高機能繊維と応用製品の市場 市場動向4

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今回はクールビズ/ウォームビズ等のコンセプトで注目されている快適繊維の市場をそれぞれの機能特性別に市場を見てみた。吸汗速乾、蓄熱・発熱、形態安定といった機能性製品は飽和状態にあり、メーカー各社は抗菌・消臭等の多機能化による訴求、ビジネスシャツに吸汗速乾繊維、マフラー・手袋に蓄熱・発熱保温繊維といった新用途での採用を図っている。

国内市場は頭打ち感があり、今後は海外市場への展開に注力する方向にあるが、四季のある日本で受け入れられた機能が求められない地域もあり、現地ニーズに応じた製品開発が求められている。

■高機能繊維の用途別市場規模(ワールドワイド)
品目2012年(実績)2014年(予測)2020年(予測)2012/2020
伸び指数
2012=1とする
百万円構成比百万円構成比百万円構成比
吸汗速乾繊維21,80021.5%22,90020.8%25,80019.1%1.18
蓄熱・発熱保温繊維20,30020.1%23,70021.5%32,50024.0%1.60
透湿防水繊維9,7009.6%10,2009.3%10,9008.1%1.12
形態安定繊維9,4009.3%10,0009.1%12,0008.9%1.27
難燃繊維40,00039.5%43,30039.3%54,00039.9%1.35
合計101,200100.0%110,100100.0%135,200100.0%1.33
富士経済調べ

■吸汗速乾繊維
2011年は節電・クールビズを背景に需要が大きく伸びたが、2012年は微増となった模様である。吸汗速乾機能は製品がコモディティ化するとともに訴求力が弱まり、消臭・抗菌機能の追加など機能複合化製品が多く見受けられる。その他、東レや東洋紡はビジネスシャツ向けの採用を拡大させている。今後は海外展開を目指す方向にあるが、湿度が高く、吸汗速乾性が求められるアジア地域への展開が中心になる見込みである。

吸汗速乾繊維の用途構成としては、スポーツウェア向けが大部分を占めている。綿製品からの代替で普及してきた当該市場だが、スポーツ向けには普及飽和感があり、ビジネスウェア向けなどの用途開拓が必要となっている。現在は綿製品が主流となっているTシャツ等の一般アパレル向け素材を代替できれば、更なる市場拡大の可能性がある。

■蓄熱・発熱保温繊維
蓄熱・発熱保温繊維は体感しやすさから需要拡大を続けており、2011年は節電ブームも追い風となった。また、手袋・マフラー等採用されるアイテム数も増加しておりプラス要因となっている。2012年も引き続き市場拡大しているが、国内市場では徐々に頭打ち感がみられ、買い替え需要中心の需要となる見通しである。今後は海外市場が牽引役となる見込みで、特に欧州・ロシア・中国北部等の寒冷地需要が有望視されている。SPA※・量販店の海外進出も加速しており、繊維メーカー各社の海外販売は増加していくものとみられる。

用途構成としてはインナー向けが中心で、手袋・マフラー・ネックウィーマー・靴下等防寒具用途も増加している。その他、ウィンタースポーツ向けウェアや毛布の採用もみられる。

※注 SPA=specialty Store Retailer of Private Label Apparel(ファッション商品の企画から生産、販売までの機能を垂直統合したビジネスモデル。日本語では「製造小売業」と訳されることが多い)

■透湿防水繊維
2012年は欧州危機から海外販売が落ち込みマイナス成長となったが、国内市場に関してはアウトドア・ランニングブームを背景に拡大基調となっている。従来は高齢者主体のユーザー層だったが、女性・若者へと裾野が広がっており、またアウトドアウェアのタウンユースなど利用シーンが多様化している。一般アパレルに比べて頻繁に買い替える製品ではないため、大きな拡大は見込めないが、デザイン・ファッション性の向上によってライトユーザーやタウンユースの拡大を目指し、プラス成長の維持を図る方向性もみられる。

用途としてはアウトドア・スキー・スノーボード等のスポーツウェア向けが中心となっており、その他に警察・消防・自衛隊のユニフォーム用途も多い。

■形態安定繊維
形態安定はコモディティ化した機能であり、価格競争が激化している。2012年は欧州危機や中国の金融引き締めによる景気低迷から参入各社は苦戦を強いられた。一方で「アポロコット(日清紡テキスタイル)」、「エターナルベール(倉敷紡績)」は綿100%でありながら高い形態安定性を保持する点が消費者に好評となり、需要が拡大している。国内市場が収縮する中、今後の市場押し上げ要因として期待される。さらなる事業拡大には中間所得層が増加している中国・インド・東南アジアへの展開が必須とみられ、日清紡テキスタイルは生産体制の整備を進め、海外シフトの傾向を強めている。

用途はドレスシャツ向けが大半であり、新規用途の開拓が進まない点が課題となっている。

■難燃繊維(アクリル・ポリエステル・レーヨン系)
◎難燃繊維(アクリル・ポリエステル・レーヨン系)当該市場のトップシェアはカネカであるが、同社の売上の8~9割は輸出で占められている。また、同社はウィッグ用途で米国・アフリカ市場に展開しており、2011年にはマレーシア工場が操業を開始し、今後の海外市場拡大の牽引役となる模様である。国内市場では、今まで一般的に使用されてきた難燃材が健康被害・環境汚染への懸念から生産中止となっており、カーテンを中心としたインテリア用途でシェア変動の可能性が出てきている。ユニフォーム用途では国内市場は拡大が見込めないが、参入企業は増加傾向にあり、競争が激化しており、安定的な事業拡大には海外市場の開拓が必須となっている。

次回は応用製品動向の第二弾「機能紙市場」を取り上げる。

参考文献:「高機能繊維と応用製品市場の現状と将来展望 2013」
(2013年03月18日:富士経済)



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