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前回は6つの形態区分による粘接着材の世界市場を俯瞰したが、成熟感のある国内市場でも伸長率が顕著な製品がある。今回は、その中から4つの製品を取り上げ、その市場動向を解説してゆく。
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1.エポキシ樹脂系接着剤(反応形)
| 2013年 | 2018年予測 | 2013年比 |
数量 | 2.3万トン | 2.6万トン | 113.0% |
金額 | 159億円 | 180億円 | 113.2% |
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土木、建築、自動車・車両、エレクトロニクスなどに広く普及している製品である。消費量が最も多い土木、建築分野では新規公共事業の縮小や消費税改正後の住宅着工数低迷により新築での需要は減少したが、老朽施設の補強や補修、住宅リフォームなどメンテナンス需要が市場を支えている。
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2014年以降はコンクリート構造物や道路・鉄道の耐震補強や補修需要の拡大、東京オリンピックに向けてのインフラ整備による需要の増加により、市場は拡大するとみられる。
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2.エラストマー系ホットメルト形接着剤(ホットメルト形)
| 2013年 | 2018年予測 | 2013年比 |
数量 | 5.1万トン | 6.0万トン | 117.6% |
金額 | 252億円 | 297億円 | 117.9% |
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伸縮性があり、大人/子供用の紙おむつやナプキンなどの衛生材向けが中心であり、それらが高齢者・介護向けで増加していることから市場が拡大している。近年は中国やアジアを中心に高品質な日本製の紙おむつの輸出が高まり、需要が伸びている。
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日系紙おむつメーカーは海外にも生産拠点を構築しており、需要が拡大している中国やアジアに注力している。今後、輸出用紙おむつ向けの需要は鈍化するとみられるが、国内では高齢者や介護向けに大人用紙おむつの需要拡大が期待されるため市場は微増が予想される。
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このほかの分野では住宅外壁用シーリングや断熱材向けなど土木建築分野の需要が拡大している。自動車・車両分野はヘッドライトやテールランプなどのシーリングで使用されている。特に耐水性や補修時のリシール性を高めた製品で採用が拡大している。
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3.ウレタン樹脂系反応型ホットメルト形接着剤(ホットメルト形)
| 2013年 | 2018年予測 | 2013年比 |
数量 | 0.5万トン | 0.6万トン | 120.0% |
金額 | 45億円 | 51億円 | 113.3% |
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住設建材や家具向けの合板や木工分野で需要があり、2013年は消費税改正前の住宅着工件数の増加や近年の脱溶剤化ニーズなども後押しして市場が大きく拡大した。今後は住宅着工件数の減少が予想されるが、建築や繊維分野で脱溶剤化の動きが高まっており、また、排水処理能力や生産性からエマルジョン形接着剤からの置き換えが進むとみられる。
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このほかの分野では、耐久性の高さや高速硬化性などが評価され、自動車・車両分野で主に座席シートやドア内装材の布張り合わせに使用されてきた。また近年は、ライトのシーリング用途において、一部の日系メーカーは防湿性を高めたエラストマー系ホットメルト形接着剤の使用事例が多い。海外メーカーは接着強度を求めてウレタン樹脂系反応型ホットメルト形接着剤を使用しているが、今後日系自動車メーカーにおいても採用が増加していくと予想される。
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4.メタロセンPO系ホットメルト形接着剤(ホットメルト形)
| 2013年 | 2018年予測 | 2013年比 |
数量 | 0.7万トン | 0.9万トン | 128.6% |
金額 | 37億円 | 46億円 | 124.3% |
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段ボール封函などの包装向けでEVA樹脂系ホットメルト形接着剤からの代替が進んでおり、年々需要が拡大している。熱安定性の高さから炭化物の発生が抑えられ、接着剤を使用する側の生産ラインにおいて、アプリケータのノズル詰まりによるライン停止回数を減少できる。また、EVA樹脂系ホットメルト形接着剤と比較して、面積当たりの接着剤の使用量を削減でき、トータルコストの低減につながる点が評価されている。さらに、耐熱性も高いため食品調味料など中身が高温状態のまま段ボールに包装される場合においても、接着不良の抑制が可能となっている。
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最近、省電力・省エネ化が可能な低温ヒートシール製に優れた製品が開発されているが、ニスコートされた化粧箱などへの接着力には課題がある。日本は欧米と比較してコーティングされた段ボールの使用率が高いため、今後は様々な被着体への接着特性を向上させる製品開発が求められている。
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参考文献:「2014年 粘・接着剤市場の展望とグローバル展開」 (2014年08月07日:富士経済)
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