耐熱・光学ポリマーの注目用途分野動向 自動車/航空機編

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今回は多様な種類の樹脂が使われ、需要量も比較的多い自動車/航空機分野の用途動向をレポートする。

■(1)自動車編
耐熱・透明ポリマー市場規模(当該分野で採用されている主な耐熱・透明ポリマー一覧)
品目名2012年2016年予測‘12/’16年平均成長率主要用途例
(t)(t)
PC273,00036.7363,00039.47.4%ヘッドランプレンズ、グレージング、コネクタ
PMMA190,00025.6222,30024.14.0%テールランプカバー、メーターパネル、ドアバイザー
変性PPE105,00014.1112,50012.21.7%外装部品、コネクターブロック、リレーブロック
耐熱ABS45,0006.151,6005.63.5%内装部品、リアランプ、ラジエーターグリル
耐熱PA44,0005.963,3006.99.5%チェーンテンショナー、ワイヤーハーネス、各種ギア
PPS43,0005.858,4006.38.0%オルタネーター、燃料ポンプ、ウォーターポンプ
フッ素30,0004.033,8003.73.0%シールリング、燃料チューブ、ワイヤーハーネス
SPS6,4001.89,3701.810.0%コネクタ、センサ、モーター端子台、ヒューズ
PEI3,1003,1000.0%リフレクタ、ベゼル、コネクタ、エンジン関連部品
PEEK9501,1003.7%シールリング、ギア、ワッシャー
PAR7908602.1%ターンランプ、計器盤レンズ、リレーハウジング
PEN7008304.4%ワイヤーハーネス、シートセンサ、モーター絶縁材
PES5006406.4%コネクタ、リフレクタ、可変オイルポンプ
シリコーン2904008.4%自動車用パワーモジュール、放熱用シリコーン
PAI1501601.6%シールリング、ギア、ワッシャー
TPI85932.3%クラッチ、ターボ、ワッシャー
合計742,965100.0921,453100.05.5% 
※世界需要(主要品目を抽出している)富士キメラ総研調べ

当該用途では、自動車部品(照明、電気・電装系、冷却系、燃料系、ミッション系)や、自動車内装・外装用の構造体向けに採用されているポリマーを抽出し、捉えた。

2012年、自動車用途で最も販売量の多いポリマーはPCであった。PCはヘッドランプレンズのスタンダード樹脂として利用されていることから、需要が大きいとみられる。その他、高級車など一部の車種ではグレージングとしても採用されており、今後軽量化のニーズから、採用車種が拡大する見込みである。

自動車部品材料は耐熱性への要求が高く、信頼性も重視されることから、耐熱ポリマーが多く採用されている一方で、内装・外装向けではPCやPMMA、耐熱ABSなど、耐熱性が比較的劣る樹脂も採用されている。内装・外装部品向けは構造部品向けより使用量が大きいため、同樹脂の当該用途市場でのウエイトも高くなっている。

機構部品には、耐熱性だけでなく、用途によって求められる特性が異なる。冷却系や燃料系は高い耐薬品性が求められ、電気・電装系には絶縁性や低誘電率など電気特性が採用理由になる場合が多いとみられる。

■市場の方向性・トレンド
自動車市場では、次世代自動車(HV・EV)の販売台数が増加傾向にあることから、採用樹脂にも変化がみられる。例えば、軽量化や電気絶縁性などのニーズ上昇に伴って、金属製から樹脂製へのシフト、絶縁材料の使用量増加などがトレンドとなっている。

自動車用途市場の方向性としては、ガソリン車の生産台数増加に応じて需要を拡大するとともに、HV・EVのウエイトが高まることで一部のポリマーの採用が拡大し、全体の需要を押し上げると見込まれる。

■(2)航空機編
耐熱・透明ポリマー市場規模(当該分野で採用されている主な耐熱・透明ポリマー一覧)
品目名2012年2016年予測‘12/’16年平均成長率主要用途例
(t)(t)
エポキシ8,50091.810,00089.24.1%CFRP用マトリックス樹脂
PES7508.11,20010.712.5%CFRP用添加剤
TPI100.1120.14.7%CFRTP
耐熱PA僅少僅少インフィルパネル
PEEKCFRP用マトリックス樹脂、内装材
フッ素シーリング、ケーブル
透明PA内装材
PEICFRP用添加剤
合計9,260100.011,212100.04.9% 
※世界需要(主要品目を抽出している)富士キメラ総研調べ

航空機向けで需要が多いのはエポキシおよびPESであり、両ポリマーはCFRP用に使用されている。また、TPIやPEEKもCFRP用マトリクス樹脂として採用されており、今後、新型の航空機は軽量化を目的にCFRPを多く採用する傾向にあるため、市場拡大が見込まれる。

その他には内装材やシールリング、ケーブルで採用されている。また、2012年からPEIはCFRP用添加剤として採用されており、今後の需要拡大が期待される。

ポリマーは、内装材として一部使用されるケースもみられるが、主にCFRPのマトリクス用樹脂として炭素繊維と複合化されている。

航空機におけるCFRPの採用部位は航空機の種類により異なるが、年々航空機の機体に占めるCFRPのウエイトは増加しており、例えばボーイング787では航空機の重量に占めるCFRPのウエイトは50%に達し、生産機数も増産の方向にある。

■市場の方向性・トレンド
航空機には環境負荷を低減するため、燃費改善や省CO2化が求められており、製品寿命を通してどれだけのCO2が排出されるかを評価するLCA(Life Cycle Assessment)が重視されている。航空機にCFRPを採用することで軽量化、燃費が改善し、さらに組立作業工程の削減も可能になるため、今後は航空機へ標準的に採用されると考えられ、CFRP用マトリクス樹脂を中心に需要拡大が見込まれる。

次回は注目用途分野シリーズの最終回として、フィルム・シート/光学レンズ分野を取り上げる。

参考文献:「2013年 耐熱・光学ポリマー市場の現状と将来展望」
(2013年01月21日:富士キメラ総研)



注目業界の市場動向・将来展望


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