3Dプリンタ用造形材料市場 市場動向1

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今回は、今、話題の3Dプリンタに用いられる造形用樹脂や金属粉の市場動向を取り上げる。日本では、俗に「3次元プリンタ」と呼ばれることが多いが、正式名称は「アディティブ・マニュファクチャリング(Additive Manufacturing:AM)技術」と呼ぶ。プラスチック/樹脂、金属粉などの材料を連続的に積層して立体物を造形するので、「3次元積層造形技術」ともいわれる。

この造形技術は既存のモノづくりに革命をもたらすものとして、最近、世界で注目され、また、3次元積層造形装置(3Dプリンタ)も低価格化が進み、造形用材料の種類も増加しつつあり、AM技術が広く普及する大きな背景となっている。

現在、AM技術は、試作品やオーダーメイド品などの少量生産に限られるが、安価な3次元積層造形装置を大量に導入し、AM技術が本格的に普及すると、従来の製造技術が不要となる可能性もあり、モノづくりの方法が大きく変わる要素を秘めている。

主な製造方式としては、アクリル系光硬化樹脂を使用したインクジェット紫外線硬化方式、ABS樹脂を使用した熱溶解積層法方式、粉末を使用した粉末固着方式が中心となっている。

■(1)樹脂系造形材の市場動向
3Dプリンタ用造形材樹脂の市場規模推移
 2013年見込2017年予測13/17年伸長率
世界市場1,295億円3,300億円2.56倍
国内市場195億円450億円2.31倍
富士経済推定

3Dプリンタ市場は年率12~15%増の成長が期待され、特に中小企業向けや家庭向けで急増するとみられる。需要が多い地域はアメリカ、日本、中国である。特に日本では精密成形ニーズの高い分野で需要が旺盛である。それに伴い、3Dプリンタ用樹脂の需要も急激に増加しており、2013年の世界市場は前年比52.7%増の1,295億円が見込まれている。

3Dプリンタ用樹脂は、アクリル系樹脂ベースのUV硬化型樹脂と、ABS樹脂を主にベースとした熱可塑性樹脂の二種類がある。UV硬化型樹脂タイプはアクリル系樹脂である。自社独自の処方で物性をコントロールしている。熱可塑性樹脂タイプでは、主にABSが多く使用されている。その他はPC、PPSF、PPSU、PEI等がある。高級スペックの市場をターゲットとしているため、汎用タイプのPLA樹脂タイプは使用していない。

2012年の数量ベース構成比は同程度であるが、将来的には小型インクジェット式プリンタが主力となるとみられ、UV硬化型樹脂の比率が拡大するとみられる。金額ベースでは、UV硬化型樹脂が高価格のため市場占有率は高くなっている。また、日本ではUV硬化型樹脂の利用比率が高いとされている。

3Dプリンタ一台あたりの平均樹脂使用量は年間数百kg程度と見られている。世界の装置出荷台数は、2012年で8,000台弱とされることから、凡そ新規で数千t程度の需要が発生している。

3Dプリンタ用樹脂は消耗品であり、装置メーカーに紐付けられた販売方式が取られているため、造形材の汎用標準品市場の形成が難しく、低コスト化に課題がある。更に、サードパーティ品も普及していないため、樹脂の販売メーカーシェアと装置メーカーのシェアとの相関関係は極めて大きくなる。またプリンタメーカー各社が独自の処方で製造しており、各社によりスペックが異なる点も特徴的である。

■樹脂系造形材企業の動向
Stratasys社は3Dプリンタメーカーの世界シェアで7割前後を占める最大手である(2012年にインクジェット方式のObjet社と合弁)。プリンタ用樹脂は、プリンタ生産拠点のあるアメリカ及びイスラエルで製造している。熱溶解積層(FDM)方式とインクジェット方式の3Dプリンタをラインナップしているため、樹脂も熱可塑性樹脂タイプとUV硬化型樹脂タイプを取り揃えている。熱溶解積層法では特許を有している点も強みである。

3DSystems社は、光造形機や3Dプリンタの総合メーカーであり、世界2番手となっている(2012年に大手のZ社や小型3Dプリンタメーカーのボット社を買収した)。日本ではヤマダ電機が販売代理店となっている。

CADやリバース・エンジニアリング/検査用のソフトウェアツール、アプリケーション、サービスも提供し、UV硬化型樹脂を使用するインクジェットタイプが主体である。

その他メーカーとして、EnvisionTEC社、高級機種に特化したXONE社、ドイツのEOS社、日本のキーエンス等がある。多数の中小メーカーが参入していたが、集約する方向にある。

出荷形態は、UV硬化型樹脂タイプの場合はボトル売り、熱可塑性樹脂タイプはフィラメント状である。素材樹脂の種類により価格帯には幅がある。ローエンド品用には安価なPLAが多く使用され、高機能グレードにはABSやエンプラが使用されている。

尚、次回は3Dプリンタ造形材料市場の第2回目として、金属粉末材料について取り上げる予定である。

参考文献:「2014年 特殊粘接着・封止材市場の全貌と用途展開」
(2013年12月16日:富士経済)

2015年 エンプラ市場の展望とグローバル戦略 EnplaNet Books


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