エレクトロニクス分野における高分子材料の世界市場 市場動向4

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本シリーズの「その1」では、高成長が期待される用途分野について市場の概略を述べたが、今回は更に具体的な数値をベースに市場動向を俯瞰してみる。

■1)LED分野
本項では高分子材料を中心に取り上げた。また、電球以外も市場規模把握の対象にしている。尚、LED部材としては、無機系素材との競合があり、例えば、グローブではガラスとの競合がある。ガラスは割れるなどのデメリットが指摘されており、樹脂系素材へのシフトが進んでいる。一方、ヒートシンク素材として、放熱コンパウンドが検討されているが、安価なアルミダイカストなどが主力である。

LEDパッケージについてもリフレクタ素材では樹脂とセラミックが一部で競合している。ただし、高輝度タイプ以外では樹脂系素材が採用される傾向にある。また、材料構成についてもメーカーによって構造や採用素材が様々であり、高分子材料は成形性や軽量性に優れるなどメリットがあり、今後も市場の拡大が見込まれる。

■LED分野における注目部材の市場規模

部材名素材市場規模(2011年実績)平均成長率予測
2011~2015年
数量(t)金額(億円)
グローブPC樹脂3,33017.049.5%
LEDパッケージ封止材エポキシ12,59083.9未収載
シリコーン440205.520.7%
リフレクタ樹脂16,40018.915.0%
ヒートシンク放熱コンパウンド3504.912.0%
※平均成長率は金額ベース(世界市場)(富士キメラ総研調べ)

■2)エネルギー・電池関連分野
(1)太陽電池
これまで需要を牽引してきた欧州でフィードインタリフ(FIT)制度の見直しや景気後退の影響から、同地域での需要はしばらくの間大きな拡大は見込めないものの、日本や米国に加え、中国や中東でも太陽電池の設置計画が進行しており、今後も需要拡大が見込まれている。

■太陽電池分野における注目部材の市場規模

部材名素材市場規模(2011年実績)金額(億円)平均成長率予測
2011~2015年
バックシートTPE/KPE/フッ素コート/オールPET2,20018.0%
導電性ペーストAgペースト2,600817.4%
Alペースト367
封止フィルムEVA(主流)、PVB(薄膜系)、アイオノマー、オレフィン、シリコーン、TPU2,20015.8%
※平均成長率は金額ベース(世界市場)
※いずれも太陽電池用途向けとして限定
(富士キメラ総研調べ)

バックシートはモジュール裏面に配置されており、セルの保護や劣化の防止を行う。長期間の使用が前提であるため、特に長期耐候性や水蒸気バリア性が求められることから、最外層には耐候性に優れるフッ素系フィルムやコーティング系材料、耐加水分解PETが使用される。

Agペーストは表面電極および裏面電極、Alペーストは裏面電極として使用されている。

封止フィルムは、太陽電池セルを表面ガラスやバックシートに接着・密封し、外部からの衝撃を吸収してセルの破損を防止する役割も有する。材料は、耐候性に優れるEVAが主に使用されているが、近年、EVA原料の供給逼迫からPVB、アイオノマー、オレフィン系、シリコーン、TPU等非EVAの採用も一部で進んでいる。ただし、非EVAの採用は少なく、薄膜系等が採用の中心となっている。

近年、「次世代太陽電池」として色素増感型を含む「有機系太陽電池」や、現在研究中ではあるが「量子ドット型太陽電池」が注目されている。このうち「有機系太陽電池」については、特にロールtoロール塗布による製造が可能であり、結晶シリコン型と比べて生産性が大幅に上昇する点が注目されている。2011年には、当該品をサンプル出荷しているのがKonarka Technologies(米)のみであった。しかし、普及のボーダーとされる変換効率15%のセルが開発され、2012年からは三菱化学やHeliatek(独)、大日本印刷など複数メーカーがパイロット生産の開始を計画しており、用途拡大が進むとみられる。

これらの次世代太陽電池は、既存の結晶シリコン型と比較した場合、変換効率に違いがあるものの、フレキシブルやシースルーなどの独自の機能展開が考えられている。現在、どちらのタイプも積極的な研究・製品開発が進められているが、変換効率の面などで色素増感型がわずかにリードしており、市場の立ち上がりも先行するとみられる。

「有機薄膜太陽電池」は、金属電極と発電層(ドナー/アクセプター)、バッファ材、ITO基板から構成され、比較的シンプルな構造で、アクセプタ(p型半導体)材料としては、現在フラーレン(C60、PCM等)が主流となっている。

ドナーについては最適な材料が模索中であり、様々な素材でトライアルされているが、現在は、CuPc、ZnPcなどの低分子材料を蒸着するものと、P3HT、MEH-PPV、BPなどの高分子材料を塗布するものとに大別される。

(2)LiB(リチウムイオン)電池
LiB(リチウムイオン)二次電池は、新興国が牽引役となり堅調な拡大傾向を示す民生小型用LiB市場に加えて、自動車(EV/HEV)や産業用途(非常用電源、ピークカット、太陽光/風力発電等の電力供給安定化、他)、家庭用蓄電池市場の本格化により、急成長が見込まれる分野である。

但し、大型LiBは1セル(もしくは1電池)当たりの材料使用量が多いため、部材価格の下落が懸念される。特にセパレータ、電解液、電解質は、正/負極材料よりも電池の性能面向上(高容量、高出力、長寿命など)に影響が低い部材のため、コストダウン要求が強い。

■LiB電池分野における注目部材の市場規模

部材名市場規模(2011年実績)金額(億円)平均成長率予測
2011~2015年
電解液・添加剤112017.6%
正極材料1,02015.6%
負極材料35615.3%
※平均成長率は金額ベース(世界市場)(富士キメラ総研調べ)

LiB電池は、主要4部材である正極材料(活物質)、負極材料(活物質)、電解液、セパレータと正/負極集電体、バインダ、導電助剤で構成される。

外装材にはニッケルメッキ鋼板、アルミ板が古くから採用されているが、10年程前から樹脂フィルムを使用したラミネート包材の採用も進んできた。実際のLiBは複数に積層され、正/負極端子、絶縁板、安全弁、正極リード等と組み合わせ、外装材を覆う形で1セル化している。

ラミネート包材は軽量で形状の自由度が高いことが特長であり、ポリマー電池で採用されている。同電池を採用するスマートフォンやタブレットPC市場の拡大によりラミネート包材の需要増加が見込まれる。また、自動車向けLiBにおける採用も始まっている。

民生小型用LiBは性能/コストのバランスに優れ、完成度の高い電池であるため、採用している素材に大きな変化はないとみられる。ただし、大型LiBに関しては、性能向上(高容量化、高寿命化など)や、コストダウンが課題となっているため、先行して市場を形成した民生小型用とは異なる素材の採用も想定される。

参考文献:「2012年版 エレクトロニクス高分子材料の現状と将来展望」
(2012年03月13日:富士キメラ総研)



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