中国のプラスチックフィルム・シート市場 市場動向2

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前回のレポートで、中国におけるプラスチックフィルム・シート市場は、農業・包装用フィルムが主体となっていることを述べたが、電気電子向けなどでは技術習得も難しいため、急激に中国で市場を立ち上げることは難しいとみられる。しかしながら、ナショナルプロジェクトで自動車用リチウムイオン電池開発などが動いており、今後拡大の可能性はある。

また、食品分野では飲料やヨーグルト容器向けの需要拡大が期待できる。飲料は水やビールの市場拡大が要因となっており、ヨーグルトは中国で人気の食べ物でもある。

■原反フィルム・シートにおける注目製品の市場動向
(1)注目製品の市場規模推移(中国国内需要)
 2012年2015年予測2012年比
PCシート40万トン55万トン137.5%
EVAフィルム11万トン14万トン127.3%
PETフィルム100万トン130万トン130.0%
北京凱美莱信息咨詢有限公司調べ

PCシートは75%を占める建築・建材用途が、一時期よりも成長鈍化しているものの、LED照明の拡散板用途で高成長が期待できる。また、広告看板用途でも一定の需要があるとみられ、2015年の市場は55万トンが予測される。

EVAフィルムは、雨具、テーブルクロス、シャワーキャップなどの生活衛生用品/包装用途や、野菜/花き栽培のハウス用フィルム等農業用途が多い。2012年の市場規模は11万トンで、今後は農業用途の安定した需要に加え、生活用品や衛生用品などでの需要拡大がけん引し、2015年は14万トンが予測される。更に、太陽電池用の割合が増え市場拡大に至る可能性がある。特に、中国企業による供給が拡大する可能性が高く、そのポテンシャルは高い。

PETフィルムは、包装用途として印刷複合包装やアルミ蒸着真空パック、絶縁フィルムやテープなどの電気・電子部材用途、太陽電池用途など幅広く採用されている。今後は、LCDの拡散フィルムや反射シートなどの光学用途も期待され、2015年には130万トンが予測される。ただし、需要は増えているものの、PETフィルムの生産能力は設備過剰の状況が続いており、価格競争の激化のため参入事業者が赤字経営に陥っているケースもみられる。

(2)その他製品の注目点

PIフィルムは、中国固有の産業構造があり、モノマーから現地調達によるコストダウンを実現している。付加価値の取れるFPC用には技術力不足もあり採用には至っていないが、特殊電線用の絶縁フィルムとして採用が拡大している。日本や欧米などはコストが高く、この領域での使用量は少ない。

CPPフィルム(レトルト用)については、中国ではあまり普及してこなかったが、近年レトルト食品の開発などが進められており、市場が伸びてきている。ただし、日本で認知されているカレーなどのレトルト食品ではなく、しゃぶしゃぶ料理等の食材向けである。

上位企業5社による市場占有率の高い製品は、HIPSシート、ONYフィルム、OPSシート、PVDCフィルム、PBTフィルム、農業用PVCフィルムである。特に、PBTやPVDCフィルム・ONYフィルムなどは技術的な難易度から参入企業が限られている。また、OPSシートは設備投資額が大きいことが理由としてあり、農業用PVCでは、需要が減少していることを背景に、参入企業が寡占化の方向にある。

■機能フィルムにおける注目製品の市場動向
(1)注目製品の市場規模推移(中国国内需要)
 2012年2015年予測2012年比
LiBセパレーター3億2,400万m25億1,000万2157.4%
IT0スパッタリングフィルム500万2860万m2172.0%
ストレッチフィルム40万トン55万トン137.5%
北京凱美莱信息咨詢有限公司調べ

LiBセパレーターは、携帯電話、ノートPC、タブレット、EV、電動バイク用途等で市場が形成されている。現状では、携帯電話、ノートPC、タブレットの需要が7割を超えており市場をけん引しているが、今後は国策として普及に取り組んでいるEV用途の需要増加が期待される。ただし、LiBセパレーターは技術難易度が高いため、当面は海外メーカーからの輸入が中心となる。

ITOスパッタリングフィルムは、静電容量方式のタッチパネルの市場に連動し、特にスマートフォンやタブレット需要の増加により市場拡大が期待される。日系企業が強い製品であり、中国でも高いシェアを占めている。 タッチパネル用途では、OSG(カバーガラス一体型)技術やインセル技術の進歩により、需要が低下する可能性があるものの、2015年の市場は860万2が予測される。

ストレッチフィルムは、工業製品、物流、農業(牧草の保管)などに用いられている。特に物流用途がけん引し、年率10%以上の拡大が続いている。製品や部品の出荷段階における物流梱包資材として、経済発展に伴う物流の増加によって今後も市場拡大が期待され、2015年の市場は55万トンが予測される。また、輸出に関しても、大手メーカーの大半が欧州、東南アジア、中東、南米、日本向けに展開している。

(2)その他製品の注目点

包装用アルミ蒸着フィルム、工業用アルミ蒸着フィルムは数量規模で増加する見込みであるが、低価格化が進んで競争が激化している。一方、イージーピールフィルムやストレッチフィルムの需要拡大で、約10%強の成長が見込まれる。特にビールなどの生産量が上がってきており、ストレッチフィルムの需要をけん引している。またヨーグルトで採用が進みつつあり、他の品目への採用拡大も期待される。

透明蒸着フィルムは、中国で製造することは技術的に難しく、更に利用技術を浸透させるのも苦労が必要である。現状では中国食品メーカーが製品輸出時における賞味期限延長ニーズなどを背景に当該製品が採用されている。

機能フィルム全体の市場規模は、2015年には数量ベースで平均6.9%、金額ベースで平均8.7%増加し、129万8,800/約300億元規模になる見込みである。ただし、これは中国におけるGDPの成長率が7~8%を継続するということが前提にある。

参考文献:「2013年 中国プラスチックフィルム・シート市場の展望」
(2013年10月15日:富士キメラ総研)


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