自動車用電装システム、デバイス&コンポーネンツ市場 市場動向4

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■(4)HUD(ヘッドアップディスプレイ)
ヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display、以下HUDと略す)は、ダッシュボード内部等から投影される光源を、フロントガラスの特殊加工された部分やコンバイナー(専用パネル)に反射させて情報を表示させる装置である。

光源によっていくつかのタイプに分けられ、現在最も多く搭載されているタイプが、2インチ以下のLCDに表示させた情報をミラーで反射させ虚像としてフロントガラスに映し出す仕組みの製品である。他にも、VFD(Vacuum Fluorescent Display)やレーザープロジェクター、LCOS(反射型液晶パネル)などを光源に使用したタイプがある。

■HUDの市場規模予測(WWベース)
 2013年実績2020年予測2025年予測2013年比
数量(千システム)1,20010,03016,82014.0倍
金額(百万円)31,320219,090307,2809.8倍
富士キメラ総研調べ

HUDはウィンドウガラスに投射するタイプが多く、車種ごとに入念な設計が必要となるが、コンバイナーと呼ばれるデバイスに投影させることによって標準化が図れ、多車種への搭載展開として有効である。

2013年時点でコンバイナータイプは全HUD販売数の12%であるが、最大30%まで拡大していくと思われる。HUDの利点は、走行中に視線をほとんど動かさずに表示を見ることができるところにあり、その点でいうとコンバイナー投射型は車載メーターを見るのと同様に視線移動が生じ、さらにはコンバイナー自体で視線が妨げられる課題もあるため、2020年以降はウィンドウガラス投射型が本命になっていくものと考えられる。

光源に関しては現在主流となっているLCDタイプが今後もスタンダードな製品として拡大していくが、2020年以降、製品の小型化を図れるMEMSミラーを採用したレーザータイプなどが搭載ウェイトを高めていくものと思われる。

HUD市場で圧倒的なシェアを誇っている日本精機が、約37.5%を占めてトップである。二番手はContinentalがBMWの「3シリーズ」やAudi向けの車種に納入を開始するなど実績を高めてきている。さらに同社は低価格戦略で製品を提案しているため、今後さらにシェアを上げてくるものと考えられる。

方式別にみると、LCDタイプより安価で製品化できるVFDタイプも2000年代後半から登場してきたが、表示の豊かさや表現力等でLCD タイプにやや劣るため、コストダウンが進むLCDタイプに取って代わっていくものと推定される。

当該システムは次世代の表示機器として非常に期待されており、従来の表示機能である車載メーターやカーナビなどとの連携を図っていくことが求められている。さらには今後普及が期待されているADASとの連携を図ることも想定されている。

これらの連携・協調で重要なのは、全ての情報をHUDで表示するのではなく、HUDで表示させるべきコンテンツと従来のメーター等で表示させるコンテンツをはっきり線引きして、ドライバーの運転に影響を与えないスマートな表示をさせることが求められていく。

■(5)IVIシステム(次世代車載情報通信システム=In-Vehicle Infotainment system)
本編ではGPSを利用した据置型ナビゲーション機能を有したシステムのうち、メーターとの連携、HUDとの連携、外部通信、ブレーキ制御の本格的な連携などが可能な機器をIVIシステム(として定義した。

従来は目的地までの経路案内を行うほか、各種エンターテインメント系の機器と連携する形で取り扱う機能を増やしてきたカーナビゲーションシステムであったが、近年ではエンターテインメント系の情報だけでなく、取り扱う車内の情報が増加していく中で、インフォテインメント機能を集約するデバイス&システムとしての役割を果たすようになってきている。尚、取り外し可能なPNDやスマートフォン、ディスプレイオーディオについては対象外とした。

■IVIシステムの市場規模予測(WWベース)
 2013年実績2020年予測2025年予測2013年比
数量(千システム)1,6108,15016,25010.1倍
金額(百万円)317,8001,145,1502,092,5706.6倍
富士キメラ総研調べ

基本的にはカーナビゲーションシステムに必要とされる加速度センサー、角速度センサー、小型モーター、液晶ディスプレイ、タッチパネル、LEDなどが搭載される。

加速度センサーや角速度センサーは自車の位置を測定するために必要され、小型モーターはディスプレイの収納作動等に使用される。液晶ディスプレイは、主に当該システムの情報表示に使用される7~9インチのディスプレイの他、このディスプレイの上下に設置される小型のディスプレイや、メーターシステム内にあるマルチインフォメーションディスプレイが挙げられる。ただし、メインディスプレイの上下に小型ディスプレイが設置されている製品や、マルチインフォメーションディスプレイに当該システムからの情報が表示される製品は一部ハイエンド車両に限られる。

車載カメラについては、後方確認用に装着されるものが多いが、車両前方や側面を確認するために装着されるものも増えている。安全性向上を目的としたADASの普及により、今後当該システムと連携するカメラの台数は拡大していく。

HUDについては、当該システムからの情報を、ドライバーが視線を変えることなく認識するための表示インターフェースとして、今後大きく市場を拡大することが期待される。

現状では、地図データ等が内蔵された既存のカーナビゲーションシステムをベースに、通信モジュールや車載カメラなどが装着された高機能なシステム、という様相が強いが、今後については、必ずしも既存のカーナビゲーションシステムをベースにするのではなく、ナビを含めた各種機能はインターネット接続によって得たアプリケーションで実現し、ハードウェアはアプリケーション利用に必要な通信機能(スマートフォンの接続機能含む)と表示・操作インターフェース、ストレージ、および車体情報を取得するためのセンサーと、そのセンサー情報を集約して利用するためのECUによって主に構成されるようになっていくことが想定される。もっとも簡潔なシステムは、HUDを含めた表示デバイスとスマートフォンのみで構成されるということも考えられる。

各自動車メーカー、システムメーカーによって様々なシステム/機能が構想されているが、ユーザーはシステム構成の在り方よりも、利用できるアプリケーションの利便性と価格を優先する。簡便性と多機能化をより高いレベルで両立できるシステムの在り方が今後も追及されていくことになると予測される。

参考文献:「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2014」
(2014年02月24日:富士キメラ総研)


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