熱制御・放熱部材の世界市場 市場動向1

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放熱部材は、液晶TVやLED照明をはじめとする民生分野が需要を牽引してきた。しかし、現在同分野は樹脂基板の増加や中国ローカルメーカーの台頭により放熱部材の価格が大幅に下落しており、日系メーカーにとって注力度の低い分野となっている。そのため放熱部材を展開する各社では、自動車分野や産業分野など、付加価値の高い需要先を模索・開拓している。

自動車分野と産業分野における放熱部材の需要は、燃費規制や省エネ化を背景に、今後大きく拡大することが予測され、参入各社は当該分野での需要獲得に注力している。また、これらの分野は、放熱部材への要求特性としてコストよりも性能が重視される傾向が強いことから、参入各社は新製品の開発・上市とともに、積極的な製品提案を行っている。今回は、熱制御・放熱部材、放熱フィラーの世界市場を解説する。

■熱制御・放熱部材の世界市場

 2016年2021年予測2016年比
部材合計6,062億円6,424億円106.0%
TIM702億円1,149億円163.7%
放熱基板776億円1,008億円129.9%
その他放熱部材4,584億円4,267億円93.1%
TIM:Thermal Interface Material富士経済推定

対象品目
区分品目
TIM放熱シート、フェイズチェンジシート、放熱両面テープ、放熱グリース、ギャップフィラー、放熱接着剤
放熱基板放熱樹脂基板、アルミベース回路基板、銅ベース回路基板、アルミナベース回路基板、窒化アルミベース回路基板、窒化ケイ素ベース回路基板、窒化ケイ素白板
その他放熱部材放熱ポッティング材、放熱絶縁シート、グラファイトシート、熱伝導樹脂、ヒートパイプ、ヒートシンク(日本市場のみ)

【TIM】
TIMの2016年の市場は702億円となった。発熱量の多いパワー半導体の普及に伴い年々需要は高まっており、市場は順調に拡大していくとみられる。用途別にみると、ノートPCやスマートフォンのCPU向けなどの需要が停滞していることにより民生機器分野は縮小していくとみられるが、今後は自動車分野が電装化の進展や環境対応車普及に伴い市場拡大をけん引するとみられる。また、生産現場の自動化に伴い液状TIMの高成長が予想されており、2021年の市場は2016年比63.7%増の1,149億円が予測される。

【放熱基板】
放熱基板の2016年の市場は776億円となった。LED製品の低価格化が進み、新興国を中心に一般家庭やオフィスにおいてLED照明の導入が進み、それらに用いる放熱樹脂基板の需要が増加した。今後は、銅ベース回路基板やアルミナベース回路基板、窒化アルミベース回路基板が自動車用LEDヘッドランプ、自動車分野や産業分野のパワーモジュールで採用が期待されており、市場が成長するとみられる。2021年の市場は2016年比29.9%増の1,008億円が予測される。

【その他の放熱部材】
その他放熱部材の2016年の市場は、4,584億円となった。主要用途であった民生機器分野の需要が減少していることから市場は縮小となった。ヒートパイプ・冷却ユニット以外の部材でも新規用途開拓が進んでいないため今後も市場は微減で推移すると考えられる。放熱絶縁シートは、主要用途である民生機器分野に加えて自動車用パワーモジュール向けで注目されており2020年以降、採用の拡大が期待される。


 2016年2021年予測2016年比
放熱フィラー合計292億円327億円112.0%
シリカ190億円174億円91.6%
低ソーダアルミナ19億円28億円147.4%
球状・丸み状・多面体アルミナ47億円68億円144.7%
窒化アルミ11億円20億円181.8%
窒化ホウ素25億円37億円148.0%

シリカは金属系、窒化物系、炭素系フィラーと比較し熱伝導率は劣るが、高耐熱、低誘電、電気絶縁に優れていることから、半導体封止材向けとして広く用いられている。近年はノートPCがスマートフォンやタブレット端末に代替され、ノートPCの需要が減少した影響を受け、当該市場は微減傾向で推移している。

低ソーダアルミナは、今まではスマートフォンを中心とした民生機器向けTIMの需要の増加に連動して、市場が拡大していた。近年は自動車の電装化に伴うTIMの需要増に牽引され、市場が拡大している。

球状・丸み状・多面体アルミナは、高放熱性が要求されるTIM向けに需要が拡大している。特に自動車や産業機器等のパワーモジュール、自動車LEDヘッドランプ向けの伸びが大きい。

窒化アルミは主に高性能サーバ、無線基地局のCPU、各種センサー周り等の発熱体向けTIMに使用されている。各国、地域の4G、5Gに関連する旺盛な設備投資に伴い、当該市場も拡大した。

窒化ホウ素は米国市場を中心に自動車や太陽光発電用パワーコンディショナ、電鉄車両のパワーモジュール向けTIMに使用されている。今後も米国、アジア、欧州の海外パワーモジュール用途を主体に当該市場の拡大が見込まれる。

参考文献:2017年 熱制御・放熱部材市場の現状と新用途展開
(2017年07月03日:富士経済)


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