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今回は、プリンテッドエレクトロニクスについて解説する。プリンテッドエレクトロニクスは、製造工程の一部、または全てに塗布・印刷技術を適用したエレクトロニクスである。
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■半導体関連デバイスのプリンテッド化動向
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デバイス | 2016年実績 プリンテッド採用率 | 2030年予測 プリンテッド採用率 | プリンテッド化動向 |
RFID | 0.4% | 19.6% | ・現在、アンテナ部をペーストで印刷した製品が少量生産されている。 ・PE製品の拡大にはセンサーやメモリーなど、多機能を同一基板上に複合的に印刷する必要があり、2020年以降にセンサーなどを組み込んだ高付加価値製品として市場が立ち上がり、本格な市場は2020年代後半になるとみられる。 |
有機メモリー | 100.0% | 100.0% | ・有機メモリーは強誘電体層、半導体層を印刷で製造しているため、全量がプリンテッド製品である。 |
圧力センサーシート | ― | 57.1% | ・有機TFT採用方式の数値予測を示した。 |
生体電位センサー | ― | 38.1% | ・印刷技術が採用されるには、市場拡大が進み多機能(バイオセンサーなど)との複合や衣服型のウェアラブルデバイスと一体型になる場合であると予測される。 |
有機イメージ センサーシート | ― | 100.0% | ・オール印刷ではないが、イメージセンサーの機能となる受光層は印刷で製造されている。 |
タッチセンサー | 43.3% | 46.8% | ・電極形成でペーストを使用している。主力のスマートフォンでは狭額縁化による全画面ディスプレイ化が進んでおり、L/Sで不利なペーストの利用は減少トレンドにある。 |
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■蓄電・発電デバイスのプリンテッド化動向
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デバイス | 2016年実績 プリンテッド採用率 | 2030年予測 プリンテッド採用率 | プリンテッド化動向 |
フレキシブル電池 | ― | 100.0% | ・フレキシブル電池は電解質のプロセスに印刷技術を採用しており、全量がプリンテッド製品である。 |
有機薄膜太陽電池 | ― | 52.7% | ・現在は、成膜の均一性を担保するのが困難であることから、量産段階にはない。研究開発レベルにとどまっている。印刷方式の候補となっているのはスクリーン印刷である。裏面電極は既にスクリーン印刷で形成されている。 |
色素増感型太陽電池 | ― | 100.0% | ・酸化チタンペーストや配線部分はスクリーン印刷で製造されている。色素層の印刷は、スクリーン印刷機のマイクロ・テックなどが対応機を市場投入している。今後フィルム基板+印刷技術を採用することで、低コスト化が可能になると期待される。 |
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■ディスプレイ・照明デバイスのプリンテッド化動向
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デバイス | 2016年実績 プリンテッド採用率 | 2030年予測 プリンテッド採用率 | プリンテッド化動向 |
大型AMOLED | ― | 40.2% | ・インクジェットによるRGB形成は2020年以降、TVで拡大すると予測される。 |
中小型AMOLED | ― | 0.4% | ・2017年末より、JOLEDが医療用モニター向けに出荷を開始した。高精細化が難しいことから、当面は250ppi以下の業務用や産業機器向けの需要が中心になると予測される。 |
PMOLED | ― | 1.2% | ・プリンテッド技術は、設備の世代が古く(マザーガラスが小さく)、コストダウンの利点を発揮しにくい点から、将来的にも採用は進まないとみられる。AMOLED向けで塗布プロセスが普及し、材料価格が下がった後に検討されるとみられる。 |
電子ペーパー | 0.1% | 55.2% | ・印刷による製造はバックプレーンの有機TFTより採用が進展すると予測される。有機TFTは厳密にはオール印刷製品ではないが、将来的にはオール印刷プロセスでの製造が見込まれる。 |
有機EL照明 | 11.8% | 70.6% | ・現在リジッドでパイオニアが量産しているが、今後コニカミノルタの生産が拡大するとみられる。カネカなどは、信頼性担保の面からリジッドガラスで塗布技術を採用する取り組みもみられるが、将来的にはリジッド・塗布タイプもフレキシブル・塗布タイプに移行すると予測される。 |
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参考文献:2018 フレキシブル/有機/プリンテッドエレクトロニクスの将来展望 |
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