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本年最後のマーケット情報は、実績数値が出そろったエンプラ樹脂の2013年の需要状況を俯瞰してみた。
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新興国の需要拡大を背景に出荷量の増加傾向は続いているが、樹脂製品の生産拠点が中国やアジア諸国を中心に拡大しており、材料樹脂の地域別需給関係にも変化が出てきている。
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■汎用エンプラの出荷動向
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汎用エンプラ出荷実績(2013ワールドワイド)
種類 | 数量(t) | % |
PC | 3,192,580 | 40.1 |
PA6 | 1,203,500 | 15.1 |
PA66 | 1,156,000 | 14.5 |
POM | 968,000 | 12.1 |
PBT | 885,500 | 11.1 |
m-PPE | 314,050 | 3.9 |
UHMW-PE | 146,330 | 1.8 |
GF-PET | 102,770 | 1.3 |
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汎用エンプラ市場は、中国や東南アジアなど新興国需要、自動車生産拡大などを背景に販売数量は堅調に推移している。しかし、相次ぐ生産設備の新増設に対して需要拡大が結びつかず、需給バランスが緩んでいる樹脂もあり、単価下落が影響し販売金額の伸びは鈍化している。
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中国は電気・電子分野の生産拠点が集中しており、また自動車についても世界最大の生産国となっていることから、汎用エンプラ需要の3割以上を占めている。
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電気・電子分野については中国、その他アジア地域に生産拠点が集中しているが、自動車については北米や欧州、日本の生産規模も大きい。そのため、北米や欧州、日本では自動車での需要が中心のPAのウエイトが高い。
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PCは年間需要が300万tを超える規模となっており、相次ぐ新増設により需給バランスが崩れ、価格競争が激しくなっている。
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PA6、PA66は自動車部品やフィルム(軟包材など)での需要が堅調で需給バランスは保たれているが、2015年以降、BASF社やDSM社、宇部興産、Honeywell社といった大手による設備の新増設計画が相次いでおり、供給能力は大きく拡大する見込みである。
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年間需要が100万tに迫るPOMやPBTについては、大手による新増設や中国、台湾、韓国などの新興メーカーの台頭により需給バランスが崩れつつあり、価格競争に突入している。
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■スーパーエンプラの出荷動向
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スーパーエンプラ出荷実績(2013ワールドワイド)
種類 | 数量(t) | % |
PA11・PA12 | 88,000 | 16.1 |
PPS | 98,600 | 18.0 |
PA6T | 47,500 | 8.7 |
LCP | 37,305 | 6.8 |
PA46 | 32,300 | 5.9 |
PSF・PSFF | 18,350 | 3.4 |
PAMXD6 | 14,210 | 2.6 |
PEI | 13,780 | 2.5 |
SPS | 12,310 | 2.2 |
PA9T | 11,200 | 2.0 |
PES | 10,580 | 1.9 |
PEEK | 4,100 | 0.7 |
PAR | 2,185 | 0.4 |
PAI | 213 | 0.0 |
TPI | 98 | 0.0 |
PBI | 9 | 0.0 |
フッ素樹脂 | 156,400 | 28.6 |
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スーパーエンプラ市場は自動車や電気・電子分野などでの金属代替を主体に市場開拓が進められている。自動車分野では電装部品増加やHEV、EVの普及により軽量化ニーズが高まっており、スーパーエンプラの優れた耐熱性や電気特性などから採用拡大が見込まれる。
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スーパーエンプラは成形に高い技術力が求められ、高精度な部品や重要基幹部品への採用が多いこともあり、日本や欧米の需要が多いものの、これらの部品生産も中国やその他アジア地域へのシフトが進みつつある。
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■その他の樹脂の市場動向
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(1) |
バイオ樹脂(PLA、PBS、PGA、バイオPE、バイオPET等) |
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生分解性樹脂(PLA、PBS、PGA)についてはコンポストバッグや農業用マルチフィルム、包装資材での採用が多く、規制が厳しい欧州での需要が市場を支えている。
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バイオマス樹脂(バイオPE、バイオPET)については包装資材での採用が多い。バイオPETは大手飲料メーカーの主導により、ボトルでの採用拡大が見込まれる。
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バイオ樹脂は一般的な樹脂に比べて高価格であるため、法規制強化のような強制力や補助金のような政策的な後押しが需要拡大のポイントとなっており、環境意識の高い欧州や北米での需要規模が大きく、両地域が全体の8割以上を占める。
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なお、バイオPEについてはブラジルの大手PEメーカーであるBraskem社が展開していることもあり、南米での需要規模が大きい。
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(2) |
その他機能性樹脂 |
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(耐熱ABS、透明ABS、PMMA、TAC、COP/COC、新規耐熱透明樹脂、PEN、PMP、EVOH、MBS、m-PE、m-PP)
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新規耐熱透明樹脂についてはガラス代替での開発が主体となっており、特にディスプレイ回りでの採用拡大に向けた取り組みが進められている。
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耐熱ABSやPMMAについては自動車向けが多いことから、自動車生産台数の多い日本や欧米での販売数量も多い。
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TACやCOC/COP、PENは液晶ディスプレイ回りなどの光学部材向けが多いため、光学フィルム大手が多い日本での販売構成比が高い。
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参考文献:「2015年 エンプラ市場の展望とグローバル戦略」 (2014年09月25日:富士経済)
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