PAN系炭素繊維複合材料の世界市場 市場動向1

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炭素繊維複合材料は、軽量・高強度といった基本特性の高さから、航空機や風力発電ブレード、圧力容器、スポーツ・レジャー用品等をはじめ、様々な用途で採用が拡大している。特に自動車分野では、世界各国で燃費規制が強化されていく市場環境下において、燃費特性の向上ニーズが拡大しており、炭素繊維複合材料の採用モデルが拡大しつつある。

炭素繊維複合材料は強度や弾性率等各種スペックを設計することが可能な設計材料であることから、成形加工品の均質化や適材適所に適量を使用する使いこなしの技術開発が必要となる。近年は、金属代替のみではなく金属材料を補強する採用形態も注目されており、超高張力鋼板(ハイテン)とのハイブリッド成形技術も自動車用途で実用化しつつある。

炭素繊維複合材料は、熱硬化性樹脂ベースのCFRPと、熱可塑性樹脂ベースのCFRTP、端材利用に大別される。今回は炭素繊維複合材料の成形加工品の世界市場と主要用途の今後の市場動向を解説する。

■PAN系炭素繊維複合材料の世界市場規模予測

 2016年実績2030年予測2030/2016
合計1兆3,037億円4兆3,864億円3.4倍
CFRP1兆2,451億円4兆3億円3.2倍
CFRTP(短/長繊維)401億円758億円1.9倍
CFRTP(連続繊維)55億円2,490億円45.3倍
端材利用(CFRP/CFRTP)130億円613億円4.7倍
富士経済推定
CFRP:炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸させて成形加工した炭素繊維複合材料
CFRTP:マトリックス樹脂に熱可塑性樹脂を使用した炭素繊維複合材料
端材利用:加工時に発生する端材を利用したリサイクルPAN系炭素繊維複合材料

■CFRPの用途別世界市場規模予測(富士経済推定)


CFRPは航空機や風力発電ブレード、自動車、スポーツ・レジャー用品用途などが中心であり、今後も堅調な増加が期待される。自動車用途は骨格・構造部品で採用が増加し、2030年に数量ベースで航空機用途と並ぶ規模へと成長する。自動車メーカー各社が利用技術の研究を進めており、短時間成形技術の改良が進むとみられ、成形コストが低下することから今後需要が増加すると予想される。航空機用途は安定的に市場成長していくとみられる。風力発電ブレード用途は、今後洋上風力発電プロジェクトにおいて、5MWクラス以上の大型ブレードが用いられることから軽量化を目的に採用が有力視されている。採用には低コスト化が焦点である。建築・土木用途は、中国や欧米の建造物や橋脚などをはじめとする補強で需要が増加している。その他の中で水素タンクや圧力容器(CNG)用途は水素タンクの需要がFCV市場に連動して増加するため、2030年にかけ市場拡大が予想される。

■CFRTPの用途別世界市場規模予測(富士経済推定)


CFRTPは、CFRPの課題である成形加工時間を大幅に短縮することが可能である。短/長繊維(繊維をカットした不連続繊維)のペレット加工品と連続繊維のラミネート加工品があり、現状、短/長繊維のペレット加工品は、ATMなどの自動機器の静電・摺動部品、掃除機やエアコン、ノートPC、カメラなど家電・OA製品、自動車のフレーム部品などで採用されている。新たな用途として車載センシングカメラ向けがあり、自動運転技術の搭載普及とともに伸びが期待されるなど、今後も堅調な需要増が予想される。連続繊維のラミネート加工品は、航空機用途などで限定的な需要となっているが、2025年から2030年にかけて自動車の骨格・構造部品で採用が本格化し自動車用途が急増するとみられる。

■端材利用(CFRP/CFRTP)の用途別世界市場規模予測(富士経済推定)


端材利用CFRP/CFRTPは、石油・ガス搬送などにおける海中パイプ、各種電子部品における静電対策部品、スポーツ・レジャー用品など、多用途で小口分散的に需要が発生している。自動車分野ではBMWが採用している。また、中国自動車メーカーのCheryは、大手リサイクル炭素繊維メーカーのELG Carbon Fibreと共同でEV向けに端材利用CFRPの研究開発を進めている。自動車分野は部品・部材のリサイクルニーズが強く、今後採用が広がると想定される。航空機用途ではAirbusが採用目標を掲げている。

参考文献:炭素繊維複合材料(CFRP/CFRTP)関連技術・用途市場の展望 2018

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