格化しつつあり、様々な容器での採用が拡大傾向である。 |
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耐熱紙器は決して新しい容器ではないが、「紙=環境に優しい」というイメージから採用が拡大している。耐熱紙器は、PPフィラーなどを代替し、各種グラタンなどで採用が増えていることから新規参入メーカーもあり、市場が活発化している。ただし、樹脂系容器よりも高価格であり、現状は特定の用途に留まっている。 |
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PP発泡食品容器は耐熱かつ断熱を活かし、PPフィラーなどの耐熱容器を代替している。発泡品は軽量性に優れ、持った際に手が熱くならないなどの利点がある。 |
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A-PETは、コスト競争力を武器に毎年市場が拡大している。A-PETの拡大要因は、主力2社(エフピコ、リスパック)の影響が大きく、透明容器・蓋材で今後も拡大が見込まれる。 |
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食品容器市場のトレンドとしては、①環境対応と、②レンジ対応が挙げられる。環境対応については、リデュースによる省CO2などが進んでいる。薄肉・軽量化による取組みが、様々な容器で進められている。また、軽量化の手法としては、発泡も挙げられる。例えば、レンジ用容器では比重が重いPPフィラーが採用されているが、耐熱PSPなど発泡品にすることで、軽量化が図れる。 |
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参考文献:「2012年 パッケージングマテリアルの現状と将来展望」 (2011年12月27日:富士キメラ総研)
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