自動車用電装システム、デバイス&コンポーネンツ市場 市場動向3

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■(3)ADAS(先進運転支援システム)
ADAS(Advanced Driving Assistant System)はドライバーが安全な運転をできるようにするため、車両側で支援を行うシステムの総称である。車載カメラやレーダーからの情報をもとに車両側で制御、駆動し、ドライバーの安全支援を行うセンシングシステムを指すケースが多い。

ADAS自体は各システムの総称であるため、ADAS全体でユニット、市場規模を捉えることは困難である。そのため本項では各システムの搭載動向を踏まえたうえで、主体となるセンサーの組み合わせ別にシステムを定義すると下記のとおりとなる。

■搭載機器による分類
搭載システムタイプ\採用デバイス車載カメラミリ波レーダーレーザーレーダー
76GHz24GHz
レーザーレーダー単独   
車載カメラ(モニタリング機能併用含む)   
ミリ波レーダー単独   
   
  
車載カメラ+ミリ波レーダー  
  
 
車載カメラ+ミリ波+レーザー 
 
※その他、超音波センサーを搭載するシステムもある
富士キメラ総研調べ

■ADASの機能分類
システム名System Name略称機能
警報発令車両制御
車線逸脱警報Lane Departure WarningLDW 
車線維持支援Lane Keep AssistLKA 
前方衝突警報Forward Collision WarningFCW 
前方衝突被害軽減Forward Collision Mitigation ※FCM 
車間距離制御Adaptive Cruise ControlACC 
歩行者検知Pedestrian DetectionPSD
側方死角検知Side Blind Spot DetectionSBD 
道路標識検知Traffic Sign MonitoringTSM 
※緊急自動ブレーキ(AEB)などに代表される。プリクラッシュセーフティ(PCS)とも称される。
富士キメラ総研調べ

■ADASの市場規模推移(WWベース)
 2013年実績2020年予測2025年予測2013年比
数量(千システム)3,3903,39024,3707.2倍
富士キメラ総研調べ

当該システムにおいてはカメラ、レーダーセンサー、各種センサーを最終的に自動車メーカー側で組み立てるため、当該システムの数量は完成車搭載ベースと定義している。

2013年のトップはBMWであった。「3 Series」「5 Series」「6 Series」「7 Series」などにミリ波レーダー主体のPCS、LDW、ACCなどの機能を標準搭載しており、販売数量を拡大させた。2013年後半からは「1Series」を含めてカメラとミリ波レーダーを組み合わせ、PSDを追加したシステムを搭載し、フュージョン方式を搭載した車種を拡大させている。

Daimlerは77GHzと24GHzのミリ波レーダーを主体としたレーダーセーフティパッケージの標準搭載車を拡充させ、BMWに次ぐシェアとなった。

Volkswagenグループは傘下のAudiがPCS、SBD搭載車種をラインアップしているほか、Volkswagen「up!」でレーザーレーダーを主体の安価なPCSを搭載したことにより、大幅に販売数量が伸長した。今後も同様のセグメントの車種への展開が期待される。

国内メーカーではトヨタ自動車、富士重工業がシェア上位に入った。トヨタ自動車は「レクサス」シリーズにおいてPCS、SBDの搭載率を高めている。富士重工業は自社開発のEyeSightの販売が好調でありシェア上位に入った。2014年からはLKAも搭載した次世代EyeSightの販売を展開していく。

その他のメーカーではVolvo、本田技研工業、日産自動車、ダイハツ工業などが挙げられる。Volvoはレーザーレーダー主体としたシステムを展開してきたが、今後はカメラを組み合わせ、歩行者、自転車認識を可能にしたシステムを展開していく。

センシング用の車載カメラベースシステムではCCD、CMOSのモノクロステレオカメラが使用されており、短中期的にはモノカメラ採用システムの拡大によって全体単価が下がっていく。将来的には検出精度の向上、検出範囲の拡大からカラー化対応、CMOSメガピクセルステレオカメラが採用されるシステムも投入されるとみられ、コストの幅は広がるものと見込まれる。

レーザーレーダーベースシステムは、レーザーレーダー自体が安価であるためシステムレベルでも非常に安価である。カメラとミリ波レーダーのシステムは、ミリ波レーダー、車載カメラをセンシング用に使用し、ECU側も高い処理能力が必要となるため、それぞれ単独に使用したシステムよりもコスト高となる。

カメラ、ミリ波レーダー、レーザーレーダーを全て搭載するシステムはAEBだけでなく複数の機能の搭載を目的としているため、コストは最も高くなり、部分的な自動運転システムもこれらのデバイスの組み合わせによってシステムアップされる可能性が高い。

ミリ波レーダーやカメラは納入数量の増加によって単価も下落するものとみられるが、レーザーレーダーは技術成熟度が高いためデバイス自体のコストダウンが難しい。そのため処理用のECUをレーザーレーダー側に内蔵させる等モジュールの集積度を高める事で低コスト化に進んでいくものとみられる。

ミリ波レーダー、カメラにおいても制御側のECUやデバイス同士を集積し、モジュール化させることで低価格化を図る動きもある。

カメラ、レーダーセンサー、他センサーを採用するシステムにおいては、採用デバイス点数が多い分、価格は現状維持されるものとみられるが、部分的な自動運転システムが実用化されると需要の拡大や、処理ECUの統合化などによる低コスト化が図られていくものと予測される。また、レーザーのみ、カメラのみ、などデバイス単独で複数の機能を実現させ、部品コストを低減させる動きも出ている。

次回はHUD(ヘッドアップディスプレイ)とIVIシステム(次世代車載情報通信システム)の2製品を取り上げる。尚、当シリーズの最終回となる。

参考文献:「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2014」
(2014年02月24日:富士キメラ総研)


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