高機能添加剤、ハイブリッドマテリアルの世界 市場動向1

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「ハイブリッドマテリアル」は「有機×有機」「有機×無機」「無機×無機」などさまざまな組み合わせにより、複合的な機能性を発現できる材料として注目されている。

一般的な有機-無機ハイブリッド材料は、nmレベルや分子レベルでの有機成分と無機成分を複合化させるという意味で使われることが多い(これを狭義のハイブリッドと定義)。この定義上のハイブリッドマテリアルも、既に多くの製品で実用化されている。例えば、ハイブリッドハードコートやエレクトロニクス用のハイバリアフィルムなどが挙げられる。

今回は、狭義の「ハイブリッドマテリアル」にとらわれず、ユーザーニーズ志向の強いアイテムかつ機能面での付加価値を高めている複合化製品の市場動向をまとめた。また、これらに使用されるような添加剤についても機能的に特徴のある材料の市場動向や材料技術、方向性についても俯瞰してみる。

本編で対象としている高機能添加剤・ハイブリッドマテリアル市場は、2兆3,312億円規模(2013年)であり、2017年までに平均成長率3.9%の伸びが期待されている(富士キメラ総研調べ)。市場成長のポイントは、自動車や航空機、電気電子関連の部材での採用によるものであるが、複合化による特徴を生かした市場成長も期待できる。例えば、より一層の軽量化が求められる航空機や自動車、高容量化が要求されるLiB(リチウムイオン電池)領域での採用などが挙げられる。

■高機能添加剤・ハイブリッドマテリアルの世界市場規模推移予測
      (単位:百万円)
分野2013年(実績)2017年(予測)‘13年比対象品目
汎用添加剤1,330,8801,516,875114.0%ガラス繊維、難燃剤(臭素系、リン系、三酸化アンチモン、水酸化物)、紫外線、吸収剤、耐衝撃改質剤、相容化剤(オレフィン用添加剤、エンプラ用添加剤)、粘着性付与材料、摺動性付与材料、流動性改善剤、光拡散剤、シランカップリン
高機能性付与剤490,495553,425112.9%抗菌剤、靱性付与パウダー(PES)、帯電防止剤(低分子、高分子、導電性高分子、無機系)、導電性カーボンブラック、CNT、グラフェン、銀粉、銅超微粉、導電性コアシェル微粒子、中空セラミックスビーズ、熱膨張性マイクロカプセル、メソポーラスシリカ、制振フィラー、近赤外線吸収材料、炭素繊維(PAN系)、炭素繊維(ピッチ系)、ポリシラン・シルセスキオキサン
ハイブリッド応用509,828646,110126.7%長繊維コンパウンド、CFRTP、C/Cコンポジット、ハイブリッドハードコート、遮熱塗料、放熱エンプラコンパウンド、ガラス中間膜、ハイブリッド透明導電性フィルム、導電ゴム、燃料電池用触媒、磁性材料(希土類、ハイブリッド)、屈折率制御層材料、高屈折コート剤・粘着剤・接着剤、防汚コーティング剤
合計2,331,2032,716,410116.5% 
富士キメラ総研調べ
※「有機×有機」「有機×無機」「無機×無機」などの組み合わせにより、複合的な機能性を発現できる材料・部材及び有機-無機ハイブリッド材料に代表されるような分子レベルでの複合化に限定せず、コンポジット、コンパウンド、分散技術、複合材料といった幅広い範囲をハイブリッドマテリアルと定義した。

2010~2012年にかけては販売金額ベースでは拡大傾向であったが、2013年は特に銀粉や難燃剤(三酸化アンチモン)の値下がりが市場全体に大きく影響を及ぼし、市場は微減となった。汎用添加剤と高機能性付与剤に絞ると、銀粉と難燃剤(三酸化アンチモン)以外の製品の大幅な値下がりはなかったため、両者の2013年の販売量は3,168,671tで前年比3.2%増となっている。

エレクトロニクス製品では小型化・薄型化に加え、低コスト化の影響により使用量が減少するケースもある。しかし、LED照明や太陽電池需要の拡大、自動車や航空機の軽量化、燃料電池車での本格採用などにより、需要拡大が見込まれる。

今後、ユーザーの海外生産のシフトや低価格な海外ユーザーの台頭により、国内市場は縮小・鈍化していくと予測される。しかし、国内では2020年のオリンピックに向け、今後、インフラや建築関連ではオリンピック需要による拡大が期待される。

汎用添加剤市場では、ガラス繊維がFRTP(熱可塑性樹脂)の強化材料として用いられ、自動車部材の軽量化を目的とした樹脂化の進展により好調である。流動性改善剤は、現状ではOA機器の筐体の材料用途で着色改善や成形性向上に使われることが多いが、今後は自動車部品の塗装レス化や、PC樹脂を利用したCFRTP(炭素繊維熱可塑性複合材料)の添加剤用途などで市場は拡大するとみられる。

高機能性付与剤は、市場構成比の高い銀粉が太陽電池材料での使用量削減やPDP材料需要の減少により低調なため、市場は緩やかな拡大が予測される。一方、航空機における軽量化や耐熱の部材用途、環境規制の強化による自動車部材用途での採用などにより、市場拡大が後押しされる品目がみられる。

特にポリシランは炭化ケイ素繊維の原料として用いられ、航空機などの耐熱部材やディーゼルエンジン排気触媒としての利用が拡大するとみられる。靭性付与パウダー(PES)は、航空機向けのCFRP(炭素繊維強化プラスチック)用途で利用されており、今後は自動車向けのCFRP用途での採用も期待される。

CNT(カーボンナノチューブ)は樹脂添加剤用途を中心に利用されてきたが、今後はリチウムイオン二次電池用導電助剤また燃料チューブやフューエルポンプなど自動車部品の部材用途での採用が拡大するとみられる。 炭素繊維(PAN系)は、CFRPやCFRTPで用いられており、2013年までのような急激な市場拡大は難しいものの、航空機や風力発電部材用途における需要拡大や、軽量化ニーズを受けた自動車ボディなどでの採用により堅調な需要が期待できる。

参考文献:「2014年 高機能添加剤・ハイブリッドマテリアルの将来展望」
(2014年06月06日:富士キメラ総研)

2015年 エンプラ市場の展望とグローバル戦略 EnplaNet Books


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