中国のプラスチックフィルム・シート市場 市場動向3

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前2回で取り上げてきた中国プラスチック・フィルム市場の動向、今回からは用途分野別の需要動向を詳細に見ていく。取り上げるカテゴリは、包装材料、建築・建材、農業資材、エレクトロニクス、エネルギーの5分野から見ていく。

1)包装材料(食品・医薬)用途の市場規模(2012年中国市場)
品目名市場規模(t)構成比(%)主要用途
(★日本と使用環境に若干相違傾向あり)
PETフィルム650,00020.1各種印刷用ラミネート包材、アルミ蒸着フィルム
L-LDPE(シーラント用)500,00015.5食品(米など)、洗浄用品(シャンプー)、薬品
A-PETシート450,00013.9果物、チョコレート、ケーキ、卵★
ストレッチフィルム400,00012.4工場製品出荷、各種物流、牧草の保管
シュリンクフィルム288,0008.9飲料、カップラーメン、日用品、玩具の包装
L-LDPE(耐熱L-LDPE)270,0008.3牛乳や豆乳の袋パッケージ、レトルト食品、漢方薬★
包装用アルミ蒸着フィルム225,0007.0スナック食品、インスタントラーメン、冷凍食品、薬品、日用品
PSPシート170,0005.3食品容器、玩具・雑貨
ONYフィルム78,1002.4食品(調理済食品や水産品)、洗浄包装用途
CPPフィルム(レトルト用)54,8001.7調理済食品(肉の薫製、トウモロコシなど)、輸液バッグ★
PVDCフィルム51,0001.6ハム・ソーセージ包装
OPSシート46,0001.4透明食品容器・フタ
HIPSシート39,0001.2ヨーグルト容器、アイスクリーム容器など
イージーピールフィルム13,0000.4ヨーグルト、ゼリー、ジャム、お粥、調味料、薬品★
透明蒸着フィルム2000.0高機能バリア必要とする食品向け★
合計3,235,100100.0 
北京凱美莱信息咨詢有限公司調べ

<対象用途における市場動向>

包装用のフィルム・シート市場は、今回取り上げた品目以外にはLDPEや汎用OPP/CPPフィルム、PPシートなどがある。これらの品目はそれぞれ100万t以上の市場を形成しているとみられ、参入メーカーも数百社存在する。例えば、LDPEの汎用領域では日本のゴミ袋などの製造輸出しているフィルムが多数ある。また、PPシートがあらゆるシーンで利用され、スーパーマーケットでは野菜や果物、弁当、フタなどに利用されている。

日本ではPSPシートや発泡PPシート、発泡PSシートなどがあり、市場を棲み分けている。中国では透明容器はA-PETかOPSを利用し、ヨーグルトではHIPSなど、用途がある程度絞られている。その他、例外がなければ、PPシートが利用されているとみられ、巨大な市場ができ上がっている。

PETフィルムはアルミ蒸着フィルム基材や印刷用ラミネートフィルムなどに多用されており、他国に比べても大きな市場を形成している。

アルミ蒸着フィルムについては、食品包装や電子部品包装向けなどで一定の需要があり、製造装置を買えば容易にできるという点から、大量に製造されている。透明蒸着フィルムなどの市場は、日本の技術が先行しているため、中国メーカーには製造技術が追いついていない状況にある。

耐熱L-LDPEは、滅菌対応されるような包装、例えば牛乳向けで利用される。中国の牛乳の購入形態は袋であることが多い。袋詰めされた牛乳を滅菌消毒などするために耐熱性が必要になる。

PSPシートは、1990年代に鉄道駅周辺の売店の簡易容器として利用された結果、膨大なゴミが排出され社会問題になった。これを受けて1999年に製造規制品目とされたが、基本的にグレーゾーンであったため一部企業が製造を続けた。ただし、大手の食品メーカーなどでは採用をしなかったため、簡易容器として需要中心となり、年間10万tレベルの市場規模である。2013年にゴミ収集などのインフラ整備などが整ったことを背景に、PSPシートの製造は解禁されている。

ONYフィルムやPVDCフィルムは、コストが高いため、それほど受け入れられてはいないが、高機能品という位置付けでニッチに市場を形成している。

PVCフィルムの利用は、あまり好まれておらず、ラップ関係のほとんどがPEラップを利用しており、高機能品にはPVDCフィルムなどが利用されている。PVCラップはマスコミで健康への影響が騒がれたこともあり、また医療用輸液バッグも成分溶出が問題視され(血液関係は問題ない)利用されていない。

OPSは市場参入に際し、技術や莫大な投資額が必要になることから、寡占市場となっている。そのため参入がしやすいA-PET市場が大きく拡大している。中国は電子部品や雑貨などの包材向けとしての市場も大きい。

HIPSの多くはヨーグルト用であり、またシーラントフィルムの多くもヨーグルト向けの需要である。中国のヨーグルト市場は巨大市場に成長しつつあり、都市部の人間のほとんどが生活の中でヨーグルトを1日1食以上食べるため、消費量が拡大している。また、大手メーカー数社で寡占市場を形成しており、食品安全性などの信頼も高い。一方、都市部を中心にゼリー商品がほとんどない。これは有害材料を利用していたという報道から、ゼリーを食べる人がいなくなってしまったため市場から姿を消した。

イージーピールフィルムは、ヨーグルトなどで品質向上の点から採用されているが、食品の多くは単なる熱圧着であり、人間が手で開けることが不可能な製品も多く、イージーピールフィルムという概念は乏しい。

<中国と日本の使用環境相違点>

A・PETシートは、電子機器包装向けの割合が多いが、チョコレートやケーキなどの品目に使われてきており、市場が伸びている。

CPPフィルム(レトルト用)は、L・LDPE(耐熱)と同様に滅菌時などにおける耐熱性が必要となるが、中国では135℃レベルの耐熱品は高価なため、ほとんど需要がなく、125℃までの耐熱品が食品や輸液バッグなどに利用されている。尚、中国ではカップラーメンを、40℃前後のぬるま湯や水を入れて作る人がいる。更に、水やぬるま湯を入れた後、電子レンジで温めることがあるなど、食文化に大きな差がある。

次回は、建築・建材分野と農業資材分野の市場動向を取り上げる。

参考文献:「2013年 中国プラスチックフィルム・シート市場の展望」
(2013年10月15日:富士キメラ総研)


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