高機能分離膜・フィルター市場 市場動向1

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今回は、大気・水環境の改善、新エネルギーの創造、工業用プロセスにおける生産性の向上、エネルギーコストの低減等の処理運用において、その役割が期待される分離膜及びフィルター製品市場に焦点を当てみた。

富士経済の調査によると2020年度で高機能分離膜・フィルター市場は5,988億円(2013年度比23.7%増)になると予測している。

当該市場をみて行くに際し、膜・フィルターを「水環境」「大気・空質浄化」「工業用プロセス・その他」の3分野に分類し、素材別の動向と膜・フィルターの注目需要分野、新規需要分野における技術動向や今後の方向性に触れてみる。

なお、ここで取り上げた市場規模等の数値は国内市場+日系メーカーの海外売上とし、水環境分野の精密ろ過(MF) 膜/限外ろ過(UF) 膜、逆浸透(RO) 膜/ナノろ過(NF)膜、膜分離活性汚泥法(Membrane Bio Reactor:以下MBR)、脱気膜及び工業用プロセス・その他分野のイオン交換膜(フッ素系)は世界市場について一部触れた。

■膜・フィルター市場(国内市場+日系メーカーの海外売上)
分野2013年度実績2020年度予測2013年度比対象製品群
水環境1,378億円2,047億円148.5%水処理用膜(MF/UF)、水処理用膜(RO/NF)、MBR、液体ろ過用カートリッジフィルター、脱気膜
大気・空質浄化1,3781,736億円億円1,975億円113.8%粗塵フィルター、中・高性能フィルター、HEPA/ULPAフィルター、ケミカルフィルター、フィルターバグ、DPF(Diesel Particle Filter)、キャビンエアフィルター
工業用プロセス・その他※1,728億円1,966億円113.8%イオン交換膜(炭素水素系)、イオン交換膜(フッ素系)、メタルフィルター、活性炭フィルター、ガス精製カートリッジフィルター、窒素富化膜、アルコール脱水膜、食品・医薬プロセス膜、透析膜(ダイアライザー)、ブロッティング/POCT用膜、オイルフィルター、フューエルフィルター
合計4,842億円5,988億円123.7% 
富士経済調べ
※工業用プロセス・その他分野は、「オイルフィルター」と「フューエルフィルター」が国内市場のみを対象としている。また、「ガス精製カートリッジフィルター」と「メタルフィルター」の市場重複分は、差し引いて算出している。

水環境分野では、MF/UF膜は北米が最大の市場であるが、近年は産業用水、排水処理向けで中国や中東の需要が高まっている。RO/NF膜は、中東の海水淡水化や中国の工業用脱塩用でRO膜の需要が増加している

MBRは、中国や中東で排水処理規制強化に伴い、工業団地において集中排水処理施設での採用が増加している。液体ろ過用カートリッジフィルターは、半導体・FPD(Flat Panel Display)などの電子産業向けが順調で、医薬品やバイオ産業向けについても補助金の影響などにより設備投資がみられ、拡大している。

一方、食品・飲料産業や一般工業用向けは価格競争が厳しく、数量ベースで増加しても市場の伸びは限定的である。液体ろ過用カートリッジフィルターの海外売上は小さいものの、今後、用途によって高まるとみられる。今後の水環境分野は新興国の工業化、人口増加、異常気象などに起因する水不足や環境対策により市場拡大が予想される。

大気・空質浄化分野はディーゼル排ガス除去フィルター(Diesel Particle Filter:以下DPF)とキャビンエアフィルターが自動車向けに使用され、その他のフィルターは、主に工場やオフィスビル、発電所の建物に導入されている空調機や生産設備、装置向けに使用されている。

粗塵フィルター、中・高性能フィルター、ケミカルフィルター、フィルターバグ、キャビンエアフィルターはリプレイスが中心の市場で、ユーザーにとっては消耗品とみなされる場合が多く、価格低減要求が厳しい。今後も単価の下落が、市場拡大への阻害要因になるとみられる。

一方でDPFは、これまでは欧州が主な需要地であったが、近年は日本や北米でも、ディーゼル車のラインアップが増加しており、今後は欧州以外の地域でも需要の拡大が期待される。大気・空質浄化分野は、エアフィルターの規模縮小をDPFがカバーする形で市場の伸びが予想される。

工業用プロセス(工業分野の製造プロセス)・その他分野は、エネルギー、医療、自動車に使用される膜を対象となるが、イオン交換膜(フッ素系)や透析膜(ダイアライザー)が市場の中心で用途が限定され参入企業も比較的少ない。今後は、工業用プロセスやエネルギー、医療向けが順調に伸びるとみられる。

市場全般の傾向として、化石燃料消費量の増加や環境問題、エネルギーセキュリティから、再生可能エネルギーや非在来型エネルギー、燃料電池などのクリーンエネルギーデバイスに対する注目が高まりに伴い、環境分野や工業用プロセス分野から資源・エネルギー分野へと、製品の応用領域拡大を目指す動きが活発しつつある。

参考文献:「高機能分離膜/フィルター関連技術・市場の全貌と将来予測 2014」
(2014年07月24日:富士経済)

注目業界の市場動向・将来展望


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