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今回は注目される分離膜/フィルター製品市場を解説する。
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■水処理膜の世界市場
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| 2017年実績 | 2025年予測 | 2017年比 |
水処理膜全体 | 2,200億円 | 3,435億円 | 156.1% |
MF/UF膜 | 510億円 | 700億円 | 137.3% |
MBR | 522億円 | 765億円 | 146.6% |
RO/NF膜 | 1,168億円 | 1,970億円 | 168.7% |
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上記は、浄水、下水、産業用・排水、民生用途で使用される水処理用の膜モジュールとして、MF/UF膜、RO/NF膜に加え、膜分離活性汚泥法(MBR)に用いられる膜モジュールおよびカートリッジを対象とする。MFおよびUF膜は主に細菌やバクテリア、SSなどの除去、ROおよびNF膜は農薬、ウイルス、タンパク質、無機イオンなどの除去を目的に使用される。
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当該市場は、北米や欧州などの安定した需要に加え、中国やMENA、新興国では経済発展や都市化・工業化、そして環境規制の強化などを背景に市場は拡大しており、2018年は2,323億円(2017年比105.6%)が見込まれる。今後も引き続き中国やMENA、新興国などでの需要増に加え、各種膜の用途も広がりをみせており、市場拡大が期待される。日系や欧米系のメーカーに加え、中国メーカーなども台頭してきており、メーカー間による競争は厳しさを増すとみられる。
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■脱気膜の世界市場
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| 2017年実績 | 2025年予測 | 2017年比 |
脱気膜 | 119億円 | 236億円 | 198.3% |
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上記は、脱気装置に内蔵される脱気膜モジュールを対象とする。脱気膜の主な用途は、純水・超純水の製造、インキ・溶剤の脱気、ボイラ・冷却水処理、現像液・レジストの脱気、食品プロセス、医療用分析モジュールとなる。
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当該市場は超純水製造の水処理や現像液、レジストの脱気処理で採用されており、半導体の設備投資動向の影響を受けやすい。2017年は、半導体メモリ市場の急拡大に伴い市場は好調を維持している。エリアは北米や欧州、韓国、台湾などの海外市場が中心で、近年は中国市場の拡大が目立っている。、当面は中国などアジア市場がけん引する形で市場拡大が見込まれる。超純水の製造では発電所分野の拡大や、バイオ医薬品や再生医療など医療分野での拡大も期待される。
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また、インキ・溶剤の脱気用途では、産業用インクジェットプリンタに組み込まれるため、その市場動向と連動する。産業用インクジェットプリンタは製缶・容器包装などへのマーキングに加え、繊維向けや壁紙印刷などの用途展開や、小ロット化やオンデマンド化によって、需要の中心となる北米・欧州では堅調に推移しており、近年は中国やインドなどアジアでの需要が拡大している。
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■食品・医薬プロセス用膜の市場(国内市場+日系企業の海外売上)
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| 2017年実績 | 2025年予測 | 2017年比 |
食品・医薬プロセス用膜 | 47億円 | 59億円 | 125.5% |
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上記は、食品・飲料および医薬品精製プロセスにおいて使用されるMF、UF膜モジュールを対象とする。
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医薬品向けでは脱パイロジェンや除菌、酵素・淡白の濃縮、抗生物質精製などに、食品・飲料向けでは発酵食品やアルコール飲料などの清澄ろ過、発酵液の除菌、精製などに利用される。需要先は安全性を重視する医薬・食品メーカー向けであるため安定したリプレース需要があり、市場は拡大している。今後は、機能性素材向けやヘルスケア向け、バイオテクノロジー向けの伸長のほか、競合技術である珪藻土ろ過からの置き換えが進む可能性があり、市場の拡大が期待される。
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■半導体ガスフィルターの市場(国内市場+日系企業の海外売上)
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| 2017年実績 | 2025年予測 | 2017年比 |
半導体ガスフィルター | 110億円 | 170億円 | 154.5% |
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上記は、半導体ガスの高純度化、高精度化を目的としたフィルターを対象とする。半導体ガスフィルターには小流量のプロセスガスフィルターと大流量のバルクガスフィルターがあるが、バルクガスフィルターは半導体工場の新設時に採用され、リプレース需要はほとんどない。一方、プロセスガスフィルターは半導体製造装置に組み込まれるため、半導体製造装置ごとに需要がある。そのため、市場はプロセスガスフィルターが大部分を占める。
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2016年後半から半導体メモリ市場の好調により、半導体メーカーの設備投資が旺盛であり、半導体ガスフィルターが用いられる半導体製造装置市場が好調なことから市場は拡大している。当初は急増する需要にフィルター生産が追いつかないほどであったが、メーカー側が生産体制を整え、現在は需要増に対応できている。2018年に入っても半導体メモリ市場は好調を維持しているため市場は拡大が見込まれる。今後は、3D-NAND型フラッシュメモリの製造への対応など、半導体製造装置の複雑化・高度化に伴って装置1台に複数のフィルターが搭載され今後も市場の拡大は続くとみられる。
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参考文献:高機能分離膜/フィルター関連技術・市場の全貌と将来予測 2018 |
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