世界の大型二次電池市場 市場動向1

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世界の大型二次電池市場は、2020年には4兆896億円に達するとみられ(2011年比3.9倍 富士経済推定)、特に注目される製品は中・大容量電力貯蔵システム(系統設置)向けNAS電池や鉛電池で、2020年には1,746億円(2011年比349倍 同)と高い成長率を示し、市場を牽引して行くとみられる。

今回は、電力貯蔵分野、動力分野、家電・DIY分野における大容量の二次電池市場を俯瞰してみる。

■市場動向
1.世界の大型二次電池の市場規模推移
2012年見込2020年予測2011年比
11,714億円40,896億円386.4%
富士経済調べ

対象とした電力貯蔵分野、動力分野、家電・DIY分野における2012年の蓄電デバイスの全体市場規模は、2011年比で約15%増となる約2兆1,875億円となる見込みであり、2020年には約3兆8,000億円に達すると予測された。

なお電力貯蔵分野については「非常用電源」「系統安定化・負荷平準化」の二用途に市場を分けている。これは、各用途において、必要とされる蓄電デバイスの性質が大きく異なることから、市場規模や推移に差が生じるためである。

分野別では、電力貯蔵分野[系統安定化・負荷平準化用途]の風力発電システムと中・大容量電力貯蔵システムが市場を牽引し、2020年には2011年比で約1.8倍となる約2,700億円へと市場が拡大する。また、動力分野についても、フォークリフトや電動式自動二輪車の市場拡大が寄与し、2020年には2011年比で約2倍となる約1,066億円規模の市場が見込まれる。

蓄電デバイスを種類別に見ると、2011年では市場の約40%のシェアを有した鉛電池に変わり、2020年にはリチウムイオン電池が2011年比で約2倍増となる約2兆5,000億円程度に上り、シェアとしても65%程度を占めると予測される。

リチウムイオン電池は、電動自動車の本格普及が期待される2015年以降に低価格化が進展することが想定されるため、多分野において鉛電池からの「代替」が進むと考えらえる。

同じく、急激な市場拡大が予測される蓄電デバイスとしては、動力分野の建設機械等で台頭する電気二重層キャパシタや電力貯蔵分野[系統安定化・負荷平準化用途]において海外での採用が拡大するNAS電池等が挙げられる。

これら各蓄電デバイスは、各応用製品分野において市場の拡大が予測されるが、これは蓄電デバイス毎の「棲み分け」、「使い分け」が今後明確化していくことにつながる。

蓄電デバイスを搭載する製品開発において、最大のネックとなるのが「コスト」であるが、環境対応や電力の有効活用などを目的に今後も蓄電デバイス搭載製品の市場は堅調に推移していくことが想定される。そのため、各蓄電デバイスの性能をより「効果的に」発揮できる製品開発が求められていくものと予測される。

2.応用製品の世界市場規模推移(製品数量ベース)
応用製品2011年(実績)数量(MW・台)2012年(見込)数量(MW・台)2015年(予測)数量(MW・台)2020年(予測)数量(MW・台)市場伸長率(%)(‘20/’11年比)













住宅用蓄電システム ※※108130170213197.2
太陽光発電システム20,05027,15042,93061,700307.7
中・大容量電力貯蔵システム(系統設置)1325050050,000.0
中・大容量電力貯蔵システム(需要家設置)31836652,166.7
風力発電システム40,80043,00051,00090,000220.6






小容量 UPS・小容量電力貯蔵システム14,600,00015,400,00017,800,00022,100,000151.4
中・大容量UPS33,50036,20041,70044,100131.6
無線基地局・中継局(携帯電話)788,200806,400875,600947,600120.2
街路灯32,80043,50087,000220,000670.7
信号機1702207502,5001,470.6
※系統安定化・負荷平準化用途の市場規模はMWにて表記
※※住宅用蓄電システムは2.5kW/台換算で算出
富士経済調べ

■系統安定化・負荷平準化用途の製品市場動向
2011年比の2020年伸長率では、全製品で高い伸長が予測されるが、特に「中・大容量電力貯蔵システム(系統設置)」が40,000%、「中・大容量電力貯蔵システム(需要家設置)」が2,500%と高い。

電力システムの強化に向けた実証実験が各地で進められていることに加え、電力需要拡大に向けたインフラ整備とともに市場の拡大が予測される。

■同蓄電デバイスの搭載動向
蓄電デバイス市場でも、「中・大容量電力貯蔵システム(系統設置)」における需要の大幅拡大が期待される。国内では経済産業省が変電所等に導入する電力系統用の大型蓄電池として、NAS電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、鉛電池等をピックアップしている。これらの蓄電デバイスに対して、低コスト化、大容量化(数十~一千kWh)、長時間(6~7時間程度)の連続充放電等を目標に設定。モデルケース等を踏まえ、2015年前後から大幅な市場の拡大が見込まれている。

■非常用電源用途の製品市場動向
非常用電源分野として位置づけた全5製品における、2011年比の2020年伸長率は、約150%となった。台数ベースでは、「小容量UPS」が大半を占めるが、伸長率として見た場合には、「信号機」「街路灯」の伸びが高い。

「街路灯」「信号機」はいずれも官需主体の市場であるが、国内市場においては東日本大震災以降、バックアップ電源に対する意識が高まったことにより、長期的にも堅調に推移していく。海外市場においては、新興国などのインフラ未整備地域における独立電源型の導入メリットの高さに加え、蓄電池未搭載機器への後付け需要が増すと想定される。

■同蓄電デバイスの搭載動向
蓄電デバイス市場においては「小容量UPS・小容量電力貯蔵システム」「無線基地局・中継局(携帯電話)」が主要な市場となる見通しである。

「無線基地局・中継局(携帯電話)」では、スマートフォンの急速な普及に伴い、同市場も拡大傾向で推移しており、短期的には先進国が、中長期的にはインフラ整備が進む新興国が全体市場を牽引すると考えられる。

尚、次回は動力分野、家電・DIY分野の市場動向を解説する。

参考文献:「エネルギー・大型二次電池・材料の将来展望 2013
(次世代環境自動車分野編/動力・電力貯蔵・家電分野編)」
(2012年11月19日:富士経済)


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