エレクトロニクス分野における高分子材料の世界市場 市場動向1

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エレクトロニクスの構成部材において、導電性や絶縁性、放熱性など高分子材料の機能性は欠かせないものである。今回は半導体、実装・基板、FPD、タッチパネル、エネルギー・電池関連などの主要エレクトロニクス高分子材料の世界市場について複数回にわたり解説する。

今回、対象とした製品は半導体分野、実装・基板分野、FPD(フラットパネルディスプレイ)分野、タッチパネル分野、LED(発光ダイオード)分野、エネルギー・電池関連分野用いられている約50品目超について、市場を俯瞰する。

2015年予測で、およそ6兆7,314億円(富士キメラ総研調べ)と見込まれる当該市場の中で、特に高成長分野として期待されているのは「LED」「エネルギー・電池関連」「FPD」などが挙げられる。

■市場規模推移の概要
主要エレクトロニクス高分子材料の世界市場
分野2011年2015年予測平均成長率
LED604億円1,059億円15.1%
エネルギー・電池関連1兆3,712億円2兆3,497億円14.4%
FPD2兆2,121億円3兆3,172億円10.7%
タッチパネル1,337億円1,880億円8.9%
実装・基板3,120億円3,648億円4.0%
半導体 ※13,628億円4,058億円2.8%
合計 ※24兆4,524億円6兆7,314億円10.9%
(富士キメラ総研調べ)
※1:インクジェット用PI絶縁インクは除く。
※2:数字を四捨五入して億円単位にしているため、必ずしも合計とは一致しない。

エレクトロニクス分野における主要高分子材料の世界市場は、2011年に前年比7.1%増の4兆4,524億円となった。日本では、東日本大震災を受けてユーザー企業が部品材料を確保するために在庫を抱えた反動で、夏以降には需要が急激に落ち込んだ。一方、世界的には、欧州の景気後退を受けて半導体や太陽電池関連で需要が落ち込んだ品目もあったが一部に留まり、有機ELや電子ペーパー、タッチパネル、リチウムイオン電池、燃料電池などに関連した品目を中心に市場は拡大した。

2015年の市場は6兆7,314億円、2011年から2015年にかけて年率11%程度で拡大していくと予測され、LED照明やLCD(液晶ディスプレイ)のバックライト用途で成長しているLED分野、蓄電や創エネ・省エネ製品向け部材として需要拡大が進むエネルギー・電池関連分野、そして、新興国におけるLCDテレビの普及拡大が牽引しているFPD分野で、それぞれ年率10%以上の高成長が見込まれている。

■高成長が見込まれる用途分野の状況
1) LED分野
照明やLCDバックライト用途でLED市場が急成長しており、高分子材料市場も連動して推移する見通しである。2011年から2015年にかけて、6分野中最も高い年率15.1%の成長が予測される。

高分子材料は成形性や軽量性などに優れているが、樹脂の種類によっては技術的な課題や他素材との競合が存在する。LED電球や直管形LEDランプ(LED蛍光灯)の表面を覆うグローブはガラス素材と競合しているが、軽量性や耐衝撃性で優位なPC樹脂素材へのシフトが進んでいる。一方、ヒートシンク(放熱フィン)ではアルミ・アルミ合金素材の採用が圧倒的であり、放熱フィラーと樹脂素材を使用した放熱コンパウンドは少ない。放熱コンパウンドはまだ黎明期にあり、アルミ・アルミ合金素材に比べて成形加工性や軽量性に優れているものの、コストや熱伝導性では劣っている。LEDパッケージの構成材料であるリフレクタでは、ポリアミドなどの樹脂素材とセラミックが一部で競合しているが、高輝度タイプ以外では樹脂素材が採用されている。

2) エネルギー・電池関連分野
太陽電池、燃料電池、リチウムイオン電池市場の拡大と連動して、高分子材料市場も拡大が見込まれる。燃料電池用電解質膜、燃料電池用セパレータ、燃料電池用ガス拡散層(GDL)など大半の部材において、2011年から2015年にかけて年率15%以上で成長していくと予測される。

このうち、太陽電池はFIT(Feed-in Tariff)制度の見直しにより欧州の需要が減少しているものの、新興国におけるメガソーラーの設置などが計画されており、世界的には増加している。これを受けて、高分子材料市場も拡大の見通しである。また、リチウムイオン電池はノートPCやスマートフォン用途といった小型電池に加えて、自動車や産業用途といった大型電池の増加も期待される。高分子材料市場が拡大する一方で、大型電池においては材料の使用量も多くなるため、ユーザーのコストダウン要求が強まると想定される。

3) FPD分野
FPDは、先進国におけるLCDテレビの需要が一段落した一方で、新興国の需要が今後期待されるほか、LEDテレビの展開、スマートフォンやタブレット端末の急成長、有機ELテレビの立ち上がり、電子書籍端末向け電子ペーパーの普及により、高分子材料も需要拡大が予測される。ただし、材料単価が下落しており、金額ベースでは成長率が鈍化していく見通しである。

注目すべき事項としては、LEDテレビやスマートフォンを始めエッジライト方式バックライトユニットの採用が広がっており、導光板の需要が増加していく見通しにあることだ。一方、拡散板は直下型バックライトユニットの採用が少なくなっており、縮小していくとみられる。また、有機ELに関連した高分子材料の成長率が高く、有機ELディスプレイに加えて有機EL照明の本格的な立ち上がりが期待される。

4) タッチパネル分野
タッチパネルは、スマートフォンやタブレット端末の急成長に伴い、投影型静電容量式を中心に市場が急速に拡大している。ノートPC向けなど新規用途の開拓、カーナビや携帯ゲーム機など抵抗膜式からの切り替えも期待される。高分子材料市場も拡大しており、特に投影型静電容量式向けの比率が高いOCA(Optical Clear Adhesive)やカバーガラス/シートなどの成長が予想される。

ただしOCAは、厚手のOCAとOCR(Optical Clear)の競合が激化し、市場の成長が鈍化する可能性がある。また、タッチパネルのトップカバーは現在ガラスが主流であるが、スマートフォンや携帯ゲーム機など小型パネル向けに樹脂の採用が徐々に増えてきている。

5) 実装・基板分野
実装・基板は、今後スマートフォンやタブレット端末、そしてHV(ハイブリッド自動車)やEV(電気自動車)の需要拡大が期待される。このうち、2層FCCL(2層フレキシブル銅張積層板)は、フレキシブルプリント基板向けで3層FCCLからの切り替えが進むと考えられることから、実装・基板分野の高分子材料で最も高い成長が予測される。

6) 半導体分野
半導体は、生産コスト削減や性能向上を目的とした微細化、多層化、集積化が進んでおり、高分子材料に対しては高機能性、高品質性が求められている。ユーザーからのコストダウン要求、競合メーカーとの価格競争により、単価の下落が激しい品目も見受けられる。特にメモリ向けや汎用品においては顕著である。

参考文献:「2012年版 エレクトロニクス高分子材料の現状と将来展望」
(2012年03月13日:富士キメラ総研)



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