新興国のインフラ需要や自動車向けなどで注目されるワイヤ/ケーブル、コネクター材の世界市場 市場動向3

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第3回目は成長拡大が期待される素材、3製品(フッ素樹脂、超電導材、黄銅)の市場動向を取り上げてみる。

■フッ素樹脂
2013年見込2017年予測2012年比
610億円697億円118.1%
富士キメラ総研調べ

フッ素樹脂は、他の絶縁材向け樹脂に比べて高価であるが、耐熱性、難燃性、誘電特性などの性能面で非常に優れているため、規格の厳しい航空機用ケーブルや、高級車の燃料関連部品周辺のケーブル、難燃性が求められる通信インフラ向けやLANケーブルなど幅広い用途で採用されている。

種別では、FEPのウェイトが最も大きいとみられ、次いでPTFE、ETFE、PVDFの需要が多い。FEPは、電気特性が良好で、耐熱性、成形性、コストのバランスが良いことから主に採用されている。特に、米国におけるLANケーブル(プレナムケーブル)向けでの需要が多く、その他、機器内配線などにも採用されている。

尚、中国におけるFEPの生産能力が拡大している。以前、中国では製造工程で生じた端材を利用した再生品生産が主であったが、近年は通常の重合品を生産するメーカーが増加しているとともに、生産能力の増強がみられる。

PTFEは安価で耐熱性に優れるものの、溶融押出成形に利用できないなど成形性が課題となっている。現在は、ペースト押出成形またはテープ状のPTFEを導体に巻き付ける方法が用いられる。用途としては、航空機向けや電軸ケーブルなどに採用されている。

ETFEは成形性に優れ、航空機向けやロボット用ケーブルなどに採用されており、需要が拡大している。耐熱性がやや劣るものの、照射架橋などによって耐熱性を向上させ、使用されるケースもみられる。

PVDFは誘電率が高く、耐熱性もやや劣ることから、ワイヤ/ケーブル向けの採用は低く、化学プラントなどでの採用がみられる。

ECTFEは、特に欧州での需要が多く、防災ケーブルなどに採用されているとみられる。PFAは、優れた耐熱性を有するが、価格が高いことから需要規模としては小さい。航空機、半導体製造プラント、電子機器向けや医療用の極細電線などに使用されている。

フッ素樹脂は競合する材料がないため、用途市場の拡大に伴う需要増加が期待され、2017年の世界市場は2012年比18.1%増の697億円が予測される。

■超電導材
2013年見込2017年予測2012年比
僅少40億円
富士キメラ総研調べ

超電導ケーブルは、送電ケーブルとして非常に優れた特性を有しており、電力エネルギーの効率的な利用につながるため、経済性、信頼性の確立により急速な市場形成が期待される。

電力インフラ向けに採用される超電導材は、現状では若干量が実証実験用に供給されている状況であるが、実験規模や件数は確実に増加している。実用化が期待される超電導材としては、Bi系(ビスマス系)、Y系(イットリウム系)の2種類がある。

日本は、超電導材の研究開発では世界トップクラスにあるが、実証実験では欧米にやや遅れを取っている。ドイツやロシアではキロメートルクラスの長距離ケーブルを利用した実証が始まっている。日本では、既存の送電インフラが更新期を迎える2020年頃が市場創出時期として有力視されるが、長距離送電実験で先行する欧州などではそれよりも早く商業利用が開始されるとみられ、2017年の世界市場は40億円が予測される。

現状では、加工しやすく長尺化が容易なBi系が実用化に近く、ドイツやロシアの長距離送電実験はともにBi系超電導材を採用している。しかし、Bi系は製造にAgを利用するためコストが高いのが難点であり、コスト面で有利なY系を利用した電力ケーブルの開発も活発化しており、将来的にはY系の採用が増加するとみられる。

Bi系超電導材に関しては、日本の住友電工が圧倒的に強く、ほぼ100%近いシェアを有しており、ドイツでNexans(仏)、RWE、Karlsruhe大学が実施する長距離送電実験や、ロシアでFGC、UESが計画している長距離送電実験にも住友電工がBi系超電導線材を供給している。

Y系超電導材では、米国のAMSC社が実績で先行している。米国で実施された超電導ケーブルの実証試験で採用されているほか、韓国のLS Cable社と提携しており、同国内の超電導ケーブルプロジェクト向けに材料を供給していく。

しかし、Y系に関しては、古河電工、フジクラなど日本の大手電線メーカーも開発に力を入れているほか、海外での研究開発も活発であり、実用化に向けた覇権争いが激しくなっていくとみられる。

■黄銅
2013年見込2017年予測2012年比
6,586億円7,560億円121.0%
富士キメラ総研調べ

黄銅は、車載用コネクターでの採用が多く、自動車向けが6割以上を占めている。エンジン回りなど使用環境の厳しい用途ではコルソン合金などの新合金の採用が増加しているものの、黄銅はコスト面での優位性が高いため、コネクター端子材としては最もポピュラーな材料となっている。低価格の利点を生かし汎用的に使用されていることから、今後も安定した需要が期待される。

黄銅品は、コネクター端子材として最もポピュラーな材料であり、低価格の利点を生かし汎用的に使用されていることから、今後も安定した需要が見込まれるものの、最近は主力用途の自動車産業が好調であることから、当該品の需要も堅調であり、国内では供給不足の懸念も出てきている。

コネクターの小型・軽量化傾向やコルソン合金など高機能合金への代替など、用途分野の成長が直接、当該品需要に反映されない要因もあるが、低価格で当該用途に必要な基本的な物性を備えていることから、大きな影響はないものとみられる。

参考文献:「2014年版 次世代ワイヤ/ケーブル関連マテリアル市場調査総覧」
(2013年12月06日:富士キメラ総研)


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