次世代環境自動車分野の大型二次電池市場 市場動向2

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前回に引き続き、次世代環境自動車分野における車種別市場トレンドについて解説する。今回は特に大型車種、及びEV/FCVを取り上げた。

■2.車種別市場トレンド(前回の続き)
4)HEVトラック・バス
HEV技術開発に注力している日野自動車は、2011年にモータアシストや回生機能を改良した新型ハイブリッドシステムを開発し、販売を開始した。三菱ふそうは、Daimlerと共同で新型HEVトラックの研究開発を進めている。これまでは国内を中心に販売を行ってきたが、2008年の世界経済不況以降、国内のHEVトラック販売台数は低迷しており、2009年以降は海外輸出に注力している。近々、ポルトガルで「キャンターエコハイブリッド」の生産も開始する予定である。

バスについては、中国等で路線バスやスクールバス等でHEV化の動きが強まっている。特に中国では公共交通網の電動化を進める「十城千輌プロジェクト」の一環としてEVバスとともにHEVバスが導入されている。HEVバス市場は車両価格が高額であるため、政府プロジェクト等による導入支援を進めている。

5)PHEV
現状ではトヨタ、GM等による初期需要の創出フェーズであり、日米市場が生産面、販売面ともに中心である。

PHEVでは、EVのシステムをベースとしたモデルと、HEVをベースとしたモデルがあり、自動車メーカーにより開発戦略が分かれている。従来からHEV市場に参入していたメーカーはHEVベースで開発を行うケースが多く、EVベースで市場に参入するメーカーは、PHEV開発とEV開発を連携させてシステムコストの圧縮を図る傾向が見られる。

2012年以降、北米カリフォルニア州における自動車販売規制(ZEV規制)が段階的に強化されていく予定であり、PHEV需要の高まりが想定される。さらに2015年以降は、日米欧等の世界各国で燃費規制が強化される予定であり、同年以降市場も拡大基調で推移していくと予測される。

6)EV
EV市場は、ニッサン、三菱自動車等の日系メーカーが量産で先行しているが、その他メーカーは走行可能距離の限界や電池の適正搭載量、寿命等のデータ収集を目的とした量産試作車開発を進めている段階である。

2012年は北米カリフォルニア州のZEV規制対応の影響もあり、EV生産を開始するメーカーが増加した。トヨタ、ホンダ、マツダなどの日系メーカーの他、Daimlerは約2年間の走行実証を重ねてきた「Smart」のEV量産を開始している。

しかし、2012年は主要な需要地域である欧州で、経済危機の影響から自動車市場自体が落ち込んでおり、エンジン車と比較して高価なEVは販売が伸び悩んでいる。また、急速充電方式に関する世界標準規格が統一されておらず、欧州、北米、日本で標準規格統一に向けた競合が激化しており、充電インフラの整備が十分進行しない状況も需要拡大を阻害している。

7)EVトラック・バス
国内市場は、実証・プロジェクトレベルに留まり、東京R&Dが既存エンジン式の車体を改造したバスやトラックを製造している段階で、三菱ふそうがコンセプトモデルとして小型電気トラック「キャンターE-CELL」を発表しているが、市販化は実現していない。同様にニッサンも積載量2.0トンクラス「e-NT400アトラスコンセプト」の車体に「リーフ」のコンポーネンツを搭載した製品を発表しているが、市販化していない。他に、三菱重工業がEVトラック・バス向けに電池を供給し、実証などを進めている。

EVトラック・バス市場は、海外を中心として徐々に市場開拓が進められており、都市部での路線バスや配送トラックとして走行データの収集等が行われている。特に市場拡大が顕著なのが中国であり、バス・タクシー等の公共交通網における次世代自動車導入プロジェクトを進めており、EVバス導入には最大50万元の補助金を支給している。

現状では、長距離を除くバスや配送拠点からの配送に使用するトラック等が大勢を占める状況にある。このような用途では、充電インフラの課題が解消できる。しかし、車両価格が高価格であることが当該市場最大の課題となっている。

8)FCV(燃料電池自動車)
HEV、EV等の電池系次世代自動車の市場投入計画が相次ぐ中、2009年に大手自動車メーカーから2015年を目途としてFCVの量産を開始する声明が出されている。大手メーカーの量産化計画公表の背景として、1台・数千万円とされる車両価格が、1,000万円以下の水準にまで低下するめどが立った事が最大の要因と見られており、目標販売価格帯として500万円前後が掲げられている。そのためには、スタック部材や水素タンク等も含めFCVとして大量生産が可能な枠組み作りが必要となる。

更に、高額な設置コストを要する水素ステーションの整備には、ガス・石油会社等のエネルギー関連事業者と協同したプロジェクト推進体制も必要となり、定置用燃料電池の実証も含めた各種プロジェクトが実施される方向にある。

今後の市場拡大には、世界レベルの各種規格化やインフラ整備等を進める必要があり、特に日本は水素関連の規制緩和が求められる。

次回は、次世代環境自動車用リチウムイオン電池におけるセル形状別市場動向について解説する。

参考文献:「エネルギー・大型二次電池・材料の将来展望 2013
(次世代環境自動車分野編/動力・電力貯蔵・家電分野編)」
(2012年11月19日:富士経済)



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