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UV硬化型製品は速硬化による生産性の高さ、無溶剤による環境負荷の低さを活かし、今や建材や自動車、電気・電子、印刷等、幅広い分野で用いられている。また、レジスト関連製品は半導体の回路形成や液晶パネルのカラーフィルタ等、エレクトロニクス製品の生産にとって不可欠な材料となっている。
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今回は、中国や東南アジア、インドなど新興国・地域の経済成長とともに需要が増加しているUV硬化型製品と、FPD用レジストでは需要国・地域での現地生産化が進むレジスト関連製品の世界市場を2回に分けて解説する。
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■UV硬化型製品:世界需要(数量ベース)
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| 2015年 | 2020年予測 | 2015年比 |
合計 | 240,880t | 267,860t | 111.2% |
UV硬化塗料・コーティング材 | 51,950t | 44,460t | 85.6% |
UVインキ | 187,490t | 221,700t | 118.2% |
UV接着剤 | 1,440t | 1,700t | 118.1% |
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2015年のUV硬化型製品市場は、24万880トンとなった。UVインキが最大規模になっている。中でも大きなウエイトを占めるUV硬化型インキの需要が伸びている。また、UV硬化型インクジェットインキ、3Dプリンタ用UV硬化型樹脂の需要も高まっている。UVインキは拡大しており、UV硬化型製品市場をけん引している。
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なお、UV硬化塗料・コーティング材はモバイル端末・弱電家電用の需要減少により縮小が予想される。UV接着剤はタッチパネル用OCAの需要増加が予想されるものの、全体的には微増とみられる。
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対象製品
分野 | 対象品目 |
UV硬化塗料・コーティング材 | 自動車用、モバイル端末・弱電家電用、光ディスク用、光ファイバ用、フィルム用ハードコーティング材、自己修復性塗料・コーティング材 |
UVインキ | UV硬化型インキ、UV硬化型インクジェットインキ、ナノインプリント用UV硬化樹脂、3Dプリンタ用UV硬化樹脂、感光性導電ペースト |
UV接着剤 | UV硬化型接着剤、タッチパネル用OCR、有機EL用シール材 |
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■UV硬化塗料・コーティング材:世界需要(数量ベース)
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| 2015年 | 2020年予測 | 2015年比 |
UV硬化塗料・コーティング材 | 51,950t | 44,460t | 85.6% |
自動車用 | 8,520t | 10,370t | 121.7% |
モバイル端末・弱電家電用 | 26,270t | 18,060t | 68.7% |
光ディスク用 | 6,400t | 3,730t | 58.3% |
光ファイバ用 | 6,770t | 8,160t | 120.5% |
フィルム用ハードコーティング材 | 3,540t | 3,680t | 104.0% |
自己修復性塗料・コーティング材 | 450t | 460t | 102.2% |
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自動車用のUV硬化塗料・コーティング材は、ヘッドランプレンズのハードコート、ヘッドランプ及びリアランプのリフレクタへのめっき蒸着アンダーコート、自動車内装材のハードコートに使用される。自動車の生産台数に連動して市場が拡大している。日本市場では蒸着アンダーコートとヘッドランプハードコートの需要比率は4:1である。海外ではコスト削減のためアンダーコートレスが増えているため、蒸着アンダーコートの比率が低い。
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光ファイバ用コーティング材は、硬化前の粘度、屈折率、硬化後の引張強度、伸び、引張弾性率、動的弾性率等が要求特性として挙げられ、光ファイバの用途に応じてオリゴマー、モノマー、開始剤等が選択される。光ファイバの需要は中国が半数を占め、中国では2018年までは光ファイバの敷設が大きく進む見通しであり、2018年まで中国での光ファイバ用コーティング材の需要が伸びる見通しである。インドでも光ファイバ需要が伸びており、今後も中国とインドでの需要が世界市場を牽引すると見られる。
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■UVインキ:世界需要(数量ベース)
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| 2015年 | 2020年予測 | 2015年比 |
UVインキ | 187,490t | 221,700t | 118.2% |
UV硬化型インキ | 182,000t | 213,300t | 117.3% |
UV硬化型インクジェットインキ | 4,505t | 6,575t | 145.9% |
ナノインプリント用UV硬化型樹脂 | 4t | 5t | 125.0% |
3Dプリンタ用UV硬化型樹脂 | 970t | 1,800t | 185.6% |
感光性導電ペースト | 12t | 22t | 183.3% |
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UV硬化型インキは、日本では付加価値向上、画質重視のオフセット枚葉印刷で用いられることが多い。一方、欧米ではパッケージ用でフレキソ印刷が普及しており、UVフレキソ印刷でのUV硬化型インキの採用比率が高くなっている。印刷市場が成熟している先進国では大幅な需要拡大は見込めないが、新興国・地域では購買力の増加によりパッケージ、シール・ラベルの需要が拡大しており、長期的にはUV硬化型インキの数量増加が見込まれる。
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また、UV硬化型インクジェットインキも同様に中国や東南アジア等の新興国・地域でのサイン・ディスプレイへの需要拡大により、当該製品の需要が拡大する。
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■UV硬化型製品:世界需要(数量ベース)
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| 2015年 | 2020年予測 | 2015年比 |
UV接着剤 | 1,440t | 1,700t | 118.1% |
UV硬化型接着剤 | 210t | 225t | 107.1% |
タッチパネル用OCR | 1,230t | 1,470t | 119.5% |
有機EL用シート材 | 4t | 6t | 150.0% |
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タッチパネル用OCR(光学透明樹脂)は、In-Cell型、On-Cell型のタッチパネルにおける、カバーガラスと偏光板の貼り合わせに用いられている。被着体同士を貼り合わせることで、剛性の向上、光線透過率の向上、電気絶縁性の向上、異物混入の防止に寄与する。また、段差追従性に優れ、気泡が混入し難く、材料が安価である。
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パネル1枚あたりのOCR使用量減少は150µm前後で、現状以上の薄膜化は進まないと見られる。需要の大きい中国において価格下落が急速に進んでいくと見られる。
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参考文献:「2016 光機能材料・製品市場の全貌」 (2016年03月30日:富士経済)
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