次世代環境自動車分野の大型二次電池市場 市場動向1

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今回は、次世代環境自動車分野における大容量二次電池市場を俯瞰してみる。次世代環境自動車市場は、2020年に4,284万台を突破し世界自動車生産台数における構成比は約38%まで上昇すると予測され、当該自動車市場の拡大によって蓄電デバイスの市場は、2020年に2011年比約10.5倍となる2兆3,774億円まで拡大する見通しである。

現状、蓄電デバイス市場は2012年に約140万台の市場が見込まれる「ストロングHEV」と、「EV」向けが牽引しているが、2015年以降世界的に強化される燃費規制への対応を背景として、PHEV製品のラインナップ拡大が予測される。

PHEVは、HEVベース、又はEVベースでシステム構築が可能であるため、次世代自動車開発の存在感が高まっており、蓄電デバイス市場ではトップシェアまで躍進すると見られる。

■市場動向
1.次世代環境自動車・蓄電デバイス市場推移・予測(世界市場)

区分2011年(実績)2012年(見込)2013年(予測)2020年(予測)
自動車生産台数(台)80,108,00085,075,00089,183,000114,012,000
次世代環境自動車(台)4,317,2357,556,40510,400,19542,844,380
構成比(%)5.48.911.737.6
蓄電デバイス市場(百万円)225,813302,303427,8422,377,374
 ISSV13,97021,10028,330248,950
マイルドHEV9,77015,20019,57073,990
ストロングHEV89,450135,920156,470411,700
HEVトラック・バス1,9402,1302,6305,170
PHEV11,47037,04068,850979,450
EV85,00077,580137,160629,450
EVトラック・バス14,14013,26014,74027,620
FCV7373921,044
富士経済調べ

エリア別の蓄電デバイス市場の傾向をみると、現状HEV、EV市場で量産に先行している日本市場が過半を占めており、2012年は6割弱のシェアを占めたようだ。しかし、今後欧米市場における次世代環境自動車の生産開始計画が相次いでおり、蓄電デバイス市場は世界的な拡大が予測される。

米国では、北米市場を中心としてPHEV市場の普及拡大が予測され、1台当たりの電池搭載容量も大きいため、2015年以降の蓄電デバイス市場では日本市場を上回り、トップシェアとなる見通しである。

欧州はISSVの需要がけん引し、2020年には同タイプにおいてはトップシェアとなることが予測され、北米市場に次ぐ市場規模となると想定されている。

■2.車種別市場トレンド
1)アイドリングストップ車(ISSV)
ISSは、システムの都合上MT車への搭載が容易なことから、MT車需要が多い欧州市場が需要の中心として推移してきた。近年はAT 車への搭載も可能なシステム開発が進んだため、完成車メーカーのラインナップも拡大している。

HEVやEV等と比較して廉価なシステム構成を採る事が可能であり、イニシャルコストの増加も抑えられるため、今後自動車の環境性能を向上させる機能として普及して来ている。特に、道路環境から発進・停止を繰り返す運転形態が多い欧州市場での需要性は高く、今後、アメリカや中国、アジア市場にも採用が拡大していくと見られる。

2)マイルドHEV
同市場を牽引するホンダは国内を中心とした生産体制を採っており、現状は海外メーカーの生産規模も限定的なため需要の中心も国内市場となっている。

ホンダは「インサイト」で200万円以下の低価格HEVの市場を確立させ、「フィット・ハイブリッド」でさらにHEVの価格を低下させた。ストロングHEVを展開する競合トヨタに対して、低価格を訴求ポイントとしてラインアップを拡大させている。

海外メーカーでは、GMが2012年から「ビュイック・ブランド」での本格展開を開始した他、欧州メーカーにおいても今後マイルドHEVのラインナップ拡大が推定される。

中国は、次世代自動車の普及計画として、PHEV、EVを中心に据えているが、低コスト化が可能な省エネ車としてHEV を位置付けており、税制優遇措置を講じることで、今後のHEV市場においても普及を後押ししていく流れにある。

マイルドHEVは、軽量コンパクトなハイブリッドシステムであるため、今後も中小型車クラス全般で採用車種の拡大が予測される。現状は日本中心の需要構成であるものの、今後世界的に需要増加が想定され、世界市場においても順調に市場が拡大していくと見られる。

3)ストロングHEV
同市場はトヨタが牽引しており、2012年の生産シェアではトヨタ1社で9割近いシェアを占めている。更に、コンパクトHEV「アクア」の生産を開始したため、国内生産台数は100万台を超える見通しである。トヨタは、2020年代に全車にハイブリッドモデルを設定する目標を掲げており、既存車種も含め、2015年までに21車種のHEV投入計画を公表している。

トヨタに加え、国内ではニッサンが独自開発でHEV展開を開始しており、富士重工業やマツダにおいてもトヨタとの技術提携によって2013年をめどにHEV投入を予定している。海外メーカーでは、製品化済のFordに加え、現代・起亜グループ、VWグループ等がHEV 販売や、ラインナップを増強している。

当該市場は、現在までにトヨタがHEV関連の周辺特許を抑え、市場展開に圧倒的な優位性を確保している。トヨタでは、積極的に他メーカーへ技術供与することでHEVをラインナップする自動車メーカーを増加させていく戦略であり、次世代自動車におけるHEV の位置づけを向上させていく方針である。2012年にはFordとピックアップトラック向けHEVの共同開発の他、BMWにも技術供与を進めていくアライアンスを構築した。  (次回へ続く)

参考文献:「エネルギー・大型二次電池・材料の将来展望 2013
(次世代環境自動車分野編/動力・電力貯蔵・家電分野編)」
(2012年11月19日:富士経済)


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