LEV(低速電気自動車)と電動トラック・バスの世界市場 市場動向1

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2011年の国内新車販売421万台(日本自動車販売協会連合会調べ)に対しHVは49.8万台となり、出荷シェアが10%を超えた。2010年12月発売の日産自動車のEV「LEAF」の発売後1年間で累計販売台数は、トヨタのHV「初代Prius」の販売台数の倍となった。さらにPHV「Prius PHV」が2012年1月から発売開始され、HV車はより身近になり、環境性、静粛性、スムーズな加速感など新たな自動車の価値観を携えて市場の成長期を迎えつつある。

一方で、「エコカー」を取り巻く環境も変化して来た。日本では「第3のエコカー」と呼ばれる低燃費のガソリン・ディーゼルエンジン車が注目され、電動自動車との競合が激しくなっている。海外においては、地域性の違いにより、欧州・インド市場などではディーゼル車、ブラジルではバイオエタノール車が主流を占めており、自動車メーカー各社も先進国・新興国の各種法規制を踏まえた地域別戦略が求められている。

今や、電動自動車は単なる「乗り物」の位置付けから、路車間通信や、EV/PHEVの車載バッテリーを家庭で活用するV2H(Vehicle to Home)、系統と連系し系統安定化手段として利用するV2G(Vehicle to Grid)の技術開発が進められ,特に東日本大震災後は,災害時に車載バッテリーを非常電源に利用したり、平常時の電力ピーク抑制のため車載バッテリーから家庭に電力を供給したりする機能の実現に向けた技術開発・検証が加速しており、「つながる車」として新たな価値を創造しつつある。

とりわけV2GやV2Hでは、自動車としての利用に支障を来たさないよう、充放電量を適切に設定し電力源として有効に活用していく技術が必要となる。また,太陽光発電(PhotoVoltaic:PV)やエネルギーマネジメントシステム(EMS)との連携や、需給制御など電力系統に関する技術も必要である。また、エネルギーの効率的利用を考慮した「超小型モビリティの導入」や公共交通の利用促進など環境対応車を活用した新しい街づくり計画が期待される。

国土交通省は、2012年6月に「超小型モビリティ導入に向けたガイドライン(注記参照)」を公表した。日本は、少子高齢化や、エネルギー需給の逼迫、二酸化炭素排出削減など多くの課題を抱え、都市は中心市街地の衰退、公共交通機関の衰退、高齢化に伴う移動制約の問題などが顕在化している。その対策のひとつとして国交省は、環境対応車と街づくりの提案・ガイドラインとして取りまとめている。

■注目されるLEV市場
LEV(低速電気自動車)の市場規模推移
2011年2010年比2012年見込2011年比2015年予測2020年予測2011年比
337億円191.5%540億円160.2%750億円880億円261.1%
※最高速度が時速90km以下のEVを対象とする。富士経済調べ
1~2人乗り、近距離利用が中心のLEVは電池の搭載量を減らせるので車体を軽く出来、低コスト化が可能となる。大都市圏で頻発している渋滞の解消や、駐車場不足の緩和が可能である。高速道や幹線道への乗り入れを一部規制すれば交通事故の増加への不安も解決すると期待される。中国では、2011年に前年比2倍の6万台が生産された。2020年には2011年比3.3倍の20万台に生産が拡大すると予測される。

中国では、山東省がLEVの普及モデル地域に指定されており、同省の「低速電気自動車適用技術条件」によれば、最高速度70km以下、走行距離は1充電当り100km以上とされている。中国のLEVは、1級都市(北京、上海、広州、深センなど)を除く2・3級都市以下を中心に普及が進んでいる。

生産はローカルメーカーやベンチャー・中小企業が中心となっているが、大手完成車メーカーの本格参入も見込まれる。短期的には、LEV普及の中心が農村地帯なことや、EVの本格普及にはまだ時間がかかることなどの背景があり、中国山東省のような地域での普及拡大が適しているようである。今後は、これらの地域でEVが本格普及すれば、EVへのシフトが進むと想定され、2015年以降の成長は鈍化する見通しである。

日本でも郊外を中心にLEVの導入が見られる。しかし、2011年に三菱自動車が「MINICAB-MiEV」を発売開始したこともあり、LEVにはあまり大きな市場拡大は期待できないとする見方。

韓国でもLEVはEV普及へのつなぎとして期待され、2010年3月からは一部の一般道路走行も許可されたが、予想よりも早くEVの導入態勢が整ったことなどから、期待されていたほどには市場は拡大していない。

一方、欧州では都市部を中心にLEVの導入が見られる。

■世界のLEVメーカー動向

中国ではローカルメーカーを中心に市場形成されており、特に山東省のメーカーが全体の8割以上を占めている。トップシェアの時風集団、山東唐駿欧鈴汽車製造、山東勁馳電動機車、山東宝雅新能源汽車、山東比徳文電動車など計17社がある。

時風集団は4人乗りLEV「時風電動車」を展開しており、2011年実績は前年比約2倍の3万台で、BYD AUTO(中国)にOEM供給する他、輸出も行っている。山東省17社の生産台数は、2009年の1万7千台から、2011年には64,200台と右肩上がりに増加している。LEVは速度が遅いが操作性が良いこと、車両価格が安くランニングコストも低いこと、外観のデザインも比較的良いことなどから、需要が拡大している。また、品質や性能の安定性も向上して来ている。

インドでは、EV専業メーカーMahindra Reva Electric Vehicleが二人乗りの小型LEVを毎月30台程度販売している。EV技術のライセンス化や製造拠点のフランチャイズ化を進めるなど、パソコンや家電などに近い新しいビジネスモデルが注目を集めている。その他、Gordon Murray Design(英国)、Elbil Norge(ノルウェー)、Start Lab(イタリア)、Buddy Electric(ノルウェー)などが挙げられる。

注記
国土交通省の都市局・自動車局は平成24年6月4日に、「環境対応車普及による低炭素まちづくりに向けて」のなかで、「超小型モビリティ導入に向けたガイドライン」、「電気バス導入ガイドライン」、そして「駐車場等への充電施設の設置に関するガイドライン」を公表している。
「超小型モビリティ導入に向けたガイドライン」報告書のURL:http://www.mlit.go.jp/common/000212867.pdf

参考文献:「電動自動車関連市場の現状と将来展望 2012」
(2012年05月31日:富士経済)



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