高機能繊維と応用製品の市場 市場動向2

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シリーズ第2回目は高機能繊維並びに繊維複合材料の用途先需要動向について俯瞰する。まずそれぞれの市場トピックスをまとめると、高強度繊維では品目間で低価格化競争激化し、PAN系炭素繊維の自動車分野の本格展開が目前となり、また、シェールガス革命に関連する需要が形成され、PAN系炭素繊維や生分解性繊維などの市場が急速拡大する見通しである。

繊維複合材料では、CFRPが民間航空機分野で採用、大型需要が本格化しつつあるものの、成形時間1分の壁は突破できておらず、自動車分野への展開は現時点でほとんど出来ていない。しかし、性能優位性は高くRTM法改良による性能向上を軸に市場拡大をめざす。

CFRTPは、ようやく市場形成期を迎え、成形時間1分弱の製品の市場投入が目前となっている。マトリクス樹脂は市場をリードする本命ブランドを欠き、参入メーカーの競争が活発化している。

■高機能繊維の用途別市場規模(ワールドワイド)
用途分野名高機能繊維市場繊維複合材料市場
2012年(実績)2014年(予測)2012年(実績)2014年(予測)
数量(t)構成比数量(t)構成比数量(t)構成比数量(t)構成比
自動車関連15,45010.5%19,44011.1%3,3804.0%4,6804.2%
エネルギー・蓄電デバイス25,73017.4%33,10018.8%26,02030.4%36,95032.8%
産業用機械・設備・工程材料34,35023.3%40,87023.2%26,02030.4%36,95032.8%
住宅・建築・建設資材・土木9,9606.7%12,8207.3%5,1006.0%6,6005.9%
家電2,5301.7%2,6301.5%4,6705.5%4,9004.3%
医療・福祉介護700.0%800.0%4,6705.5%4,9004.3%
衣料・アパレル・寝具22,99015.6%25,05014.2%4,6705.5%4,9004.3%
スポーツ・レジャー9,3506.3%9,9605.7%9,76011.4%10,5009.3%
航空・宇宙・海洋・軍需19,55013.2%21,63012.3%9,76011.4%10,5009.3%
その他7,6605.2%10,2205.8%9,80011.5%12,12010.8%
合計147,640100.0175,800100.085,480100.0112,680100.0
富士経済調べ

高機能繊維市場では産業機械・設備・工程材料分野が最も多く、全体の1/4近くを占める状況となっている。次いで、シェールガス向け採掘材料で拡大しているエネルギー・蓄電デバイス分野、防護服を中心とする衣料・アパレル・寝具分野、航空・宇宙・海洋・軍需分野、自動車分野と続いている。2013年にかけてはエネルギー・蓄電デバイス分野や自動車分野、住宅・建設資材・土木分野などが拡大する見通しである。

繊維複合材料市場ではエネルギー・蓄電デバイス分野がシェールガス向けで伸長、風力発電機向けなど好調な需要先を抱え、最も多い30.4%(2012年)を占めた。次いで航空・宇宙・海洋・軍需分野が民間航空機向けを中心に16.9%(2012年)を占め、以下、スポーツ・レジャー分野、産業用機械・設備・工程材料分野と続く。2013年以降は価格下落に伴い、産業用機械・設備・工程材料分野における広範な需要掘り起こしが進むと想定され、需要分野の2番手となる見通しである。自動車分野は一部の採用にとどまっていることから下位に低迷しているが、炭素繊維メーカーと自動車メーカーとのアライアンスが本格化してきており、2020年頃には用途分野上位になる見通しである。

自動車メーカーとのアライアンス効果により、超軽量化自動車の市場の拡大が期待される。課題としてはリサイクル性との両立が必須なこととして挙げられる。

『参考記事:素繊維車の量産研究がスタート』
トヨタ自動車や東レなど企業18社と東京大学や名古屋大学などが、量産車向け炭素繊維複合材を共同開発する産学連携プロジェクトが動き出した。25日には、主要開発拠点に位置づけた名古屋大学に国内最大級の炭素繊維の試験設備が完成した。日本が得意とする基礎研究を足がかりに、自動車などの競争力強化を目指す。
名古屋大の施設は総事業費約22億円で、経済産業省の支援を受けた。炭素繊維複合材の耐久試験を行う一方で、新たな加工技術の開発も行う。
航空機に使われる高強度の炭素繊維複合材は、製造・加工に数時間もかかる。量産車に使えるように加工時間を大幅に縮める技術開発を進め、2022年度に炭素繊維を多用して車体重量を6割軽くし、燃費を4割以上向上させた自動車を実用化するのが目標だ。
国内には十分な試験設備がなかったため、航空機の炭素繊維部材の耐久試験などは欧米の施設に持ち込まなければならず、コスト圧縮と開発時間の短縮を妨げていた。炭素繊維は強度が鉄の10倍で重さは鉄の4分の1だが、価格は鉄の10倍以上もし、航空機や一部の高級車などにしか使われていない。(2013年6月26日 読売新聞ニュースサイトより)

次回は「その3」として機能別特性(高強度/耐熱)から見た市場動向をレポートする。

参考文献:「高機能繊維と応用製品市場の現状と将来展望 2013」
(2013年03月18日:富士経済)



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