|
● |
今回は、リチウムイオン二次電池材料の世界市場の第2回目として、リチウムイオン二次電池のタイプ別市場動向とタイプ別リチウムイオン二次電池の材料市場をレポートする。
|
|
■リチウムイオン二次電池のタイプ別市場動向
|
生産金額
| 2014年実績 | 2019年予測 | 2014年比 |
合計 | 1兆6,768億円 | 2兆2,112億円 | 131.9% |
シリンダ型 | 3,800億円 | 4,110億円 | 108.2% |
角型 | 3,490億円 | 1,930億円 | 55.3% |
ラミネート型 | 5,830億円 | 7,100億円 | 121.8% |
車載専用 | 3,260億円 | 8,200億円 | 251.5% |
ESS用※/UPS・バックアップ電源用 | 388億円 | 722億円 | 199.0% |
※ESS(Energy Storage System:電力貯蔵システム) | 富士経済推定 |
|
● |
シリンダ型:今まで市場の拡大をけん引してきたノートブックPC向けの需要が今後減少するが、Tesla Motorsで採用されている18650タイプが今後もEV向けで需要を伸ばし、当該市場は拡大していくとみられる。
|
● |
角型:フィーチャーフォン、スマートフォン向けが多いため、市場はこれらの生産動向に大きく左右される。スマートフォンは生産数量が拡大しているものの、ラミネート型を使用するタイプが増加している。メーカー各社は用途拡大を目指しスリム型ノートブック向けへの展開を進めているが、大きな市場拡大は期待できず、今後市場は急速に縮小するとみられる。
|
● |
ラミネート型:小型、軽量が求められる機器の他に、大容量が求められる機器にも採用が広がっている。スマートフォンやタブレット端末の生産数量が引き続き拡大しており、特にスマートフォンはラミネート型を使用する電池パックの取り外せないタイプが増加し、海外を中心に需要が急速に高まっている。
|
● |
車載専用:HVやPHV、EV、FCVなどの生産拡大に伴い伸びている。特に中国では電動トラック・バスの普及が進んでおり、同用途向けが2014年に大きく伸び、市場をけん引した。EVは今後も車種の増加や充電インフラの整備、補助金政策などにより生産台数が増加するとみられ、中国を中心にEV向けの伸びが予測される。
|
● |
ESS用/UPS・バックアップ電源用:エネルギー密度が二次電池の中で最も高く、電源部の小型化などに対応できることから、ESS向けが増加している。高価格な点など普及にあたって不利な面もあるが、今後は発電時にCO2を排出しない再生可能エネルギー発電の世界的な普及に伴い、堅調に市場は拡大していくとみられる。
|
|
■リチウムイオン二次電池のタイプ別材料市場動向
|
①「シリンダ型」「角型」「ラミネート型」2014年実績/2019年予測
| シリンダ型 | 角型 | ラミネート型 |
生産数量(百万セル) | 2,515/2,981 | 1,732/1,324 | 1,776/2,628 |
主要材料 | | | |
| 正極活物質(t) | 37,800/46,700 | 19,900/15,600 | 30,400/44,500 |
| 負極活物質(t) | 18,300/24,000 | 9,300/7,300 | 13,700/20,000 |
| 電解液(t) | 11,300/13,400 | 8,400/6,600 | 12,300/18,000 |
| セパレータ(千m2) | 251,500/298,100 | 126,000/99,000 | 185,000/270,000 |
|
● |
シリンダ型:車載用18650タイプの市場拡大などがけん引することで、ハイエンドの材料が利用され正極活物質の高容量材料構成比が拡大していく。(EV用のマンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウムの拡大が期待される。)
|
● |
角型:1セルあたりの容量は拡大傾向にあるが、電池セル市場が縮小傾向にあるため、当該材料の多くは縮小で推移すると予測される。
|
● |
ラミネート型:電池の市場拡大と1セルあたりの電池容量の増加に影響され、当該材料も大幅な拡大が見込まれる。
|
|
②「車載用」「ESS用/UPS・バックアップ電源用」2014年実績/2019年予測
| 車載用 | ESS用/UPS・バックアップ電源用 |
生産数量(MWh) | 8,500/36,500 | 1,115/3,760 |
主要材料 | | |
| 正極活物質(t) | 17,700/72,200 | 2,300/7,700 |
| 負極活物質(t) | 8,500/36,500 | 1,100/3,800 |
| 電解液(t) | 11,100/47,600 | 1,500/4,900 |
| セパレータ(千m2) | 150,400/689,800 | 16,700/56,500 |
|
● |
車載用:中国でのEV市場の拡大と欧州メーカーが2017年以降のPHEVのラインナップの増加が見込まれることから、当該市場は拡大傾向である。当該材料の使用量が非常に多いため、車載用電池市場の拡大は材料市場に大きなインパクトを与える。
|
● |
ESS用/UPS・バックアップ電源用:再生可能エネルギーの市場拡大やスマートフォンにおける4G通信の拡大により当該電池市場は大幅に拡大すると予測される。車載用電池向けと共に今後の材料市場をけん引していく重要な市場になると期待される。
|
|
参考文献:「2015 電池関連市場実態総調査 下巻」 (2015年10月30日:富士経済)
|
|

|
|