高機能繊維と応用製品の市場 市場動向3

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当シリーズ3回目は高機能繊維を高強度・耐熱性の2つの機能面から市場動向を解説する。

■各機能の対応製品
対応繊維名高強度仕様耐熱仕様
パラ系アラミド繊維
メタ系アラミド繊維
超高分子量PE繊維
LCP繊維
PBO繊維
PPS繊維
PTFE繊維
フェノール系繊維
PAN系炭素繊維/GPCF/HPCF
生分解性繊維(PLA/PGA等)
活性炭素繊維

■高強度繊維市場
高強度繊維は引張強度に特徴のある繊維で構成されており、パラ系アラミド繊維を中心とするスーパー繊維(パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、超高分子量PE繊維、PBO繊維等)などの長繊維形状を生かした用途向けの市場と、PAN系炭素繊維に代表される高強度な繊維複合材料向けの市場に大別される。

市場は主にスーパー繊維の代表格であるパラ系アラミド繊維が中心で、Du Pont、帝人が中心となっている。しかし、近年ボリュームゾーンに対して中国ローカルメーカーが価格攻勢を仕掛けており、また、ハイエンドゾーンではこれまで性能面が同等以上で高価格だった他のスーパー繊維(超高分子量PE繊維、LCP繊維、PBO繊維など)が生産性(稼働率)向上に伴い価格柔軟性が表れ、パラ系アラミド繊維のハイエンド用途への攻勢が激化してきている。

また、これらの繊維の中でも超高分子量PE繊維のテープ状タイプなど新たなアプローチで低価格品を開発し、更にセグメントを細分化しようとする動きも見られる。また、ボリュームゾーンの低価格化がハイエンドゾーンに波及し、市場全体に価格競争が波及してきており、新たな用途開拓の動きなど市場が活性化してきているとともに、競争の激化から市場環境の変化も予想される。

一方、炭素系の高強度繊維(PAN系炭素繊維、GPCF、HPCF)については、PAN系炭素繊維が中心である。PAN系炭素繊維は航空機需要を含めて各社生産能力増強に努めた結果、稼働率に余裕が出てきている。ボーイング社の機体トラブルによる運航差し止めの影響に関しては豊富な受注残があることもあり、航空機生産に現時点で影響を与えていないものの、今後、航空機生産が止まるようなことがあれば、供給過多に陥る可能性もあり、今後の行方について注視する必要がある。

■耐熱繊維市場
耐熱繊維は200℃以上の耐熱性(分解温度、融点等)に優れた繊維で構成されており、短繊維で使用されるケースが多い。メタ系アラミド繊維が市場の中核製品となっており、PPS繊維、PTFE繊維、PBO繊維などのスーパー繊維と競合している。

尚、パラ系アラミド繊維やPAN系炭素繊維については高強度と耐熱性を兼ね備えた点が強みとなっている。また、炭素繊維系の耐熱繊維についてはGPCFを除いて必ずしも耐熱性を強く求められないことから、メタ系アラミド繊維中心の耐熱繊維と競合することはほとんどない。

耐熱繊維市場はメタ系アラミド繊維が中心となっている。Du Pontが市場の大半を占めているが、煙台泰和新材料(Yantai Spandex)など新興国メーカーの台頭も著しく、メタ系アラミド繊維市場では、煙台泰和新材料(Yantai Spandex)が帝人のシェアを上回り2位に位置している。

耐熱繊維はアプリケーションごとに必要な温度帯や使用条件により使用される繊維が選択される点が特徴となっている。まず、軍需、消防服などに代表されるハイエンドゾーンについては、知名度、品質ともに優位性のあるDu Pont、帝人などの製品はユーザーの仕様に合わせてブランド指定でスペックインされるケースが多い。また、フィルター用途などにおいても、使用条件に合わせて、棲み分けがなされており、安定推移していると言える。

一方、ボリュームゾーンについては、中国メーカーに続き韓国メーカーも参入したことで、需給ギャップが生じつつある。それが引き金で価格競争の激化につながっている。特にPPS繊維については、フィルターバグ用途に依存する特殊な市場を形成し、中国における石炭火力発電所の設置数増加とその更新需要の増加により、市場拡大が期待されてきたが、ユーザー側の資金難により更新需要が止まった状況となっている。このことにより、需給にギャップが生じ低価格化が生じている。

尚、PAN系炭素繊維は、耐熱性は高いものの用途が他の耐熱繊維と異なることが多いため、ほとんど競合しない。

次回は応用製品動向として「快適繊維」の市場動向を取り上げる。

参考文献:「高機能繊維と応用製品市場の現状と将来展望 2013」
(2013年03月18日:富士経済)



注目業界の市場動向・将来展望


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