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リチウムイオン二次電池は、小型民生用、車載用で中国電池メーカーが台頭している。小型民生用は、応用機器市場が好調であるとは言い難い状況であり、電池市場の伸びは緩やかな動きとなっている。
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その一方で、車載用と電力貯蔵・UPS分野は活況を呈しており、これまで小型民生用のリチウムイオン二次電池や、他の二次電池を展開していたメーカーが、同分野への参入の動きをみせている。また、車載用では補助金獲得に向けた生産能力向上が必須となっており、電池メーカー各社で生産能力増強の動きが積極化している。中国電池メーカーの存在感は年々大きくなっており、中長期的にも電池市場全体を牽引していく存在となっていく。
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今回は、リチウムイオン二次電池の世界市場を解説する。
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■リチウムイオン二次電池種類別市場規模:世界市場
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| 2016年 | 2021年予測 | 2016年比 |
合計 | 2兆2,028億円 | 4兆1,014億円 | 186.2% |
シリンダ型 | 4,686億円 | 6,810億円 | 145.3% |
角型 | 2,814億円 | 1,962億円 | 69.7% |
ラミネート型 | 5,955億円 | 9,112億円 | 153.0% |
車載専用 | 8,048億円 | 2兆430億円 | 2.5倍 |
ESS用/UPS・バックアップ電源用 | 525億円 | 2,700億円 | 5.1倍 |
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リチウムイオン二次電池(シリンダ)は、Tesla向けで需要が増加している電動自動車用途の実績が最も大きい。また、充電式電動工具でのニカド電池からの置き換え、モバイルチャージャー等でも多く採用されている。これらの用途向けの需要は今後も増加する見通しである。
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リチウムイオン二次電池(角)は、フィーチャーフォン、スマートフォンやノートブックPCへの搭載が中心であったが、ラミネートタイプへの置き換えが進んだことが影響し、需要は減少している。
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リチウムイオン二次電池(ラミネート)はスマートフォンを中心に、タブレットPC向けやノートブックPC向けで多く採用されている。スマートフォンは中国市場を中心に堅調であるが、タブレットPCやノートブックPCは需要が頭打ちであり、ブルートゥースヘッドセットやウェアラブルデバイスが新規用途として期待されている。
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リチウムイオン二次電池(車載専用)は、中国での生産が7割以上を占めており、主に電動トラック・バス、電気自動車、プラグインハイブリッド車等で採用されている。中国が国策で普及を促進していることから、当面は上記自動車向けの需要が継続するとみられる。また、欧州でも環境対応車として電気自動車やプラグインハイブリッド車に注力していることから、中長期的にもこれらの車種の需要が大きく拡大すると予測される。
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リチウムイオン二次電池(ESS用/UPS・バックアップ電源用)は、現状ではユーティリティ(発電所、電力会社向け)が中心となっており、3割以上を占めている。2020年には電池価格の低価格化が想定され、家庭用での採用増加が期待される。また、5G通信対応での基地局向けや事務所・工場等のバックアップ電源用途の拡大も期待される。
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■リチウムイオン二次電池中国市場(2016年、2017年見込)
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1.小型リチウムイオン二次電池(シリンダ・角・ラミネート型)
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ラミネート型はスマートフォン向けがけん引しており、シリンダ型は電動バイク向けが堅調であることに加え、Teslaの様に「18650」を採用する自動車メーカーが出ていることから拡大している。
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なお、角型は中国市場においても縮小しており、角型に参入する多くの電池メーカーがラミネート型や車載専用へとシフトしている。2017年の中国市場は、世界市場の58%を占めると見込まれる。
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2.大型リチウムイオン二次電池(車載専用、UPS・バックアップ電源用)
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車載専用は、EVやPHVの普及が進んでおり、急速に市場が拡大している。また、EVトラック・バスなどの商用車向けも増加している。ESS用/UPS・バックアップ電源用は家庭向け機器では需要がないことから、電池メーカーは産業向けに注力しており、有望用途として5G通信向けの携帯電話基地局が挙げられる。2017年の中国市場は、世界市場の70%を占めると見込まれる。
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参考文献:2017 電池関連市場実態総調査 上巻 |
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