耐熱・透明フィルム/シートとコーティング材市場 市場動向3

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■注目素材の市場動向
1.COPフィルム【原反フィルム】
2011年2012年見込2016年予測2011-2016年
平均成長率
142億円181億円220億円9.2%
富士経済調べ

COP(環状オレフィンポリマー)は透明性が高く、複屈折率も低い非晶質性樹脂で、フィルム化することで優れた光学特性を発揮する。また、吸水性が低く、耐熱性もPCと同等以上であることも特徴である。

2011年のCOPフィルムの市場規模は、金額ベースで142億円(数量ベースで4,300万m2)となった。2012年はSamsung El.社がVAモードの液晶テレビにおいてCOPフィルムの2枚使いに移行したことから、数量は前年比で大幅に増加したようだ。ただし、市場の大半を占めている大型ディスプレイ向け位相差フィルムはセットメーカーの採用意向に左右されるため、今後、市場規模は大きく変動する可能性がある。位相差フィルム用は従来用いられてきたTACフィルムの代替である。

COPは光学特性の高さを生かし位相差フィルム用途以外の用途開拓が盛んに行われている。中でも透明導電性フィルム用は面積の大きいタブレット端末における透明電極基板として採用されることで、需要が急拡大する見通しである。

また、構造中に極性部がなく非晶性であるため、他の樹脂と比べて優れた耐湿性を有し、表面平滑性に優れるため、無機物の膜厚が均一になりやすく精密なバリア層が形成できる特性を生かして、太陽電池や有機ELディスプレイのバリア基材としての用途も有望視されている。

2.FPD用ITOターゲット材【コーティング材】
2011年2012年見込2016年予測2011-2016年
平均成長率
597億円662億円940億円9.5%
富士経済調べ

ITOターゲット材はガラス基板の大型化とともに大型化しており、第10世代製品は1辺が3m程度になっている。

ITOターゲット材は少しずつ摩耗するため、板状タイプでは通常30%程度使用するとターゲット材メーカーに戻されてリサイクルが行われる。また、ロータリー(円柱)タイプのITOターゲット材は70~80%まで使用することが可能で、生産効率が良い点が評価されている。

2011年のITOターゲット材の市場規模は、金額ベースで597億円(数量ベースで1,280トン)となった。LCD用はテレビ需要の伸びが鈍化し、生産調整が行われたことから2011年は微減となっている。一方、中国、台湾等でタッチパネル用の需要が拡大しており、全体としては、2011年は前年比4.1%の増加となった。2012年以降、中国など新興国におけるLCDテレビ向けと、タッチパネル向け需要の増加が見込まれる。

その他では、PDP向けの需要が減少していく一方、有機EL向けに今後、需要が高まると予測される。また、電極形成用として使用されており、電子ペーパー、太陽電池、有機ELなどのフレキシブル部材向けの需要が長期的に期待される。

3.ITOフィルム【機能性フィルム】
2011年2012年見込2016年予測2011-2016年
平均成長率
427億円527億円459億円1.5%
富士経済調べ

ITOフィルムが使用されるタッチパネルのセンサー方式には抵抗膜式と静電容量式がある。抵抗膜式タッチパネルのITOフィルムは、プラスチックフィルム基材にITOの密着性を高めるためにアンダーコート処理が行われ、傷付き防止のために表示部側にハードコート処理が行われている。抵抗膜式タッチパネルでは上部電極を可動にするため、必ずITOフィルムが使用されているが、下部電極は固定されている部品であるためフィルムではなく、ガラスが使用されるケースもある。

2011年のITOフィルムの市場規模は、数量ベースで1,045万m2、金額ベースで426.5億円となった。タッチパネル需要の拡大と共に、ITOフィルムは2012年までは高い伸び率が継続する見通しである。

スマートフォン向けで静電容量式への代替により、減少が進んでいる抵抗膜式タッチパネル用ITOフィルムの需要は、カーナビ向けでは増加していくものと見られている。一方、スマートフォン向けの静電容量式タッチパネル用ITOフィルムの需要は、ハイエンド品がITOフィルムを必要としないカバーガラス一体型静電容量式タッチパネル、インセル型/オンセル型静電容量式タッチパネルへと移ることによりローエンド、ミドルエンド向けが中心となり、さらに2枚使いのITOフィルムから1枚使いのITOフィルムへと代替が進んでいる。

また、ITOフィルムのタッチパネル以外の用途として、電子ペーパーや有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、有機EL照明向け等が有望として期待されている。有機EL照明等の需要の立ち上がり時期にはガラスITOとの競合が厳しいと予測されるものの、ITOフィルムの評価が進み、採用が拡大していく見通しである。

2014年以降、新規用途がタッチパネル向け需要の減少を補って、ITOフィルム全体市場として、ほぼ横ばい傾向で推移するものと予測される。

(なお、採用されているフィルム基材の動向については、参考資料にタッチパネルのタイプ別に詳細が解説されているので、そちらを参照されたい。)

参考文献:「2013 耐熱・透明フィルム/シートとコーティング材の用途探索」
(2012年11月12日:富士経済)



注目業界の市場動向・将来展望


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