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今後EVやPHEV対応充電器は、EVやPHEVの所有者による自宅での充電器(プライベート)の設置以外にも、高速道路や幹線道路沿い、商業施設などでの充電器(パブリック)の整備も加速するとみられる。現在普及している充電インフラは、普通充電器と急速充電器であり、急速充電器は高速道路や幹線道路沿いに、普通充電器は商業施設などといった棲み分けがなされている。 2030年以降、欧州を中心とした内燃車販売禁止措置の開始と共に、普通充電器の普及が加速するとみられるが、今後本格的な拡大が予想されるワイヤレス給電システムが急速充電器や普通充電器にとって代わる可能性もある。
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<急速充電器> 急速充電器は15分から30分程度で約80%の充電が可能であり、中・長距離の移動途中での継ぎ足し充電(経路充電)などを目的に、中国や日米欧を中心に高速道路や幹線道路沿いで設置が進んでいる。
出力25kW程度の中速充電器の比率が高いが、150kW以上の急速充電器も欧米中で設置され始めている。また、欧州を中心に急速充電器の高出力化(出力350kW)が進められている。超急速充電器の実用化によって充電時間は大幅に短縮可能となるものの、今後は低価格化など解決すべき課題は多い。
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<普通充電器(パブリック)> 普通充電器(パブリック)は、ショッピングセンターやコンビニエンスストア、公共施設、宿泊施設、一時貸駐車場など、買い物や娯楽などの目的地での滞在中に合わせて充電する目的地充電などは普通充電器が設置されることが多い。急速充電器よりも低コストで設置可能なことから、充電インフラの第一選択肢として今後も普及が続いていく。長期的にはインド、ブラジルなどで、電力供給面に不安が残ることから急速充電器よりも普通充電器が普及していくとみられる。
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<ワイヤレス給電システム> ワイヤレス給電システムは、非接触による電力伝送方式で電磁誘導方式、磁界共鳴方式などがある。地面などに送電装置を、車に受電装置を設置し、充電場所に車を停車させるだけで自動的に充電が始まる仕組みである。
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2017年よりEvatran Groupがアフターマーケット製品として、QualcommがEVやPHVのオプション仕様として展開している。SAE(米国自動車技術会)が先行する形で標準化規格の策定が進められており、2018年中にもWPT規格「SAE J2954」が確立される見通しである。以降、自動車メーカーや自動車部品サプライヤーが続々とワイヤレス給電システムを投入することで急速に普及が進んでいく。
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