■3.アイドリングシステム/回生システム
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アイドリングストップシステムは、車両停車時において自発的にエンジンを停止し、発進時にエンジンを再始動させるシステムである。回生システムは、車両の減速時に発生する運動エネルギーを主に電気として回収し、回生エネルギーとして再利用することで燃費改善を行うシステムである。
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回生システムは、回収したエネルギーを蓄電する補助電源(もしくは蓄電可能なバッテリー)が必要であるが、それ以外はアイドリングストップシステムと同様のデバイスで構成されている。そのため、回生システムを搭載した車には必然的にアイドリングストップシステムが搭載される。
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本項は、HV/PHV/EV/FCVシステムは、対象外とした。
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アイドリングシステム/回生システムの市場予測(世界市場)
| 2015年 | 中期予測 2020年 | 2015年比 | 長期予測 2025年 | 2015年比 |
システム数 | 1,710万S | 4,539万S | 2.7倍 | 7,200万S | 4.2倍 |
金額 | 3,146億円 | 7,048億円 | 2.2倍 | 9,859億円 | 3.1倍 |
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日本ではHVが普及しており、搭載可能な車種の母数が小さいが、軽自動車を中心に搭載が進められ高い搭載率である。EUでは、マイクロHVと呼ばれる回生システムの搭載が進んでいる。
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今後この回生システムの効率化を図るために48V電源を採用したシステム設計に力が入っている。世界的な燃費向上の風潮の中でアイドリングストップ機能と回生エネルギー機能の両方を持つアイドリングストップ/回生システムが一般的になっていくものとみられる。
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■4.IVIシステム
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GPSを利用した据え置き型ナビゲーション機能を有したシステムのうち、メーターとの連携、HUDとの連携、外部通信、ADAS連携などが可能な機器をIVIシステムとして定義した。
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IVIシステムと従来型のナビの違いは、通信機能を内包しているか否かと、他の車載機器との連携を図っているか否かの2点で区別できる。従来型のカーナビゲーションシステムは、GPS機能を軸に、オーディオ、動画視聴などのエンターテインメント系の機能を統合し発展してきたが、IVIシステムは、車内/車外情報の連携を集約するインフォテインメント機器となる。近年はADASとの機能連携に向けた開発が活発化している。
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IVIシステムの市場予測(世界市場)
| 2015年 | 中期予測 2020年 | 2015年比 | 長期予測 2025年 | 2015年比 |
システム数 | 295万S | 756万S | 2.6倍 | 1,690万S | 5.7倍 |
金額 | 5,650億円 | 1兆1,753億円 | 2.1倍 | 1兆1,718億円 | 3.8倍 |
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車載情報機器として競合となる従来型のカーナビゲーションシステムやカーオーディオ、ディスプレイオーディオなどと比較してシステム価格が高価であり、需要先は日本と欧米の高級車種が中心となっている。日本ではIVIシステムの搭載が新車生産台数の10%以上に達しており、トヨタ、ホンダがIVIシステムの導入に積極的である。EU、NAFTAではテレマティクスサービスの拡充によってIVIシステム需要が拡大しており、BMW、Audi、Daimler、Fordが採用を進めている。中国やその他地域においてIVIシステム搭載は欧米自動車メーカーの車種が中心で、地場の自動車メーカーの搭載は遅れている。
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今後は、外部通信機能の強化により、スマートフォンとの連携強化、V2Xの展開によるADAS・自動運転システムとの連携が図られる見通しである。
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■5.HUDシステム(ヘッドアップディスプレイシステム)
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ヘッドアップディスプレイ(HUD)は、車載メーターやカーナビなどの情報をフロントガラスやコンバイナーに虚像として投影する装置である。コンバイナーを用いるVFDタイプや、LCDやDLP、レーザーを用いる光源タイプがある。当該装置は主にLEDなどの光源やコリメーターレンズ、LCDなどから成る表示ユニットならびに投射レンズ、凹面鏡などで構成される。アフター製品は対象外とした。
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HUDシステムの市場予測(世界市場)
| 2015年 | 中期予測 2020年 | 2015年比 | 長期予測 2025年 | 2015年比 |
システム数 | 183万S | 999万S | 5.5倍 | 1,612万S | 8.8倍 |
金額 | 496億円 | 2,393億円 | 4.8倍 | 3,058億円 | 6.2倍 |
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HUDシステムはVFDタイプ、LCDタイプともに欧州を中心に採用車種が増加しており、2017年よりDLPタイプも上市される。表示情報量の拡大に伴い大画面化が可能なLCDタイプの需要が増大している。
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2025年まではLCDタイプが主流である見られる。4タイプの製品はそれぞれ自動車の低価格化要求を受けて単価が下落傾向にあるが、安価なVFDタイプから大画面表示が可能なLCDタイプの比率が高まっていく。一方、高価なDLPタイプやレーザータイプが今後上市される見込みであるが、2025年までは販売数量は小規模にとどまるとみられ、金額市場への影響は大きくないと推測される。
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参考文献:車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2017 (上巻:システム/デバイス編) (2017年01月05日:富士キメラ総研)
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