耐熱・光学ポリマーの世界市場 市場動向1

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耐熱・透明フィルム/シートとコーティング材の動向については年初に連載でレポートしたが、今回は、高い耐熱性や光学特性を有し、金属やガラス等の無機素材代替などにより各種エレクトロニクス産業や自動車産業の発展に大きく寄与している耐熱・光学ポリマーの世界市場を取り上げた。

本編では、耐熱ポリマーとしてはエンプラ・スーパーエンプラ、熱硬化性樹脂等、耐熱性を前程に用途展開される樹脂を、透明ポリマーでは透明性・光学特性により用途展開がされる樹脂を対象とした。

耐熱・光学ポリマー市場は、富士キメラ総研の予測によると、2016年に耐熱ポリマーが約4兆円(2012年比14.9%増)となり、その要因として、次世代自動車用途が市場拡大を牽引するとみている。同様に、透明ポリマーは約15,000億円(同12.3%増)と予測され、光学特性を活かした高付加価値分野で成長が期待できるとしている。

区分2012年2016年予測2012年比
耐熱ポリマー34,838億円40,046億円114.9%
透明ポリマー13,660億円15,345億円112.3%
合計48,498億円55,391億円114.2%
富士キメラ総研調べ

耐熱・光学ポリマー市場は、エレクトロニクスや自動車用途を中心に拡大してきたが、ここ数年はリーマンショックや中国経済の成長鈍化、欧州景気不安などによる影響を受け苦戦している。2012年の市場は、一部電気・電子分野の不振や欧州市場の低迷が響き、金額ベースで2011年比1.0%減の48,498億円となった。

市場を取り巻く環境は厳しい状況が続いている中で、スマートフォンやHV・EV、医療機器、各種エネルギー等の成長分野もあり、ポリマーによっては高成長を維持している品目もある。今後の耐熱・光学ポリマー市場拡大のためには、既存用途に縛られずに、新たな成長用途を獲得していく必要がある。2013年以降は品目による差があるものの、自動車分野等が牽引して市場は拡大に向かうと考えられ、2016年の市場は2012年比14.2%増の55,391億円が予測される。

■耐熱ポリマー市場
耐熱ポリマー市場は、リーマンショックで落ち込んだ後徐々に販売量が増加しているが、2011年から2012年にかけては成長率が鈍化した。欧州景気不安、中国経済の停滞が要因と考えられる。2012年の市場は金額ベースで2011年比1.0%増の34,838億円に留まった。

用途別では、これまで牽引役であったエレクトロニクス分野が不調で、特に、樹脂使用量が多いLCDについては大型TVの需要が一巡した感があり、スマートフォンやタブレットの需要は増加しているものの、大型TVに比べると樹脂使用量が少ないため販売量へ影響している。

今後の用途としては、HVやEV等の次世代自動車向けが注目される。自動車はこれまでも電子化、樹脂化が進んできたが、EV等で更に採用が加速し、耐熱エンプラ等の使用量増に結び付く要因となっている。2016年には2012年比14.9%の40,046億円が予測される。

耐熱ポリマー分野における高成長品目としてはTPI、PEEKなどが挙げられる。TPIはフィルム向け、PEEKは様々な用途で採用が広がっている。また、用途の裾野が広く、電気・電子用コネクタやLEDリフレクタ、自動車で一定の需要を獲得している耐熱PAも高成長が期待できる。

■透明ポリマー市場
透明ポリマー市場は、市場の約6割を構成するPC(ポリカーボネート)が、主要用途である光ディスク需要の減退により2010年から縮小しており、2012年は2011年比6.0%減の13,660億円となった。

2013年に市場は拡大に転じ、2014年以降年率2~3%程度の成長が予測される。特に、導光板/拡散板等の光学フィルム・シート、光学レンズ、自動車レンズカバーなどの光学特性を重視する高付加価値分野では高成長が期待できる。2016年の透明ポリマー市場は2012年比12.3%増の15,345億円が予測される。

また、今後期待される品目として、光学系撮像レンズ・耐熱車載レンズ・マイクロレンズ等での応用が進められている「高屈折硬化系樹脂」、そして、中国をはじめとするアジア、及び東欧、中南米などの新興国市場向け眼鏡レンズ用途で低屈折樹脂レンズからの需要シフトが顕著な「透明熱硬化系樹脂」、携帯電話やDSC(デジタルスチルカメラ)等の光学系撮像レンズ向けで需要が拡大し、今後も車載カメラ、監視カメラへ採用が拡張するとされる「高屈折熱可塑性樹脂」があげられる。

参考:耐熱・透明性ポリマーの位置付け/成長率鳥瞰図
参考:耐熱・透明性ポリマーの位置付け/成長率鳥瞰図
耐熱性の位置付けは、荷重たわみ温度を基に作成し、空欄のものについてはTg(ガラス転移温度)を使用した。温度は一般的な物性を基準としており、耐熱グレードは考慮していない。

次回は、注目製品として、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PC(ポリカーボネート)の市場動向について解説する。

参考文献:「2013年 耐熱・光学ポリマー市場の現状と将来展望」
(2013年01月21日:富士キメラ総研)


注目業界の市場動向・将来展望


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