自動車用電装システム、デバイス&コンポーネンツ市場 市場動向2

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第2回目は各構成システムの中で特に市場の有望度が高いとみられる製品を個別に取り上げ、その市場動向を解説する。
今回は第二世代を迎えた車載電装デバイス&コンポーネンツの世界市場動向について解説する。

■(1)アイドリングストップ・システム
当該システムは大別するとスターター方式、ベルト駆動方式、ダイレクトスタート方式分類される。スターター方式は従来のスターターを高耐久のスターターに置き換えるもので、コスト優位性はあるが、再始動時の快適性に劣る。

ベルト駆動方式はモーター/ジェネレーターとクランクを、ベルトを介して回転させる方式で、再始動時の快適性に優れ、なおかつ制動時には回生エネルギーシステムとして利用することができることから、費用対効果に優れたシステムとして評価が高い。

ダイレクトスタート方式は、マツダが「i-stop」として開発したものであり、エンジン停止時のピストン位置をスロットルとオルタネーターで高精度に調整し、再始動は直噴エンジンの燃料点火とスターターのアシストによって行う。素早い再始動が可能であるが、再始動時の排出ガスの発生や振動、エンジン制御の複雑化が課題となる。

バッテリーに関しては、強化された鉛バッテリーを採用するタイプが多いものの、リチウムイオンバッテリー(LiB)や電気二重層キャパシター(EDLC)を使用するモデルも登場している。今後は燃費向上のため、回生エネルギーシステムを併用する流れにあることから、充電受け入れ性の高いLiBやEDLC、またはニッケル水素バッテリー(NiMH)の採用が拡大する見込みである。

■アイドリングストップ・システムの市場規模予測
(WWベース)
 2013年実績2020年予測2025年予測2013年比
数量(千システム)7,96042,96051,6106.5倍
金額(百万円)155,330717,460809,2105.2倍
富士キメラ総研調べ

Bosch、Valeoなどが海外自動車メーカー向けに高いシェアを獲得しており、Bosch はBMWやVolkswagenに、ValeoはCitroenやDaimler、日産自動車向けに実績を持つ。

日系自動車メーカーは、部品単位での調達を行いシステムは自社で組んでおり、「i-Stop」として幅広い車種に展開するマツダがトップシェアである。日産自動車は「マーチ」「ノート」「セレナ」など主力車種に搭載し、シェアを高めている。また、スズキなどの小型車・軽自動車を主力とする企業のシェアが高く、低価格な車両ではHV化コストの吸収が難しく、当該システムが燃費改善の有望技術として積極採用されている。

各社とも低価格化のために構成部品をいかに減らすか検討を重ねているが、サブバッテリーを用いず強化バッテリー1個でシステム構成する例がみられる他、電圧降下を抑えてDC-DCコンバーターの数を減らす、または非搭載にするシステムもある。日産「マーチ」ではスターター周りの配線の内部抵抗を高めて電流値を上げることでDC-DCコンバーターを介さないシステムを実現している。

将来的には量産効果が上がり、低価格化していく方向にはあるが、一方で、ベルト駆動方式はマイクロHV用としてアシストトルクや回生エネルギーを増大させる方向性も考えられ、構成デバイスやコンポーネンツのスペックによっては将来予測の上限価格が上振れる可能性もある。

■(2)ブレーキ制御システム
当該システムは、予防安全を向上させるためにブレーキを最適に制御するシステムであり、ABS(Antilock Brake System)やESC(Electronic Stability Control)などがある。

ABSが主にブレーキ操作やアクセル操作に伴う制動時および加速時の安定性の確保を目的とした制御を行うのに対して、ESCは車両の旋回方向の安定性を確保するための制御を行っている。

■ブレーキ制御システムの市場規模予測(WWベース)
ABS数量(千システム)23,05030,80020,16087.5%
金額(百万円)9,9109,8706,05061.0%
ESC数量(千システム)39,39070,400100,810255.9%
金額(百万円)54,36070,40080,640148.3%
合計数量(千システム)62,440101,200120,970193.7%
金額(百万円)49,30080,27086,690175.8%
富士キメラ総研調べ

搭載率が高い欧州自動車メーカー向けに納入しているBoschとContinentalのシェアが高いが、2013年は欧州の自動車生産台数が大幅に縮小したため、2012年より販売台数が減少した結果となった。

北米自動車メーカーに多く納入するTRWやトヨタ自動車をはじめとした日系自動車メーカーに多く納入するアドヴィックスが2012年より販売数量を増加させたが、上位2社とは大きく差が開いている。尚、2013年の自動車生産台数に対して、ブレーキ制御システムの装着率は70%以上である。

ESCは先進国での搭載義務化が進行しているため搭載率が高まっており、2020年には新車への搭載が義務化されるためABSの需要は大幅に減少すると考えられる。一方、新興国におけるESC搭載の義務化の動きは鈍く、ABS搭載にとどまっている状況である。ただし、中国では安全基準を引き上げ始めており、エアバッグの搭載率向上に加えて、ESC搭載が自動車メーカー主導で行われる可能性が高い。長期的にはESCの低価格化が進むため、2020年以降ABSからESCへのシフトが世界的に進むとみられる。

尚、次回はADAS(先進運転支援システム)を取り上げる。

参考文献:「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2014」
(2014年02月24日:富士キメラ総研)


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