高機能繊維と応用製品の市場 市場動向1

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高機能繊維市場は、新興国におけるローカルメーカーも次々に新規参入し、市場の構図が変わり始めた。高機能繊維が必要とされる用途については市場のパイが大きく広がったことや、シェールガス、航空機、自動車など拡大する需要分野の主要材料として採用されていることから、2012年から2020年の年平均成長率(数量ベース)は11.3%の高成長で推移していく見通しである(富士経済調べ)。

■高機能繊維及び応用製品市場の市場規模推移  (単位:億円 カッコ内数値は重量 kt=千t)
製品区分2012実績2015年予測2012/2015伸び率対象繊維素材名






高機能繊維4,692
(148kt)
5,918
(192kt)
26.1%
(29.7%)
パラ系アラミド、メタ系アラミド、超高分子量PE、LCP、PBO、PPS、PTFE、フェノール系、PAN系CF、GPCF(汎用ピッチ系)、HPCF(高機能ピッチ系)、活性炭素繊維、生分解性繊維(PLA/PGA等)
繊維複合材料2,479
(85kt)
3,580
(130kt)
44.4%
(52.9%)
CFRP、CFRTP
次世代繊維170
(1,370t)
238
(4,010t)
40.0%
(192.7%)
バイオマスプラスチック、カーボンナノファイバー、セルロースナノファイバー、PBI、PEI、PSA、ポリアミドイミド、メラミン、人造蜘蛛、昆虫由来





快適繊維1,0121,14312.9%吸汗速乾、蓄熱・発熱保温、透湿防水、形態安定、難燃(アクリル/ポリエステル/レーヨン系)
機能紙7768236.0%電気絶縁紙、滅菌紙、剥離紙、アラミドペーパー、放射性物質吸着シート
※高機能繊維市場は世界市場、
 応用製品市場は国内販売+日系メーカー海外販売の合算で算出
富士経済調べ

産業用資材向けは民間航空機におけるPAN系炭素繊維の需要拡大が進行し、また、パラ系アラミド繊維を始めとするスーパー繊維は新興国の需要を取り込んでいる。一方で、新興国においては現地の新規参入メーカーとの価格競争が激化し、また品質・性能面においても日系メーカーの優位性が失われつつあるものの、北米におけるシェールガス関連需要が急拡大してきており、新たな市場拡大要因が生まれた。

繊維複合材料についても民間航空機における実績を基に、自動車分野、産業用機械・設備・工程材料分野などへの市場拡大が確実視されている。しかしながら、生産性・コスト面を意識した短時間成形技術の激しい開発競争が繰り広げられている中で、特に熱可塑性樹脂を利用したCFRTPにおけるマトリクス樹脂成型の最適解は見つかっておらず、樹脂メーカーにおいてもビジネスチャンスを創出できていないのが現状である。

次世代繊維ではバイオマス由来、あるいはセルロースといった新たな原料に注目が集まっている。脱石油の流れは生分解性繊維の開発以降加速しており、繊維としての性能が既存品と同等タイプレベルのグレード開発が進められている。

バイオマス・プラスチック繊維では生分解性を持たず、石油系資源も使用せず、汎用製品と同等の性能を有する繊維が開発され、セルロースナノファイバーや人造蜘蛛繊維なども石油系資源を使用せず、新機能を発揮できる次世代繊維として実用化目前である

今後、有望視される次世代繊維にはバイオマス・プラスチック繊維、セルロース・ナノファイバーと並んで、人造蜘蛛繊維がある。蜘蛛から分泌される蜘蛛糸は、アラミド繊維や炭素繊維以上の高強度と300℃までの耐熱性、そして、ナイロンを上回る伸縮性を持っており、遺伝子操作技術などを取り入れた開発が進められている。

衣料・アパレル向けでは日本国内の節電対策からクールビズ、ウォームビズ需要がさらに拡大したほか、ユニクロの「ヒートテック」に代表される蓄熱・発熱保温繊維が欧州・ロシア・中国の需要を掘り起こし、また、吸汗速乾繊維についてもアジア地域で浸透し始めるなど、国内に留まらない製品として市場拡大している。

機能紙は概ね安定的な需要で推移しており、今後は新興国への展開が有望視されている。また国内需要として原発関連、復興関連において新たな市場形成も期待されている。樹脂フィルム製品との競合もあるが、電気絶縁紙、滅菌紙、アラミドペーパー、剥離紙は特定用途を確保し、市場は概ね安定推移している。放射性物質吸着シートに関しては今後の技術開発に期待がかかる。

尚、次回以降は用途分野別市場動向についてレポートする予定である。

参考文献:「高機能繊維と応用製品市場の現状と将来展望 2013」
(2013年03月18日:富士経済)


注目業界の市場動向・将来展望


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