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今回は、各構成システムの中で注目される製品を個別に解説する。
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■1.ADAS(安全支援システム)
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ADAS(Advanced Driving Assistant System)は、カメラやレーダーからのセンシング情報をドライバーに警告、または自動で制御を行う安全支援システムである。本項では主体となるセンサーと情報処理を行うECUで構成されるユニットをシステムとし、車両1台につき1システムと定義した。
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ADASの市場予測(世界市場)
| 2015年 | 中期予測 2020年 | 2015年比 | 長期予測 2025年 | 2015年比 |
システム数 | 1,030万S | 3,220万S | 3.1倍 | 5,200万S | 5.0倍 |
金額 | 5,733億円 | 1兆6,140億円 | 2.8倍 | 2兆1,785億円 | 3.8倍 |
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ADASは、各自動車メーカーが設定する安全パッケージの標準搭載が進展し、高級車種の大半で導入されている。日本市場では、富士重工「アイサイト」の認知度が高く、車載カメラをベースにしたシステム設計が行われている。2016年では、日産「SERENA」から自動化レベル2「プロパイロット」の搭載が開始された。同システムは単眼カメラのみでAEB、ACC、LDWなどの機能を実現している。また、スズキやダイハツでも軽自動車へのADAS搭載が進められており、大衆車への導入が加速している。EU、NAFTAでもADAS搭載がユーザーの購買基準になっており、高級車種の大半に搭載されている。
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2020年までには日本、EU、NAFTAにおけるADAS搭載率は新車販売台数全体の過半数に達する見通しである。中長期的にはAEBを始めとするADAS搭載義務化が主要先進地域で進むとみられ、2025年には搭載車数が5,000万台を超える見通しである。
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■2.自動運転システム
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自動運転システムは、センシングデバイスを用いて周辺環境の検知・認識を行い、自動制御を行う技術である。ADAS開発の延長線上に位置し、検知・制御の範囲に応じて区分され、国土交通省やNHTSA、SAEなどで自動化レベルの定義が進められている。各種公表されている自動化レベルの定義を基に、レベル0~2をADAS、レベル3~5を自動運転システムと定義し、下記に概要を記載した。
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自動運転のレベル別概要
自 動 化 レ ベ ル | ADAS | 自動運転システム |
レベル0 | レベル1 | レベル2 | レベル3 | レベル4 | レベル5 |
運転支援なし | 安全運転支援 | 部分的な自動化 | 条件付き自動化 | 高度な自動化 | 完全自動化 |
概要 | システムで検知した障害物、車両接近などの運転環境をドライバーに警告する。全ての主制御系統(加速/操縦/ブレーキ)の操作はドライバーが行う。 | 主制御系統のうち、一つ以上を個々に自動的に行う。 | 主制御系統のうち、二つ以上をドライバーの代わりに自動的に行う。 | ドライバーがシステムからの運転操作切り替え要請に応じられる条件下で、特定環境での主制御系統を全て自動的に行う。 | システムからの運転要請にドライバーが適切に応じなかった場合でも、特定の運転モードにおいて自動化された運転システムが車両の運転操作を行う。 | 全ての走行環境で自動化システムが運転操作を行う。 |
達成時期 | 販売済み | 販売済み | 販売済み | 2020年前後 | 2020年代後半 | 2030年前後 |
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自動運転システムの市場予測(世界市場)
| 2019年 | 中期予測 2020年 | 2019年比 | 長期予測 2025年 | 2019年比 |
システム数 | 25万台 | 57万台 | 2.3倍 | 360万台 | 14.4倍 |
金額 | 1,700億円 | 3,174億円 | 1.9倍 | 1兆1,330億円 | 6.7倍 |
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自動運転システムは、ADASの高度化によって達成されるシステムであり、自動化レベル3以上が該当する。レベル3ではドライバーの監視義務は残るが、運転責任は車両システムが担うため、法整備や保険システムの構築、安全性に関する技術改良が求められる。2019年から商用化され市場が立ち上がるとした。
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日系自動車メーカーでは、2020年に高速道路の自動走行を目標にレベル3の開発に取り組んでいる。トヨタでは、カメラとセンサー、GPSを組み合わせ、高速道路の出入り口の自動走行を想定している。また、日産も高速道路に限定した自動運転の実証実験を米国カリフォルニア州で実施している。欧州自動車メーカーでは、Daimlerが自動運転開発に最も積極的であり、2020年までに高速道路に限定した自動運転車の量産を計画している。
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完全自動運転(レベル5)は、詳細な地図データやAIを活用し情報処理・判断システムの構築が要求され、2025年までの実現は困難とみられる。
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参考文献:車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2017 (上巻:システム/デバイス編) (2017年01月05日:富士キメラ総研)
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