次世代環境自動車分野の大型二次電池市場 市場動向3

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今回は、次世代環境自動車用リチウムイオン電池(LiB)のセル形状別の採用動向について俯瞰してみる。

■2.車種別市場トレンド(前回の続き)
1)形状別セル市場規模の推移(単位:数量/千セル、構成比/%)
セル形状区分\摘要セル市場規模車両(台数)に対する構成比
2012年見込2015年予測2012年見込2015年予測
数量構成比数量構成比構成比構成比
円筒セル22,02542.598,88233.614.08.1
ラミネートセル18,03634.882,16227.934.622.3
角型セル11,76522.7113.64238.651.469.6
合計51,826100.0294,686100.0100.0100.0
※マイルドHEV、ストロングHEV、PHEV、EVが集計対象
※“18650タイプ”のセルは円筒セルにカウントしている。
富士経済推定

上記は、セル形状別車載用リチウムイオン電池の市場規模推移の予測である。車両台数では、2015年に角型セル搭載比率が70%程度を占めると予測されるが、セル数では円筒型、ラミネート型との差が縮小し、約39%程度の市場シェアが想定される。

円筒タイプ(18650含)の主要サプライヤーはBYD、パナソニック、JCI、日立ビークルエナジー、A123で、量産化しやすく製造コストを低減し易いが、自動車用セルとして採用するにはデッドスペースの課題等が挙げられる。現在、トヨタやマツダ、Tesla等がEV用電池として“18650セル”を採用しており、1台あたり数千セルを搭載するため2012年のセル市場において形状別ではトップシェアである。

ラミネートタイプの主要サプライヤーはAESC、A123(JCI)、LG化学、Li-Tec、SKである。フィルム外装のためエネルギー密度に優れるが、耐振動性やセル膨張に対しての対策が必要となる。現状では、充放電レートが高いHEVへの採用率は低く、PHEV/EV用で採用されるケースが多い。

角型タイプの主要サプライヤーは三洋電機、LEJ、PEVE、BE、日立VE、SBL(サムスンSDI)、東芝である。車両の出荷台数規模が大きいHEVで採用率が高いため車両台をベースとした搭載シェアは、今後も、トップシェアと予測される。しかし、HEVに搭載される電池パック容量が1~2kWh程度であるため、1台あたりの搭載セル数は少なくなる。

2)車種別形状別セル市場規模の推移(単位:数量/千セル、構成比/%) ①円筒タイプ(単位:数量/千セル、構成比/%)
車種区分\摘要2012年見込2015年予測
数量構成比数量構成比
マイルドHEV1,2165.53,4883.5
ストロングHEV4652.13,3473.4
PHEV5,01422.826,42526.7
EV15,33069.665,62266.4
合計22,025100.098,882100.0
富士経済推定

車種別搭載比ではマイルドHEV向けが主力であり、今後も同様の傾向が続くと予測される。マイルドHEVは、1台あたりの電池搭容量が少なくて済み、セル間のデッドスペースの影響を最小限に抑えることが可能であるため搭載に向いているといえる。

2012年にTeslaやトヨタ“18650セル”を搭載するEVの量産を開始しており、セルを供給しているパナソニックが主要サプライヤーである。パナソニックはTeslaのEV8万台分へ供給していく計画である。

②ラミネートタイプ(単位:数量/千セル、構成比/%)
車種区分\摘要2012年見込2015年予測
数量構成比数量構成比
マイルドHEV670.42,1112.6
ストロングHEV4,79126.613,43616.4
PHEV7,18639.842,50151.7
EV5,99233.224,11429.3
合計18,036100.082,162100.0
富士経済推定

PHEV市場をけん引するGMがラミネートセルを採用しており、セル市場規模、車両台数共にPHEV向けのシェアが高い。セル市場では2015年に50%以上までシェアが拡大すると想定される。

その他、ラミネートセルはニッサン、Renault、Daimlerや現代自動車等が積極的に採用しており、ニッサン、Daimlerは子会社としてセルメーカーを設立している。

③角型タイプ(単位:数量/千セル、構成比/%)
車種区分\摘要2012年見込2015年予測
数量構成比数量構成比
マイルドHEV1,23610.512,39610.9
ストロングHEV6,33453.868,32660.1
PHEV1,90516.225,26022.2
EV2,29019.57,6606.7
合計11,765100.0113,642100.0
富士経済推定

高レート充放電下で使用するHEVでは、出力特性と機械強度の観点からも角型セルの評価が高い。トヨタ、ホンダ、Ford、VW等の大手自動車メーカーがHEV用では角型セルを採用しており、2015年にかけてHEVラインナップを拡大していく計画であるため、セル市場規模、車両台数共に2015年には60%を超えるシェアが想定される。ラミネートセル子会社を保有しているニッサンは、HEV向けで日立VEから角型セルの調達を開始する方針である。

参考文献:「エネルギー・大型二次電池・材料の将来展望 2013
(次世代環境自動車分野編/動力・電力貯蔵・家電分野編)」
(2012年11月19日:富士経済)



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