高機能コーティング関連市場 市場動向1

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今回取り上げた高機能コーティング関連製品はエレクトロニクス分野、エネルギー分野などで、ある素地に造膜、表面処理を施すことにより、強度や耐久性、耐候性、潤滑性、耐擦傷性、帯電防止性、ガスバリア性、接着性、絶縁性、表面改質など、その製品の要求に合致する高機能化、高付加価値化を付与するものと定義付けた品目を対象に、その市場動向を解説する。

市場動向の把握に対象としたアプリケーション群は、ディスプレイ分野(LCD、OLED・電子ペーパー、タッチパネル)、エネルギー分野(太陽電池・燃料電池、二次電池)、半導体関連分野、次世代アプリケーション・材料分野、自動車分野、光学関連分野、情報記録・グラフィック関連分野に用いられるコーティング剤及び機能別コート剤を対象とした。

■市場規模の概要
高機能コーティング関連製品の市場規模予測
 2012年見込2016年予測年平均成長率
 高機能コーティング関連市場 合計1兆5,330億円2兆651億円7.7%
ディスプレイ分野6,016億円6,953憶円3.7%
エネルギー分野5,429億円9,441憶円14.8%
次世代アプリケーション・材料分野178億円337億円17.3%
富士キメラ総研調べ
高機能コーティング関連市場は、2011年に前年比16.0%増の1兆4,364億円となった。2012年は世界的な景気悪化などを背景に成長が鈍化しており、前年比6.7%増の1兆5,330億円が見込まれる。2013年以降は年率8%近い成長を遂げる見通しで、2016年には2012年比34.7%増の2兆651億円が予測される。

2012年時点ではディスプレイ分野の市場規模が最も大きいが、二次電池周辺市場の成長が牽引となり、エネルギー分野の需要が拡大し、2014年にはディスプレイ分野を上回ると予測される。また、2012年から2016年にかけて最も成長率が高いのは次世代アプリケーション・材料分野で、現状では市場規模が小さいものの今後の拡大が期待される。

■各分野の注目点
1.ディスプレイ分野
LCD(液晶ディスプレイ)関連は世界的なテレビ需要の頭打ちが影響し、伸び悩む一方、OLED(有機EL)・電子ペーパー関連は需要が本格的に拡大していく見通しである。OLEDは大型テレビや照明など新規市場を開拓していく。また、電子ペーパーは電子書籍端末用途の増加が後押しする。

タッチパネル関連は、2013年をピークに減少に転じると予測される。静電容量式タッチパネルにおいてカバーパネル一体型やインセル型が台頭することで部材の使用量が減少するほか、単価の下落も影響する。

2.エネルギー分野
二次電池関連は、スマートフォンやタブレット端末などモバイル機器用途が牽引して高成長が予測される。また、EV(電気自動車)をはじめとした車載用途や産業機器用途も需要を獲得していくとみられる。特に車載用途の市場規模は、需要が本格化すると非常に大きくなると考えられるが、EVやPHV(プラグインハイブリッド車)の販売動向やインフラ整備の進展状況にも左右される。

太陽電池関連は、2012年は低迷したものの、2013年以降は計画されている太陽光発電の設置が再び動き出すと考えられ、薄膜系太陽電池やバックシート関連の需要増加が予測される。燃料電池関連は、家庭用燃料電池市場の拡大に加え、今後FCV(燃料電池車)の本格展開が成長の牽引役として期待される。

3.次世代アプリケーション・材料分
ナノインプリント用材料/転写部材とハイバリアフィルム基板が年率二桁の高成長を遂げる見通しである。ナノインプリント用材料/転写部材は今後本格的に市場が立ち上がる見通しで、LEDをはじめ様々な用途での応用が期待されている。

ハイバリアフィルム基板は、太陽電池用バックシート用途以外はサンプル出荷の段階にあるが、今後はフレキシブルOLED用途などで需要を獲得していくと考えられる。

<採用基材の代替の方向性>
代替の種類代替の方向性がみられる機材
ガラス→フィルム有機ELディスプレイ、有機EL照明、ハードコートフィルム、薄膜系太陽電池、色素増感型太陽電池、全固体二次電池、有機半導体材料
フィルム→フィルム反射防止フィルム、電子ペーパー、透明導電性フィルム、太陽電池用バックシート、LiB用セパレーター、ハイバリアフィルム基板
その他有機薄膜太陽電池
富士キメラ総研調べ
コーティングではなく、基材面から見てみると素材の置換えが期待できる可能性のある品目が幾つか挙げられる。

ガラスからフィルムへの置換えが期待される品目としては、有機ELディスプレイ(OLED)では、Samsung Mobile Displayがポリイミドを基板として利用するディスプレイを上市予定と見られ、今後、採用拡大する可能性がある。OLED照明では暫くはガラス基板での市場形成となるが、将来はフレキシブルOLED照明の実用化が期待されている。

特にOLED関係でフィルム基板を利用する際にはバリア基板が必要になってくる。バリアフィルム基板はまだ実用化して間もないため、基材の本命が特定できないが、PETフィルムが有力。ただし、訴求される耐熱性などの要因により、さらにスペックの高い基板が必要になってくる。

タッチパネルではガラス基板からプラスチック基板やフィルム基板への置換えが期待されている。その他には薄膜系太陽電池や色素増感型太陽電池において、ガラス基板ではなくフレキシブル基板を採用する動きがある。薄膜系太陽電池では耐熱性が必要になる場合があり、ポリイミドなどが採用されている。色素増感型太陽電池ではPETやPENフィルムが本命とみられる。

反射防止フィルムは、現行TACフィルムがLCD偏光板の基板として利用されているが、近年アクリルに置き換える動きが加速している。TACレス偏光板の実用化の可能性もある。

その他では有機薄膜太陽電池の市場形成が期待される。まだ実用化していないため、基板材料の選定は流動的だが、基本的にはロールtoロールの大量生産を可能とする製法が見込まれることからフィルム基板でハイバリア性の高い素材による実用化が必要とされている。

参考文献:「2013年版 高機能コーティングの現状と将来展望」
(2012年10月25日:富士キメラ総研)



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