ポリウレタン原料・製品の世界市場 市場動向1

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ポリウレタンは、有機化合物のイソシアネートとポリオールを混合し反応させ、さらに添加剤などを加えることで様々な物性や機能性を実現する高分子化合物である。その物性や機能性を生かし、衣類・生活資材から建材、自動車、エレクトロニクス、工業・産業資材など多様な分野で利用されている。

2012年は財政/金融危機に端を発するヨーロッパにおける経済不況や、日本から中国への生産拠点の移転などによって、ポリウレタン原料・製品市場の地勢図が変わりつつある。世界経済のダイナミズムがアジア地域へシフトする中で、中国・インド・東南アジアの重要度が高まっている。また、中国現地原料メーカー、製品メーカーの飛躍的な成長及び生産能力の拡張、大手原料メーカーによるC.A.S.E.分野への経営資源の集中、自動車の高品質化及び建築需要の高まりによるウレタンフォーム市場の拡大等、用途や品目によってメーカー戦略、市場構造が変わりつつある。

※C.A.S.E分野=Coatings Adhesives, Sealants, Elastomers

富士経済調べによるとポリウレタン製品のワールドワイド市場規模は2017年予測で1,235万トン(2012年比24%増)と見込まれ、自動車、断熱材、寝具家具の需要増が市場をけん引している。特に、近年は中国・インド・東南アジアの需要拡大がめざましく、これらの地域が同年(予測)には490万トン(同48%増)を占め、世界市場の40%シェアに達する模様である。

最初にポリウレタン原料をイソシアネートとポリオールに分けて市場動向を見てみた。

■ポリウレタン原料世界市場推移
製品区分2012年実績2017年予測
数量(千t)金額(億円)数量(千t)金額(億円)
イソシアネート6,91919,2139,01425,124
ポリオール12,08130,51513,91835,188
合計19,00049,72722,93260,313
富士経済調べ

イソシアネートでは、MDIが市場の半数以上を占め、TDI、HDIそれに続く。これら3品目でイソシアネート市場の9割以上を占める。

MDIは主に硬質ウレタンフォーム、TDIは主に軟質ウレタンフォームの原料として使用されている。MDIは建築断熱材向けの硬質ウレタンフォーム用が数量ベースで33%を占め、特に中国、東南アジア、中東など経済成長率の高い地域で伸びた。この他、中国ではスパンデックスや合成皮革、エラストマーなど非フォーム用の需要も大きい。またTDIは、自動車向けの軟質ウレタンフォーム用が数量ベースで12%を占め、特に中国、東南アジア、中東での需要が伸びた。この他、コーティングや接着材用途も伸びている。

自動車向け軟質ウレタンフォームはMDIのみやMDIとTDIの混合などエリアによって使用状況が異なる。ヨーロッパではオールMDIであるが、日本では軽量化が重視されておりTDIの比率が高く、TDIの用途別構成比も日本では自動車向け軟質ウレタンフォーム用が56%を占める。また、中国では家具や寝具の生産が拡大しており、これらへの軟質ウレタンフォーム用の比率が37%と高い。

今後の成長が著しい中国やインド、東南アジアでは、イソシアネートはMDIとTDIが数量ベースでは95%以上を占めている。今後もコスト優位性の高いこれらの採用が続くと見られ、市場の拡大が予測される。

ポリオールはPPG・POPが市場の半数近くを占め、アジピン酸、1,4-BDがそれに続く。これら3品目でポリオール市場の8割近くを占める。PPG・POPはウレタンフォームの原料として使用されている。中国向けの需要が牽引しているほか、インド・東南アジアではポリオールの中でも特にPPGの比率が高い。今後もコスト優位性の高いPPGの採用が続くと見られ、市場の拡大が予測される。なお、高付加価値製品向けのPOPは自動車シートの軽量化と機能性を両立できることから、日本、アメリカ、ヨーロッパでの需要が高まっている。

参考:市場規模数値に含まれる製品群
イソシアネートMDI、TDI、HDI、IPDI、H12MDI、TMDI、XDI、H6XDI、TMXDI、NDI、NBDI、DDI
ポリオールPPG・POP、PTMG、PEP、PCL、PCD、1.4‐BD、1.5‐PD、1.6‐HD、PBP、TMP、NPG、MPD、ND、アジピン酸、ひまし油
その他水性ウレタン樹脂、硬化剤、ウレタン用触媒、ウレタン用難燃剤、ウレタン用発泡剤

次回はポリウレタンの製品市場を取り上げる。

参考文献:「2013 ポリウレタン原料・製品の世界市場」
(2013年04月01日:富士経済)


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