断熱材・遮熱材・蓄熱/吸着材市場 市場動向2

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「熱マネジメント」技術は建築分野にとどまらず、社会全体においても重要性が増してきている。経済産業省「未利用熱エネルギー革新的活用技術開発における指針」によれば、日本の運輸・民生(家庭・業務)、産業分野で消費されるエネルギーの50%以上が使われない熱(未利用熱)エネルギーとして環境中に排出されていると指摘している。

この未利用熱エネルギーの発生抑制や活用するためには一層の技術開発の進展が必要であり、熱マネジメントの基礎技術となる「断熱・遮熱・蓄熱」分野は、省エネ・CO2削減等の環境保全との観点のみならず、日本の産業力強化という観点からも注目が集まっている。

今回は「熱マネジメント」技術を支える素材の市場動向を応用分野/ソリューション領域に視点から解説する。

分野別/ソリューション別市場規模(国内)
 2012年2020年予測2012年比対象となる分野/ソリューション
住宅用途3,447億円4,136億円120.0%住宅(戸建住宅・集合住宅)
非住宅用途956億円1,210億円126.6%オフイスビル、工場/倉庫、商業施設、学校、公共施設
自動車用途30億円40億円133.3%自動車
その他用途1,045億円1,164億円111.4%民生・産業断熱分野(家庭用燃料電池用貯湯タンク、HP式給湯器用貯湯タンク、家庭用冷蔵庫、自動販売機、冷凍・冷蔵ショーケース)民生・産業蓄熱分野(蓄熱式暖房機、蓄熱式床暖房、蓄熱式空調、吸着式冷凍機、蓄熱式蒸気発生器、蓄熱コンテナ、蓄冷材・保冷材、太陽熱発電向け蓄熱システム、ケミカルヒートポンプ)
合計5,479億円6,550億円119.5% 
※億円単位で四捨五入している富士経済調べ

住宅用途が2012年の市場の6割以上を占めている。東日本大震災後の品薄状況から市場が落ち着きを見せた2012年は、復興元年とも位置づけられ、仮設住宅向けの需要を中心に実績を残した。2013年は、復興需要に加え、消費税引き上げに伴う住宅の駆け込み需要により更なる市場の拡大が見込まれる。

2020年までに予定されている「次世代省エネ基準適合義務化」に伴う素材の技術基準への適合に向けて断熱材、遮熱材ともに高性能化の流れにある。特に断熱材は、新築住宅の着工戸数が減少するものの、1戸あたりの使用量の増加が想定され需要拡大が期待される。

また、リフォーム需要も大きな商機となっているが、リフォーム需要の獲得には、「安価」かつ「簡易な工法」が求められており、材料価格が上昇していく中で如何に実現できるか今後注目される。

非住宅用途も、2012年は復興需要を中心に実績を伸ばし、2013年も引き続き安定した需要が見込まれる。住宅用途と同様に施策動向に影響されるため、市場拡大には効果的な施策、補助政策が求められる。次世代省エネ基準への適合に向けた需要増加に加えて、老朽化した公共施設の建替や「エコスクール」事業などにより学校向けの需要も拡大すると予測される。

自動車用途は2012年時点の市場規模は小さいものの、今後の拡大が期待される。現状では、遮熱材が構成比で7割を占めており、遮熱フィルム・シートが冷暖房効率改善による車内の省エネ性向上を目的に採用されている。

2020年に向けて、自動車の省エネ性・CO2削減の向上のため、断熱、遮熱の材料技術が進展し、採用の拡大も考えられる。また、排ガス規制が今まで以上に厳しく定められれば、さらなる需要増加につながると期待される。将来的には、潜熱蓄熱材が自動車用のダッシュボードやシートで採用される可能性もある。

その他用途は、断熱材分野が大部分を占めており、中でもビーズ法ポリスチレンフォームの水産(魚箱)用途がその5割を占めている。また、硬質ウレタンフォームが冷蔵庫や自動販売機、給湯器などに採用されている。他にも、ダクト、配管などでの安定的な需要がある。

2020年に向けては蓄熱・吸着材が、家庭用燃料電池用貯湯タンク、蓄熱式空調、蓄熱コンテナなどのソリューション用途で需要が増加するとみられる。また、医療用保湿剤用途などでの新たな採用も期待される。

尚、次回は第3回目として、注目素材として、「真空断熱材」「高機能サッシ」「潜熱蓄熱材」の3製品を取り上げ、個々の市場動向を解説する。

参考文献:「断熱・遮熱・蓄熱市場の現状と将来展望」
(2013年08月19日:富士経済)


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