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今回は、ティッシュエンジニアリング関連市場を形成する「細胞培養施設/サービス」、「細胞培養機器」、「セルカルチャーウェア/試薬」についてレポートする。
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■細胞培養施設/サービス市場
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単位:億円
年次 | 2014実績 | 2020予測 | 2030予測 |
合計 | 37 | 94 | 382 |
細胞培養センター(CPC) | 25 | 46 | 52 |
細胞/組織バンク | 12 | 18 | 30 |
細胞培養受託 | - | 30 | 300 |
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細胞培養センターは、アカデミヤにおける臨床研究用途として設置されて行った。2014年は28件設置され大学より製薬企業での設置が増加した。今後は再生医療の発展に伴って、クリニック向けの需要が拡大すると予想される。
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細胞/組織バンクは、患者または他人の将来の病気や老化などに備えて健康な時期の細胞や組織を採取・保管し、必要な際に、移植等治療を行うことを目的とした施設である「臍帯血バンク」、「皮膚細胞/組織バンク」、「歯髄細胞バンク」を対象としている。臍帯血バンクは、臍帯血を利用した治療例の増加に伴い、今後臍帯血の有効利用を考える母子が増加すると見込まれる。皮膚細胞バンクは、美容ニーズの高まりから今後利用者が増加していくとみられる。歯髄バンクでは、提携歯科医院数の増加や医療機関との提携により利用者は順調に拡大していくと予測される。2030年には歯髄細胞バンクが細胞/組織バンク全体の約4割を占めると予測される。
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細胞培養受託は、2014年11月に成立した再生医療等の安全性の確保等に関する法律をきっかけに市場が誕生している。2015年は、許可を申請した施設の承認待ちでサービスは実施されていない。2016年頃から市場が形成されていく。医療機関では、今後設備投資の効率性などの観点から培養業務をアウトソースすることが、一般化されると見られる。
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■細胞培養機器市場
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単位:億円
年次 | 2014実績 | 2020予測 | 2030予測 |
合計 | 438 | 485 | 546 |
フローサイトメーター | 69 | 79 | 82 |
遠心分離機 | 69 | 73 | 80 |
細胞観察用顕微鏡 | 64 | 66 | 70 |
超低温フリーザ | 39 | 42 | 45 |
アイソレータ | 29 | 40 | 43 |
CO2インキュベータ | 20 | 25 | 38 |
その他 | 148 | 160 | 188 |
富士経済推定 |
※その他(自動培養装置、安全キャビネット/クリーンベンチ、滅菌器、凍結保存容器、薬用冷蔵ショーケース/薬用保冷庫、細胞計数分析装置、セルイメージングシステム、破砕装置/ティッシュスライサー、超純水製造装置) |
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需要の中心は、大学や公的研究機関の為各年の予算に大きく左右されている。2014年は、大型機器の設置が減り前年比97%の市場規模であった。
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フローサイトメーターは、溶液中に分散・浮遊させた細胞(検体)を狭経路内に流し、個々の検体を光学的に分析する装置である。従来は、血液がん研究がメインであったが、近年再生医療研究向けに利用が拡大し、新規参入メーカーが増加している。アイソレータは、クリーンルームと比べて無菌性が高く、より高い品質保証を可能にしている。2015年は再生医療研究向けや製薬企業向けで封じ込めタイプの需要が拡大した。今後はアレルギー対策等クロスコンタミネーションの防止向け開発で、化粧品関連分野や食品関連分野で需要が見込まれている。安全キャビネット/クリーンベンチは、再生医療関連や感染症等への関心の高まりからクリーンベンチから安全キャビネットへのシフトが進んだ。今後も市場の拡大が見込まれる。
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■セルカルチャーウェア/試薬市場
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単位:億円
年次 | 2014実績 | 2020予測 | 2030予測 |
合計 | 158 | 189 | 224 |
細胞培養用 シャーレ・プレート・フラスコ | 59 | 66 | 76 |
細胞培養用培地 | 45 | 55 | 70 |
血清 | 27 | 35 | 30 |
トランスフェクション試薬 | 14 | 16 | 16 |
細胞培養バック | 6 | 8 | 10 |
その他 | 7 | 9 | 22 |
富士経済推定 |
※その他(細胞培養用ゲル、細胞培養用スキャホールド、細胞凍結保存液、細胞搬送容器) |
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器具や試薬の市場は、再生医療研究の増加の中で安定的な市場推移が今後も続く見通しである。注目される製品としては、細胞の大量培養や自動培養が増加する中で、細胞培養用培地や細胞培養バッグ等の培養関連製品が今後も市場の牽引役となる事が期待される。また、今後市場拡大が見込まれる細胞培養受託の普及に伴い、細胞搬送ニーズの高まりが想定される。血清は、再生医療では病原体の感染等を避ける目的で無血清培地が好ましいとされており、今後市場は縮小していくと見られる。
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参考文献:「ティッシュエンジニアリング関連市場の最新動向と将来性 2015」 (2015年10月28日:富士経済)
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