● |
耐熱・光学ポリマーの注目用途分野の動向、第三回は表示デバイスから、更に照明用光源用途で普及拡大が進む「LED」を取り上げる。
|
|
■耐熱・透明ポリマー市場規模(当該分野で採用されている主な耐熱・透明ポリマー一覧) |
品目名 | 2012年 | 2016年予測 | ‘12/’16年平均成長率 | 主要用途例 |
(t) | % | (t) | % |
PC | 20,000 | 45.7 | 28,000 | 49.7 | 8.8% | LED電球カバー、蛍光灯型LEDカバー |
耐熱PA | 16.500 | 37.7 | 16,100 | 28.6 | -0.6% | LED用リフレクタ、ソケット |
エポキシ | 4,400 | 10.1 | 5,000 | 8.9 | 3.2% | 封止材 |
耐熱ポリエステル | 1,500 | 3.4 | 5,300 | 9.4 | 37.1% | LED用リフレクタ |
シリコーン | 500 | 1.1 | 1,090 | 1.9 | 21.5% | 封止材 |
FMP | 500 | 1.1 | 480 | 0.9 | -1.0% | LED製造用モールド(砲弾型) |
脂環式エポキシ | 275 | 0.9 | 300 | 0.6 | 2.2% | LED封止材、OLED封止材、光学用透明接着剤 |
LCP | 100 | 80 | -5.45% | LED用リフレクタ |
PAR | 僅少 | 僅少 | - | LED用リフレクタ |
合計 | 43,775 | 100.0 | 56,350 | 100.0 | 6.5% | |
※世界需要(主要品目を抽出している) | 富士キメラ総研調べ |
|
● |
LED向けに使用されている主要なポリマーを上記に示した。
|
● |
最も需要が多いのはLEDカバー向けであり、PCが採用されている。次いでLED用リフレクタ、LED用封止材が挙げられる。LED市場の拡大に伴い需要の拡大が期待されるが、近年、LED用リフレクタはポリマー間での競争が激しく、同用途で最も需要の多い耐熱PAや、LCPは代替される傾向にある。
|
● |
最も需要が多いPCは、LED電球カバーや蛍光灯型LEDカバーに採用されており、優れた光学特性(透明性)、難燃性、耐衝撃性等の性能面が評価されている。
|
● |
LED用リフレクタには、耐熱PAおよび耐熱ポリエステル、LCPが採用されている。従来、LED用リフレクタは耐熱PAが採用されてきたが、近年はLEDが高出力になり耐熱性がさらに求められるようになっているため、耐候性に優れ、長期間の熱色安定性に優れる耐熱ポリエステルが耐熱PAを代替し、大きく需要を拡大させている。
|
● |
また、LCPも高融点(300℃以上)の特性や、LED素子の共晶はんだ実装が可能等の理由から一部で採用されているが、高耐熱性が求められる限定的なアプリケーションでの採用に留まるとみられる。
|
● |
封止材にはエポキシ、シリコーン、脂環式エポキシが採用されている。両者はアプリケーションにより棲み分けされており、エポキシは家電製品やデジタルAV機器に用いられる有色LED向け、シリコーンは主にLCDバックライト用や照明用等の白色LED向けに採用されている。
|
● |
脂環式エポキシは高透明性、低粘度、耐熱性等が評価され白色LEDに採用されているが、用途が限定的であり、大きな需要拡大はないとみられる。
|
● |
これ以外にも、耐熱PAはソケットに採用(200t規模)、PMPは砲弾型LEDの製造用モールドに採用されている。PMPは砲弾型のLEDに使用されているが、LED市場の中心は表面実装型であることや、モールドは長期間繰り返して使用することから、需要は減少見込みである。
|
|
■市場の方向性・トレンド |
● |
LEDは、TV、ノートPC、スマートフォン、携帯電話、照明等で使用されており、LED市場の拡大に伴い、需要は増加していく。ただし、LEDは以前よりも高出力化が進み、より高い耐熱性が求められているため、従来使用されてきた製品よりも高耐熱な製品へ需要がシフトしていくとみられる。
|
● |
次回は需要量も比較的多い自動車/航空機分野を取り上げる。
|
|
参考文献:「2013年 耐熱・光学ポリマー市場の現状と将来展望」 (2013年01月21日:富士キメラ総研)
|
|

|