■注目される個別製品市場 |
1.ポリカーボネート(PC)
2011年 | 前年比 | 2017年予測 | 2011年比 |
1兆8,444億円 | 110.1% | 2兆4,717億円 | 134.0% |
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2011年の世界市場は320万トン/1兆8,444億円となった。中国及びその他アジアの需要が、世界市場の過半数を占めている。中国では、特に内陸部における需要が増加している。世界的に見ると各ポリカーボネートメーカーの設備の新・増設の影響で供給が過剰となっているが、中国では例外的に需給がタイトとなっている。中国をはじめ、その他のアジア、中東では生産拠点の新・増設が進められているが、これらの増加分は主に中国で消費されると見られる。その他アジアではインドの需要が増加している。
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日本では、OA機器や電気・電子部品の生産拠点が海外へシフトしており、ポリカーボネートの需要は伸び悩んでいる。新規用途としてスマートメーターの部品・部材向けの市場が立ち上がっている。
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今後の市場は、コストダウンによるポリメタクリル酸メチル(PMMA)代替の促進、中国やインドの需要増加により、2017年には429万トン/2兆4,717億円が予測される。
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2.液晶ポリマー(LCP)
2011年 | 前年比 | 2017年予測 | 2011年比 |
464億円 | 112.3% | 690億円 | 148.7% |
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2011年の世界市場は3万9千トン/464億円となった。用途は電気・電子部品、特にコネクタ向けが大きなウエイトを占めている。タイの洪水、欧州経済危機の影響でパソコン用コネクタ向けが伸び悩んだが、部品点数の多いスマートフォンの部品・部材向けが好調だったこともあり、数量、金額共に前年を上回った。ただし、全体的に需要が伸び悩みを見せており、2012年は数量、金額共に伸び率が鈍化する見込みである。2017年には5万9千トン/690億円が予測される。
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市場は大手コネクタメーカーの生産拠点が集まる中国の需要が中心である。伸び率も他の地域に比べて高く、中国市場の占めるウエイトは今後さらに高まっていく見通しである。日本は成形技術が高く、コネクタのハイエンド品を生産している。中国に次いで需要が大きく、近年はスマートフォン用コネクタ向けが好調である。東南アジアはOA機器用の部品・部材向けが中心であるが、コネクタメーカーも進出を始めており、今後、需要が高まると見られる。欧米は主要コネクタメーカーがアジアへ生産拠点をシフトしたものの、その他メーカーによる小ロット生産は続いている。
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3.環状ポリオレフィン(COP/COC)
2011年 | 前年比 | 2017年予測 | 2011年比 |
249億円 | 100.0% | 433億円 | 173.9% |
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2011年の世界市場は2万2千トン/249億円となった。東日本大震災の影響や、テレビ生産が世界規模で振るわずテレビ用の部品・部材向けが停滞し、市場は横ばいとなった。2012年以降は、スマートフォン用などの光学フィルム向けの拡大に伴い、2017年に向け、数量、金額共に年率9~10%程度の拡大推移が予測される。
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日本では、液晶テレビ用の位相差フィルム向けが落ち込んでいるが、スマートフォンやタブレット用の位相差フィルム向けが拡大している。そのため今後は2017年に向け、数量、金額共に年率12~13%程度の拡大推移が予測される。なお、位相差フィルムなどの光学フィルム向けは、光学フィルムの製造体制や製造技術の面から国内での生産が残ると見られる。また、包装フィルムや容器などの包材向けが増加している。
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中国及びその他アジアでは、光学レンズ向けが主である。カメラを搭載したモバイル機器の普及に伴い、市場は2017年に向け、数量、金額共に年率7~8%程度の拡大が予測される。一部、光学フィルムの生産も始まっているが、実績は少ない。その他アジアでは、スマートフォン向けが多い韓国の需要が大きなウエイトを占めている。
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欧米では、包材向けやシリンジ、マイクロプレートなどの医療機器・器材向けが大部分を占めており、安定した需要がある。
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参考文献:「2012年 エンプラ市場の展望とグローバル戦略」 (2012年07月18日:富士経済)
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