機能性コンパウンドの世界市場 市場動向1
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コンパウンド製品は樹脂への「着色」や、ガラス繊維、難燃剤等の異種素材を「混練」したカスタマイズ材料である。中でも異種素材を「混練」し物性を向上させた機能性コンパウンドは、電気電子、自動車、航空宇宙、医療、産業インフラ等、幅広い分野において欠かせない製品となっている。
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近年のコンパウンド市場は、欧米系樹脂・コンパウンドメーカーによる経営統合や事業売却等、事業の合理化が一段と進み、参入企業に変化が現れている。また、日系樹脂・コンパウンドメーカーは自動車分野への注力を一段と高めており、欧米地域に生産拠点やテクニカルセンター等を築くことで、より多方面への事業展開を進めている。
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今回は、機能性コンパウンドの世界市場を解説する。
■機能性コンパウンド世界市場(19品目)
2016年
2021年予測
2016年比
合計
3,041万t
3,481万t
114.5%
汎用樹脂(5品目)
2,569万t
2,938万t
114.4%
汎用エンプラ(7品目)
447万t
512万t
114.5%
スーパーエンプラ(7品目)
25万t
31万t
124.0%
富士経済推定
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汎用樹脂コンパウンドは、市場全体の80%以上を占める。最も高いウェイトのPVCコンパウンドが中国の成長鈍化により低迷している。一方、PPコンパウンドとABSが自動車生産台数の増加により伸びている。汎用エンプラコンパウンドは、自動車用がけん引しており、m-PPEやPOMコンパウンドは需給が逼迫している。市場は2021年に500万トンを超えると予想される。スーパーエンプラコンパウンドは、最も高いウェイトのPPSが環境対応車の増加などにより拡大している。一方、メーカー間の競争激化により価格は下落している。
■2016年品目別構成(数量ベース)
汎用樹脂コンパウンド
コンパウンド
概要
A
PP
・PP、ABSは自動車生産台数の増加を受けて市場環境は好調である。PPは供給不足も懸念され始めている。
・PEは主要先進国で飽和状態に近いものの、新興国での需要増加が牽引して、堅調に推移している。
・PVCは需要を牽引していた中国の成長鈍化を受けて低迷している。
B
PE
C
PVC
D
PS
E
ABS
富士経済推定
汎用エンプラコンパウンド
コンパウンド
概要
A
PC
・PA6、PA66は自動車生産台数の増加や部品の金属代替、軽量化を目的とした使用量の増加により、市場の拡大が続いている。
・PBTは自動車電装品の搭載数増加が追い風となり、好調である。
・m-PPEやPOM等は自動車部品を中心に、需給が逼迫状態にある。
B
PA6
C
PA66
D
POM
E
m-PPE
F
PBT
G
GF-PET
富士経済推定
スーパーエンプラコンパウンド
コンパウンド
概要
A
PPS
・PHEV・EV車の増加及び車載電装化を背景に、PPSやPPAの市場拡大が続いている。
・LCPはコネクタ用途の開拓や自動車用途の成長により、微増ないし横ばいの市場に転じつつある。
・PAEKはエレクトロニクス用途での需要減を、自動車部品や航空機等の分野での需要増が補い、市場が拡大した。生体素材向けの需要も好調である。
B
LCP
C
PA6T
D
PA9T
E
PA46
F
PEAK
G
PTFE
富士経済推定
■エリア別市場規模推移
エリア
2016年
2021年予測
2016年比
合計
3,041万t
100%
3,481万t
100%
114.5%
日本
162万t
5.3
160万t
4.6
98.8%
中国
1,268万t
41.7
1,539万t
44.2
121.4%
他のアジア地域
354万t
11.6
428万t
12.3
120.9%
北米
508万t
16.7
559万t
16.1
110.0%
欧州
540万t
17.8
553万t
15.9
102.4%
その他地域
209万t
6.9
242万t
7.0
115.8%
富士経済推定
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日系メーカーは自動車用の注力をさらに高めており、欧州における生産拠点やテクニカルセンターの構築など、より多方面の事業展開を進めている。日本市場は横ばいが見込まれる。
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中国は2021年に1,500万トン超えが予測される。また、中国メーカーは海外展開を強化している。その他アジアは自動車やインフラ用がけん引しており、2021年には2016年比20.9%増と中国に匹敵する伸びが予測される。特にインドの需要が増加するとみられる。
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欧州は経済低迷の底から脱したものの需要は微増にとどまるとみられる。北米は自動車向けが徐々にメキシコへシフトするが需要は底堅く、2021年には欧州の需要を上回ると予想される。 その他地域(中南米や中東)は自動車や電気製品の生産が欧米からシフトしているため、需要が増加するとみられる。
【対象品目】
汎用樹脂コンパウンド
・PPコンパウンド ・PSコンパウンド ・PEコンパウンド ・ABS
汎用エンプラコンパウンド
・PCコンパウンド ・POMコンパウンド ・GF-PET ・PA6コンパウンド ・m-PPE ・PA66コンパウンド ・PBTコンパウンド
スーパーエンプラコンパウンド
・PPSコンパウンド ・PA9Tコンパウンド ・PTFEコンパウンド ・LCPコンパウンド ・PA46コンパウンド ・PA6Tコンパウンド ・PAEKコンパウンド
参考文献:2018 コンパウンド市場の展望とグローバルメーカー戦略
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