高機能繊維と応用製品の市場 市場動向5

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第5回目は機能紙市場について解説する。電気絶縁紙、滅菌紙、剥離紙、アラミドペーパーを対象とした機能紙市場は2012年実績で776億円となっている。

フィルム等の化学品による代替が懸念される中、安価・通気性といった紙ならではの機能によって特定用途を確保し、概ね安定推移を維持している。今後は新興国への展開を加速させることで市場拡大を図る方針となっている。

■機能紙の市場規模
(国内販売+日系メーカーの回外販売金額ベース)
品目2012年(実績)2014年(予測)2020年(予測)2012/2020
伸び指数
2012=1とする
百万円構成比百万円構成比百万円構成比
電気絶縁紙13,95018.0%14,70018.5%16,70017.6%1.19
滅菌紙1,2501.6%1,3101.6%1,5501.6%1.24
剥離紙54,50070.3%55,50069.9%65,00068.6%1.19
アラミドペーパー7,85010.1%7,9009.9%11,50012.1%1.46
合計77,550100.0%79,410100.0%94,750100.0%1.22
富士経済調べ

用途分野でみると、電子部品用途などの需要拡大や剥離紙の炭素繊維複合材料向け需要の拡大がみられ、アラミドペーパーはハイブリッド車需要で拡大傾向にある。又、放射性物質吸着シートが新市場創出として期待されている。

電気絶縁紙は成熟市場となっており、用途ごとにメーカーの棲み分けがなされている。今後はエレクトロニクス機器の需要やインフラ整備の需要が高まる新興国市場に期待がかかる。

滅菌紙は国内市場が人口の高齢化に伴う介護サービスの普及や、公衆衛生意識の向上を追い風に拡大基調となる見込みだが、技術的には成熟した分野で、製品差別化が難しく、価格競争が激化している。一方、海外市場は未開拓な状況であり、市場拡大の余地がある。但し、欧米・中国メーカーとの競合が壁となる。

剥離紙はラベル用を中心に産業用テープ、ラベル等各種工程紙に用いられる剥離紙はラベルメーカーの内製化が広まり汎用品の収益性が低下している。今後は産業用の高機能品や炭素複合材・FPC用の工程紙等に注力する方向性にある。

アラミドペーパーは、国内市場がデュポン帝人アドバンスドペーパーの1社独占となっている。今後はハイブリッド自動車向けの需要拡大が見込まれている。中国市場では煙台泰和新材料(Yantai Spandex)を筆頭に中国メーカーが台頭してきており、日本市場への参入可能性が将来的な懸念材料となっている。

震災復興を進めるうえで、広範囲に拡散した放射性物質が問題となっており、効率的な除染方法が模索されている中で放射性物質吸着シートが注目されている。製紙・不織布・繊維メーカーはゼオライトやプルシアンブルー等の吸着物質を紙・不織布・繊維等に担持させ、効率的な除染作業をサポートする製品を開発・提案している。

現状は政府の除染方針が確定しておらず、製品市場としては未形成状態だが、方針が決まれば毎年安定的な需要が見込まれ、市場が形成されてくるものとみられる。

■各機能の対応製品
メーカー名製品名製品形態
日本バイリーンセシウム吸着用不織布不織布
倉敷繊維加工放射性セシウム除去用カートリッジ不織布
小津産業五大力PB不織布
ユニチカCsCATCHER繊維
凸版印刷FS-ZEO
東洋紡ボランシールシート
東洋紡セシウム吸着機能付き防草シートシート
王子キノクロスゼオライト不織布不織布
特種東海製紙TT-除染シートSC不織布

次回からは新しいシリーズとして「ポリウレタン原料・製品の世界市場」をレポートする予定である。

参考文献:「高機能繊維と応用製品市場の現状と将来展望 2013」
(2013年03月18日:富士経済)



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