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ワイヤ/ケーブル、コネクターは電気・通信のインフラ、家電・電子機器や自動車などの配線に多用され、社会生活に欠かすことのできない製品の一つとなっている。
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これらの市場はインフラや機器・自動車の普及が進んだ先進国では成熟しつつあるが、新興国では需要が拡大しており、世界市場は今だ成長を続けている。今回は、古くて新しい、そして、更に技術進化を続けているワイヤ/ケーブル材市場を、電力線素材として内部導体、電線被覆/絶縁材、シールド材、光ファイバー素材となるコア/クラッド材およびコーティング材、コネクター素材として基材・端子材の現状の動向をみて行く。
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2013年ワイヤ/ケーブル関連素材の市場規模は数量ベースで1,910万t(前年比102.6%)、金額ベースで13兆2,015億円(前年比106.8%)の見込みだ。内部導体を中心に電線被覆/絶縁体・シールド材と、いずれも市場が拡大する製品市場にけん引されて増加傾向にある。
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内部導体は今後も当面は銅系が中心であるが、アルミ系の採用も増えつつあり、将来的には超電導材の本格展開が期待されるが、市場形成に至るにはまだ時間がかかる。電線被覆/絶縁体はPVCとPEが汎用として今後も高い比率を占めるとみられるが、軽量/柔軟性/耐熱性などの代替優位性を持つ他素材の需要も伸長すると考えられる。
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光ファイバー素材市場は主に新興国向けの光ファイバー需要が堅調に伸長しており、メイン素材である石英ガラスを中心に需要は拡大している。
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コネクター素材市場では、基材はPBTが汎用的に使用され大きなウェイトを占めており、コネクター市場拡大に伴って今後も増加傾向にある。一方でSMT化対応が可能なSPS(シンジオタクチックポリスチレン樹脂)やLCP(液晶ポリマー)への代替も進められている。自動車向けでは各種耐熱PAやSPSなどの採用が増える見通しである。
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●ワイヤ/ケーブルの素材市場規模推移 (金額ベース:百万円)
摘要\年次 | 2012年 | 2013年(見込) | 2017年(予側) |
ワイヤ/ケーブル素材 | 内部導体 | 8,167,200 | 8,896,700 | 9,665,900 |
被覆/絶縁材 | 1,126,125 | 1,156,045 | 1,276,455 |
シールド材 | 434,215 | 446,899 | 500,279 |
小計 | 9,727,540 | 10,499,644 | 11,442,634 |
光ファイバー素材 | 126,720 | 133,000 | 159,500 |
コネクター素材 | 基材 | 305,180 | 314,500 | 353,710 |
端子材 | 2,199,450 | 2,254,400 | 2,508,500 |
小計 | 2,504,630 | 2,568,900 | 2,862,210 |
合計 | 12,358,890 | 13,201,544 | 14,464,344 |
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■素材種類別市場動向
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1) |
電線被覆/絶縁材(ワイヤ/ケーブル素材)
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新興国において電力インフラや通信インフラの整備に積極的な投資が行われており、ワイヤ/ケーブル市場および電線被覆/絶縁材の市場は拡大している。国内市場は、電力会社の投資抑制による電線張り替えの先延ばし、電気・電子製品の海外生産シフトなどにより近年は低調であったが、消費増税前のマンション建設ラッシュなどの駆け込み需要、また2020年の東京オリンピック開催に向けた新設、耐震補強工事といった要因で需要が回復している。
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素材別構成比では、PVCが数量ベースで7割弱を占めている。電気絶縁性が良好であり、難燃性を有し、可塑剤の使用によってさまざまな硬度に適応可能であるのに加え、安価であることから、電線被覆/絶縁材の主要材料として採用されている。
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PEは、絶縁性、柔軟性、耐衝撃性に優れ、環境への配慮などからPVC以外の材料を採用する際に価格面での優位性により選択されるケースが多く、数量ベースの構成比で2割強を占めている。また、絶縁ワニスは、モーターやコイルに使用される巻線/マグネットワイヤの絶縁材料であり、家電、電子機器、自動車、機械、重電など多様な製品に採用されている。2017年においても、採用素材の構成比に大きな変動はなく、PVCとPEが大部分を占めるとみられる。
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2) |
コネクター基材(コネクター素材)
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コネクター基材の市場は、2011年が前年比割れとなったものの2012年には盛り返し、2013年以降も堅実な市場拡大が予測される。
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素材別構成比では、PBTが数量ベースで5割以上を占めている。家電を中心に多くの用途で採用され今後も市場は拡大するとみられるが、SMT(表面実装技術)対応が可能なSPSやLCPへの代替も一部で進められている。PA6/PA66は数量ベースで3割を占め、PA6は自動車向け、PA66は電気・電子コネクター向けの需要が多いが、自動車向けではPA6からPA66へ一部で需要がシフトしている。
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LCPは耐熱性、流動性、SMT対応が可能な性質により、今後もスマートフォン、タブレット用で採用が進むとみられるものの、コネクターの小型化により使用樹脂量が少なくなるため伸び率は鈍化すると考えられる。また、PA6Tは、需要が多い電気電子用コネクター向けは微増にとどまるが、自動車向けでワイヤハーネス用、EV/HVの高圧電源系での採用により需要が拡大している。
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PA46は、SMT対応が可能であり、部品の小型化・高密度化が実現できるため、LCPの需要を代替しながらiPhone用などで需要を大幅に増加させている。SPSは、主に車載用コネクターで採用されており、低比重で軽量化が可能なため、自動車軽量化の進展に伴いPBTからの代替需要を獲得している。
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次回は用途製品別市場動向を取り上げる。
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参考文献:「2014年版 次世代ワイヤ/ケーブル関連マテリアル市場調査総覧」 (2013年12月06日:富士キメラ総研)
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