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今回は、家電製品の生産地域別動向と新興国(6カ国)の市場動向を解説する。
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■家電(白物、小物)の地域別の生産動向
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| 2015年実績:数量(万台) | % |
合計 | 233,430 | 100.0 |
日本 | 3,271 | 1.4 |
中国 | 189,838 | 81.3 |
韓国 | 2,404 | 1.0 |
東南アジア | 12,107 | 5.2 |
インド | 4,767 | 2.0 |
他アジア・オセアニア | 259 | 0.1 |
北米 | 3,658 | 1.6 |
中南米 | 5,007 | 2.1 |
欧州・ロシア | 11,699 | 5.0 |
中東・アフリカ | 420 | 0.2 |
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世界の家電生産の中心地は依然として中国であり、2015年で18億9,838万台の生産実績があった。特に、調理関連やパーソナル関連といった小物家電の生産量が多い。しかしながら、中国生産の成長率は以前と比べて鈍化している。これは、中国国内の需要低迷と世界経済の低迷から輸出も伸び悩んでいることによる。日本では、洗濯機/洗濯乾燥機、冷蔵庫、ルームエアコンといった主要白物家電のほか、美顔器等のパーソナルケア関連家電では、ハイエンド機種を中心として日本国内向けに生産されている。洗濯機/洗濯乾燥機、冷蔵庫、ルームエアコンに関しては、日本のみならず、欧米、東南アジア、インド、ブラジルにおいても、内需向けに現地で生産が行われている。
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■新興国の生産と販売実績
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対象新興国:中国、インドネシア、インド、ブラジル、トルコ、ロシアの6カ国 |
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1)新興国の生産、販売量(2015年実績)
| 全体市場 | 新興国市場 | % |
生産量 | 23億3,430万台 | 20億3,287万台 | 88.7 |
販売量 | 23億3,430万台 | 9億7,111万台 | 41.6 |
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2)衣住関連機器における新興国の生産、販売動向(2015年実績)
| 全体市場に占める構成比 % |
生産量 | 販売量 |
対象品目合計 | 80.1 | 46.6 |
アイロン | 98.0 | 51.2 |
ロボット掃除機 | 91.9 | 57.8 |
洗濯機/洗濯乾燥機 | 77.5 | 53.5 |
浄水器 | 69.9 | 52.8 |
掃除機 | 66.4 | 25.5 |
アルカリイオン整水器 | 54.9 | 54.9 |
温水洗浄便座(一体型) | 47.9 | 39.6 |
温水洗浄便座(シート型) | 24.2 | 25.9 |
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浄水器は、中国、東南アジア、インド、ロシアなどのローカルメーカーが現地市場向けに生産をしており、特にインドでは需要が大幅に拡大している。温水洗浄便座のグローバルなプレゼンスは日系メーカーが有しているものの、中国のローカルメーカーも近年生産規模が拡大し、主にローエンドセグメントで販売を行っている。
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3)調理関連機器における新興国の生産、販売動向(2015年実績)
| 全体市場に占める構成比 % |
生産量 | 販売量 |
対象品目合計 | 88.3 | 49.5 |
電気ケトル | 100.0 | 43.2 |
フードプロセッサー/フードチョッパー | 99.5 | 17.7 |
トースター | 99.3 | 18.2 |
ジューサー/ミキサー | 93.6 | 28.8 |
炊飯器 | 92.9 | 88.5 |
コーヒーメーカー/エスプレッソマシーン | 89.5 | 20.3 |
電子レンジ/電気オーブンレンジ | 86.6 | 37.9 |
冷蔵庫 | 75.5 | 53.9 |
IHクッキングヒーター | 59.2 | 39.1 |
食器洗浄乾燥機 | 34.7 | 17.0 |
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電気ケトル、フードプロセッサー/フードチョッパー、トースターなどの小物調理家電のほぼ全量が中国で生産されているが、その多くは欧米諸国を中心とした輸出である。炊飯器もほぼ全量が中国で生産されているが、同製品は中国内需及び周辺のアジア諸国向けとなっている。
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4)空調・給湯関連機器における新興国の生産、販売動向(2015年実績)
| 全体市場に占める構成比 % |
生産量 | 販売量 |
対象品目合計 | 83.3 | 46.0 |
空気清浄機 | 94.7 | 22.1 |
扇風機 | 90.6 | 44.2 |
ルームエアコン | 78.2 | 55.3 |
換気扇 | 73.4 | 41.8 |
電気給湯器 | 69.7 | 44.9 |
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ルームエアコンや電気給湯器は、内需向け生産体制が取られており、生産地分散の傾向にある。それでも中国に生産が集中している。一方、空気清浄機は、中国生産が9割以上を占めているが、需要先は、欧米や日本である。
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5)パーソナルケア関連機器における新興国の生産、販売動向(2015年実績)
| 全体市場に占める構成比 % |
生産量 | 販売量 |
対象品目合計 | 92.3 | 27.7 |
歩数計/活動量計 | 100.0 | 13.7 |
体温計 | 99.8 | 35.4 |
体重計/体組成計 | 99.5 | 33.8 |
ヘアアイロン | 98.2 | 20.3 |
ヘアドライヤー | 97.1 | 30.9 |
レディースシェーバー/脱毛器 | 92.1 | 22.4 |
血圧計 | 91.0 | 25.8 |
マッサージチェア | 83.4 | 44.3 |
電動歯ブラシ | 82.1 | 15.2 |
メンズシェーバー | 77.2 | 40.3 |
美顔器 | 61.9 | 21.5 |
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パーソナルケア関連機器は、現状中国に生産が集中しているものの、中国の人件費の高騰によりインド及び東南アジアへ生産を徐々にシフトしていくと見られている。販売は、中国、インド、インドネシアの生活水準が高まり、今後需要が拡大していくと見られる。一方、ブラジル、トルコ、ロシアは経済低迷の影響が及んでおり、市場成長が鈍化している。
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参考文献:「グローバル家電市場総調査 2016」 (2016年02月05日:富士経済)
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