自動車用ケミカル材料の世界市場 市場動向1

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世界の自動車市場は、先進国では環境対応自動車へのニーズが高くなっており、新興国では販売台数が拡大基調で推移している。普及台数の増加と共に大気汚染も社会問題化しつつあり、CO2排出量削減、低燃費化、排気ガス規制等への対応強化、部品・材料の低環境負荷(リサイクルの推進、バイオマスプラスチックの利用拡大等)を求めるニーズがある。

近年、環境配慮において「サスティナブル(持続可能な)」というキーワードが象徴的に用いられているが、自動車が次世代に向けて持続・発展する上で、ケミカル・高分子材料が、生産、利用、廃棄のライフサイクルを通じて、CO2排出削減、省資源化、リサイクルなどの要件に配慮した開発が重要となっている。

今回は、自動車のCO2排出削減対策、軽量化、HV/EV化などを背景に、重要度を増している樹脂およびエラストマー等の最新市場動向を解説する。ここでは、自動車用途の汎用樹脂、エンプラ、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマー、合成ゴム、その他の6カテゴリに分け、各製品群の市場規模を集計した。

■自動車用ケミカル材料の世界市場
分野2012年実績2016年予測2012-2016年
平均成長率
対象製品群
汎用樹脂1兆4,174億円1兆6,098億円3.2%PE、PP、PVC、ABS、高耐候性樹脂、PMMA
エンプラ1兆4,181億円1兆7,995億円6.1%PA、耐熱PA、PC、POM、変性PPE、PBT、GF-PET、PPS、PEN、LCP、SPS、PEEK他
熱硬化性樹脂8,181億円9,288億円3.2%エポキシ、フェノール、ポリウレタンフォーム、不飽和ポリエステル
熱可塑性エラストマー1,591億円1,790億円3.0%PV・非架橋TPO、TPS、TPC、TPU
合成ゴム8,396億円9,872億円4.1%NBR/HNBR、EPM/EPDM、ACM、ECO、フッ素ゴム、シリコーンゴム、S-SBR
その他51憶円93億円16.1%PLA、カーボンナノチューブ、炭素繊維、蓄熱材
合計4兆6,573億円5兆5,135億円4.3% 
※億円単位で四捨五入しているため、合計が一致しない年がある 富士キメラ総研調べ

自動車の生産台数は2009年に前年のリーマンショックの影響により落ち込み、ケミカル材料市場もその余波を受けた。しかし、その後生産台数も同ショック前の水準近くまで回復し、2012年は各分野ともに金額ベースで対前年比3%~6%の伸びとなり、全体で1,257万トン(前年比6.0%増)、4兆6,522億円(同4.6%増)となった。自動車の生産台数増に加え、車体軽量化やリサイクル、EV/HV/PHVなどの次世代自動車向けといった「サスティナブル」をキーワードとした需要への対応により、付加価値の高い樹脂、エラストマー、ゴムの市場が拡大した。

汎用樹脂分野は、PPが成形加工性、軽量、コスト面でのバランスの優位性が高く、内装でインパネ、ドアトリムパネル、外装でバンパーに使用されており、自動車用ケミカル材料の中で需要量が最も大きい。また、PEは燃料タンクに採用され、軽量化と共に燃費向上に貢献している。他に、コンソールボックス等の内装品に多く使われるABS、ワイヤーハーネスや内装表皮材などで採用されているPVCが市場の中心となっている。

エンプラ分野は、PA(PA6/PA66/PA11・12を対象とする)の販売量が最も多く、内燃機関の燃焼室に空気を送り込むインテークマニホールドに使用されるなど、耐熱性と軽量化ニーズに応える材料として金属からの代替が進んでいる。他には、ヘッドランプレンズに多く使用され、レンズの大面積化により需要が拡大しているPC、摺動性に優れギア・カム類などに採用されているPOM、コネクターやハウジングなど幅広く使われるPBTなどの需要が高い。

熱硬化性樹脂分野は、PURは耐久性やクッション性能から大部分の車種でクッションシートとして採用され、PFは高い耐久性が認められて機構部品に多く使われている。UPはヘッドランプリフレクターなどで幅広く採用されている。EPは現状では塗料用が大半であるが、今後は軽量化ニーズを受けてCFRP(炭素繊維強化プラスチック)用の需要拡大が期待される。

熱可塑性エラストマー分野は、外装品に多く採用されているTPV・非架橋TPOの比率が7割以上となっている。TPVは軽量化、リサイクル性、生産性向上等からEPDMなどの加硫ゴム代替で採用が拡大している。

合成ゴム分野は、低燃費タイヤ向け需要が急拡大しているS-SBRが市場伸長分の大半を占め、その他の品目は横ばいから微増となっている。

また、その他材料としてCNTや炭素繊維の需要拡大が期待される。CNTは燃料チューブやバンパー、炭素繊維は軽量化を目的にシャーシなど大型部材へ採用が拡がると考えられる。

次回は注目する有望製品として、ポリフェニレンサルファイド(PPS)と溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)の2つについて掘り下げる。

参考文献:「2013年 自動車用ケミカル材料の現状と将来展望」
(2013年05月28日:富士キメラ総研)


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