自動車の基幹部品・部材技術の世界市場 市場動向1

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今回は、2020年の「ユーロ6」環境規制のクリアをめざす自動車の基幹部品・部材技術の世界市場をレポートする。

石油燃料を使用する自動車の普及は、「排ガス」による環境汚染を誘引しているが、まだまだガソリン/ディーゼルエンジン車は増加しており、全て電気自動車(EV)あるいは燃料電池車(FCV)になる「ゼロ・エミッション」世界の実現は不透明である。しかしながら、2015年からは欧州における排ガス規制「Euro6」がスタートし、先進諸国を中心に2020年に向けて厳しいCO2規制が課せられ、自動車メーカーはエンジンの改良を初め、部品・部材技術の総合的な開発を迫られている。

世界的な環境規制強化により、対応に向けたガソリン車/ディーゼル車のさらなる技術開発への注力により、低燃費で、しかもハイブリッド車やEV並みに環境に対応する「第三のエコカー」と呼ばれるコンセプト車の領域が出現し、そのコンセプト形成に向けた基幹部品・部材関連市場にも注目が集まっている。

第三のエコカー:HV車などの新技術に依存せず同等の低燃費を実現し、アイドリングストップの搭載や車体の軽量化、空気抵抗の低減など、既存技術を極限まで改善して総合的に効率を高めたエンジン車の呼称。

■環境規制に対応した基幹部品/部材の市場規模予測
(ワールドワイド)
1.FCV向け水素燃料の市場規模予測
 2011年2025年予測2011年比
環境規制対応部品エンジン667万台4,763万台7.1倍
部品3兆3,586億円6兆4,727億円1.9倍
車体軽量化部材10兆498億円15兆7,518億円1.7倍
富士経済調べ
第三のエコカーを開発するにあたってはエンジンの燃費改善技術が重要視され、駆動系ではATの改善、そして車体の軽量化技術、さらに空力構造技術の4分野が総合的に追及される。

特に車体の軽量化は燃費改善対策に大きな役割を占めるが、車体構造に対する設計思想の再検討、レーザー溶接など組み立て加工方法の変更、そして材料の代替、コスト低減、使用量削減といった要素が求められる。これまで鉄からアルミ、さらに樹脂への代替が進行して来たが、今後は軽量化に加えてリサイクルの側面も考慮して材料変更に取り組む必要がある。

現状では金属系素材から樹脂素材他への代替は原材料のコスト高もあり大幅な進展は見られず、実質的にはスポット溶接による加工部位拡大を始めとする加工法変更によるボディ素材コストの低減と、複数の部材(金属プラス樹脂)を用いた複合成形方法による材料変更で軽量化が進められると見られる。

※尚、市場規模予測は下記の品目の市場規模の合算数値である。
環境規制対応部品(1)ガソリン直噴エンジン (2)アトキンソンサイクル/ミラーサイクル (3)HCCI(予混合圧縮着火)
(4)可変バルブタイミング/可変バルブリフトタイミング (5)インジェクタ (6)過給機 (7)アイドリングストップシステム (8)CVT (9)EGR(排気循環システム)(10)尿素SCR(尿素選択還元システム)(11)排ガス処理用三元触媒 (12)DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルタ)(13)エアフロメータ (14)LAFセンサ(リニア空燃比センサ) (15)ノックセンサ
車体軽量化部材(1)高張力鋼板 (2)アルミニウム合金 (3)汎用樹脂 (4)エンプラ (5)熱可塑性エラストマー(6)熱硬化性樹脂 (7)CFRP

■注目車体軽量化部材の市場規模予測
次に、軽量化に向けた素材動向について、アルミ合金とエンジニアリングプラスチック樹脂市場の概略を述べる。

1.アルミニウム合金
 2011年2025年予測2011年比
金額33億円50億円151.5%
富士経済調べ
アルミニウム合金は、特にエンジンのシリンダヘッド、エンジンブロック、シリンダヘッドカバー、エンジン用フードなどの軽量化に大きく貢献している。特に日本、欧州、北米で需要が高い。

一方、中国や発展途上国では、アルミニウムより安価な鉄を使用している。今後は、発展途上国においてもアルミニウム合金部品の採用が加速すると見られる。アルミニウム合金は強度もあり軽量化に最適な材料として今後も採用部位、使用量ともに拡大していくと予測される。鉄に比べ、高価格なためリサイクル活用も意識した採用が進むと見られる。

2.エンジニアリング・プラスチック(Engineering plastic)
 2011年2025年予測2011年比
金額6,033億円1兆510億円174.2%
富士経済調べ
ここでは、強度に特に優れ、100℃以上の環境下でも引っ張り強度と曲げ弾性率を保つプラスチックを「エンプラ」と定義した。中国、インドなど新興国の自動車生産台数の増加や車体軽量化が期待されることから、エンプラの需要拡大が期待されている。しかし、原材料の高騰からコスト面の課題がまだ解決されていない。特にHVやEVなどの次世代自動車(環境対応車)の需要の高まりから、難燃性エンプラの使用が多くなると見られ、コストを抑制した難燃性エンプラの開発が急がれる。

PC(ポリカーボネート)は自動車用窓ガラスに採用すると大幅な軽量化が図れるため、今後も需要拡大が見込まれる。POM(ポリアセタール)は燃料系部品に使用されるケースが多く、主に燃料タンクに使用される。今後もガソリン車、ハイブリッド自動車を中心に採用部位が拡大することが見込まれる。GF-PET(GF強化ポリエチレンテレフタレート)は、欧州でサンルーフレールやドアミラーステイで採用されており、今後も需要が拡大すると予測する。

次回は環境規制への対応に向けて低燃費実現を目指す注目部品の市場動向を取り上げる。

参考文献:「World-Wide 自動車環境技術関連市場実態総調査 2012」
(2012年09月24日:富士経済)



注目業界の市場動向・将来展望


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